今月のソロプレイ第4弾は、現代政治闘争・経済戦争・安全保障ジャンルから、「大衆征服」(T誌/SPI)です。題名からだと、オリジナルの対テロ作戦のようですが、実は「怪獣征服」(T誌/SPI)のヴァリアントです。

今回の「大衆征服」はそれを捩ったB級かと思いきや、これがどっこい、かなり、リアルな対テロ作戦になっていまして。
怪獣の代わりになるのがテロリストで、数は少ないものの、大衆を扇動したり、部隊を指揮したり(移動の増加や戦闘比修整)、あるいは狙撃兵が州兵を足止めしたりできます。最大の特徴は、敵の視線外にいると潜伏できることで、ユニットを一時的に取り除き、3ターン後以降に任意の敵のいないマスに再配置できます。潜伏からの出現時には、戦力を2倍にできる待ち伏せを実施できます。効果は累積するので、RPG-7やSA-7を持つ重装備班は、戦車やヘリなどには4倍の攻撃効果を持ちます。

また、テロリストは、低層建築物を破壊できる爆薬(成功確率は1/6)も使用できます。
テロリストの目標は、シーボーガン市の破壊と群衆の扇動(暴徒化)、州兵・警察の殺戮で、55VPを獲得することです。高層建築物が5VPであり、最強の戦車を破壊しても6VPと、そんな高得点を達成できるのかと思われますが、3つあるTV局を1つでも占領していると、テロリストのVPが2倍になります。実質、28点分をリードできれば、その瞬間に勝利できるわけです。
一方の州兵・警察は、テロリストに3倍する戦力を与えられていて、正面からのテロリストが殴リ合いをすることは、かなり厳しいです。が、潜伏ルールを使うヒット&ランだと、一方的に殴られるだけになります。また、火災が発生した場合は、消防隊(1守備力のみ)が登場しますが、火災現場に駆けつける消防隊をテロリストが襲撃する(!)という、悪魔のような戦術もあります。
これ以外に、移動を阻害し、防御力を2倍にできる道路障碍物や公安当局が使用できるSWAT(ヘリで輸送輸送でき、テロリストと同様に、待ち伏せや事前撤退ができる)があります。
そこで、以下のルール改定を考えてみました。
*テロリストが潜伏する際には、通常のルールに加え、1d6して成功判定をする。6が出ると潜伏失敗で、次ターンまでテロリストは隠れることはできない。
*ターンが10の倍数になるごとに1d6して、二桁目の数値以下が出ると、ゲーム終了となる(例えば、30ターンなら、3以下)。
これにより、テロリストは計画通りの正確な襲撃ができなくなり、州兵・警察は圧倒的な戦力で叩き潰すチャンスが出てきます。テロリスト側も、包囲された味方を救うために、別班を投入するのか、敢えて見捨てて別の箇所で襲撃をかけるのか、判断を求められることになります。また、テロリストにも一定時間内で攻撃を行うように、時間制限を設けます。今回のソロプレイは、これを適用して行いました。
まず、公安当局側の初期セットアップは、以下の戦力を選択しました。
戦車(6-2-5)×2
砲兵(5-6-2)×3
歩兵(3-1-3)×1
パトカー(1-1-3)×6
ヘリ(1-2-7)×4
SWAT(2-2-4)×2
初期配置は、イメージのようにします。
市役所を中央島に、直接VPとなる発電所と浄水場をその周辺に配置します。強力な州兵は、戦車と砲兵のスタックを作り、中央からやや北寄りの左右の街路に置き、敵が出現次第、攻撃に向かわせます。同様に脚の長いヘリは、中央島に配置し、迅速に投入できるようにします。待ち伏せと潜伏ができるSWATは、当然、待機に。民衆を先導するパトカーは、全体に分散して、中央島への誘導を試みます。最後に、中央島の防備のため、歩兵を道路において、道路障碍物の設置を試みます。
第1ターン、テロリストは常道の民衆扇動を行うため、先導工作員と襲撃班を北部に投入します。この時、3カ所に爆薬を仕掛けますが、これは不発。また、扇動もdrが整わず、失敗に。唯一、襲撃班が2:1でパトカーを蜂の巣にして、最初の1点を捥ぎ取ります。テロリストはすぐに潜伏に入りますが、襲撃で行動に時間がかかった襲撃班が逃げ遅れます。
公安当局は、すぐに戦砲スタックを投入し、最大射程で襲撃班を1:1攻撃します。見事に建物のフロアごと、襲撃班を吹き飛ばします。これで、総合VPは-3点に。テロリストにとって、痛手です(勝利条件を満たすために、さらに公安当局を排除せざるを得ず。それだけ、捕捉される危険が増す)。
第2ターン、敵の戦力を減らし、VPを得たいテロリストは、重火器班と襲撃班2つを投入し、北東部の戦砲スタックを狙います。RPGで狙い澄ました攻撃を行いますが、2:1で痛恨のはずれ(1/3の確率で失敗)。南部にいたパトカーを、別の襲撃班が2:1で蜂の巣にしますが、VPはマイナスのままです。そして、あろうことか、重装武備を持つ重火器班が逃走に失敗します。
第3ターン、周囲には公安当局が群れ、重火器班の単独脱出は不可能です。テロリストが選択したのは、増援を投入しての救出でした。もう一つの虎の子の重火器班を投入して、SWATを攻撃し、包囲下にある重火器班はSA-7でヘリを狙います。これが見事に成功!これにより、隣接する敵を排除したテロリストは、すかさず、脱出に成功します。
第5ターン、再び、テロリストが活動を始めます。前衛の扇動工作員と襲撃班がペアになって、東及び南の民衆をアジりますが、ああ、効果なし。代わりに扇動していたパトカーを襲撃し、これを破壊します。ここで潜伏に入るも、襲撃班1つが逃亡に失敗します。
第8ターン、戦力の集結をするため、やむなく扇動工作員の説得のみに。本来なら、3つ程度は暴徒化してもおかしくない確率でしたが、ああ、民衆は逃げるのに手一杯でアジ演説に反応せず。しかも、扇動工作員が逃げ遅れという拙い状態に。
第9ターン、焦るテロリストは、重火器班に襲撃班を加えた総力で、北東の戦車と砲兵を同時攻撃します。ともに撃破できる確率は、半分以上ありましたが、ああ、砲兵の攻撃に失敗し、1ユニット失い、かつ、襲撃班1ユニットが待避にも失敗します。
第15ターン、ほとんどの民衆が中央島要塞に逃げ込んでしまったため、テロリストは急がば回れと、州兵戦力の殲滅に切り替えます。中央を制圧する戦車に3:1攻撃を行いましたが、失敗。が、離脱には成功し、次のチャンスを窺います。
第18ターン、この時点での中央島への突入は危険極まりないため、テロリストは河川越しに市役所のヘリとパトカーを撃破します。この時、州兵の動きを足止めするスナイパーが南岸に取り残されましたが(ヘリの隣接で離脱できず)、2ターンに及ぶ逃走の末、なんとか離脱に成功します。
第22ターン、この作戦に沿って、道路障碍物で戦力が倍になった戦車を1:1攻撃するも、これに失敗。潜伏に成功したのが、幸いか。
これを撃破できれば、ほぼテロリスト側の勝利はなくなると、公安当局は砲兵とヘリを投入して、乾坤一擲の1:1攻撃を行いましたが・・・ああ、またも失敗。張り付いていたヘリが撃墜となります。テロリストは、次ターンに辛くも潜伏に。
第33ターン、今度は南岸の貯水池に駆け込んだテロリストが、再び、砲兵を攻撃し、今度は1:1攻撃を成功させます。これで総VPはやっとプラスに転じます(4VP)。
しかし、時間がない!第36ターン、今度は損害覚悟で路上に飛び出した扇動工作員+重火器班が、最強の戦車を攻撃!気合いが移ったのか、RPGのモンロー効果で装甲を貫通し、大爆発を起こします。残った砲兵が、決死の反撃をするも、1:1で効果なし。
最後はほぼ全滅でしたが、公安当局の粘り強い防衛と反撃が奏功したと言えましょう。もっとも、公安当局の戦闘drも褒められたものではなく、通常のdrならば、早期に片が付いた可能性も高かったです。また、群衆が1つも暴徒化しなかったのも、幸運でした。
テロリスト側は、まず、扇動工作員を使用して、群衆を暴徒化して、建物への放火を行わせます。扇動工作員は最も重要なユニットなので、暴徒化後は、ただちに潜伏して、別の群衆扇動の機会を狙います。
一度、出火して、時間が経てば、延焼するので、建物を瓦礫にして、VPの獲得できます。公安側は消防隊を投入して鎮火を狙いますが、単独での投入はテロリストの的になるだけ。よって、州兵を投入して暴徒を排除し、周囲の安全を確保したところで、消防隊を向かわせます。
テロリスト(暴徒)が複数の区域で放火できれば、公安側はいずれかを一時的に見捨てるか、兵力を分散して、全てを救うか、判断をしなければならなくなります。兵力の集中をすれば、一方は救えるものの、延焼drで、もう片方は多くの建物を失う可能性があります。一方で、公安側が兵力を分散した時が、テロリストが州兵を撃破するチャンスです。重火器班と襲撃班の待ち伏せ(戦闘力2倍)で、公安当局のユニットを漸減していくことになります。この時、スナイパーを使用して、敵の戦力の移動を阻害し、分散することが有効です。原則は一撃離脱で、襲撃後は可能なユニットは潜伏して、次の襲撃チャンスを窺います。
それでも、兵力的には、戦車と砲兵、豊富な歩兵を持つ州兵は、有利と言えます。考えてみれば当然で、武装したテロリストは警察には勝てても、正規軍には正面から太刀打ちできるはずはなく。州兵が相討ち上等で攻撃を行えれば、相対的にテロリストの兵力を消耗でき、いずれは破断点を迎えます。
テロリスト側はそうなる前に、火災と爆薬による破壊、敵の撃破でVPを稼ぎ出し、いずれかのTVを占拠して、55VPの獲得を狙います。
当然ですが、よほど有利にならない限り、テロリスト側は公安当局が集中しているエリアへの接近は御法度です。
なお、公安特局の切り札になりえるのが、高機動の7移動力のヘリとテロリストと同様に待ち伏せができる(!)SWATです。これらを効果的に集中展開することで、敵の扇動工作員とスナイパーの事前撤退を阻止でき、かつ、潜伏に制限を加えられます(敵の視線下であるテロリストは潜伏できない)。当然、これらはテロリストの優先目標になるので、安易な投入は避けたいところです。



































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