今月のソロプレイ第2弾は、仮想戦アイテムの「レッドサン・ブラッククロス」(アドテクノス)からシナリオ2「アラビアン・ツェルベレス」です。
T0
 このシナリオは、唯一の海戦ゲームで、編成の制限や海上補給ルールなどを省いた純粋な海戦シナリオ(砲雷撃戦及び航空攻撃)です。
 陸戦が一回の移動戦闘と2回の航空作戦だったのに対し、海戦は艦艇移動と2回の航空作戦を1ラウンドとし、それを2回、実施します。手順的に、陸戦の2倍と考えていいでしょう。
 陸上戦闘は敵へクスに進入できる移動力があれば、自動的に戦闘になりましたが、砲雷撃戦では敵の艦艇(艦隊)を捕捉することが必要です。砲雷撃戦の手順は、交戦距離の決定-砲撃-雷撃で、損害適用は同時に行います。交戦距離には遠距離と近距離があり、両軍は希望距離を宣言後、ともにdrして、大きい側が距離を決定できます。近距離では雷撃が、遠距離なら戦場離脱の試みができます。各艦艇には砲撃力とともに、近距離・遠距離の防御力があり、遠距離防御力に優れたドイツ軍は長距離戦を、近距離防御力が高い帝国海軍は接近戦を選ぶことが多くなります。魚雷は砲撃後に近距離でのみ発射でき、命中値は6のみです。一般の海軍は威力が4なのに対し、帝国海軍は6と飛び抜けています(酸素魚雷)。
 なお、航空戦も洋上飛行の困難さから、軒並み、到着判定値が低く、陸上の2倍近い難易度です(4へクス以上は1/6のみ)。練度の高い艦載機のみは3へクス以内でdr+1できるものの、それでも到着率は50%です。しかも、エラッタで、対空砲火後に攻撃位置到達チェックがあり、日本軍で2/3、その他は1/2の確率でしか、攻撃できません。
 このシナリオの参加兵力は、ドイツ軍が世界最大の戦艦フリードリッヒ・デア・グロッセに、ビスマルク級のテルピッツ、巡戦グナイゼナウ、重巡2隻、空母2隻、駆逐艦2戦隊です。これ以外に、インド大陸の租借地ゴアに、ポケット戦艦2隻がいます。
T0 ドイツ海軍
 対する日本軍が、フリードリッヒには及ばないものの、強力な大和・武蔵、巡戦金剛、比叡、重巡3隻、空母2隻、駆逐艦2戦隊です。
T0 帝国海軍
 艦載機では日本軍が戦闘機・雷撃機各2ユニットに対し、ドイツ軍は戦闘爆撃機2ユニットです(ただし、Me462ジェット機)。他に帝国海軍はレシプロ戦闘機3、雷撃機1、爆撃機3ユニットを、基地に展開しています。
 勝利条件が敵ユニットの撃滅のみのため、原則は正面からのぶつかり合いになります。が、展開は、第1ターンの主導権(先攻)をどちらが取るかによって大きく異なります。日本軍が取れば、艦載機を含む全海軍機を使用して、ゴアにいる敵のポケット戦艦を殲滅します(万が一、討ち漏らしても、優勢な巡戦隊で止め)。こうなると、艦隊決戦を行わなくてもVP的に勝利になるので、ドイツ軍は主力を持って、海軍航空隊の援護を受ける帝国海軍に殴り込みをかけるしかなくなります(または、海軍航空隊を襲撃して3ユニット以上の撃破でVPで上回り、帝国海軍に攻勢を取らざるを得なくする高等戦術も)。
 逆であれば、ポケット戦艦2隻がゴアを脱出し、主力との合流を目指します。当然、帝国海軍の空母機動部隊が快速を生かして空襲しますが、戦力不足や航法ミス(到達判定失敗)で撃沈まで行かない可能性があります。いずれにしろ、第2海戦ラウンドで、この空母群は、ソコトラを出撃したドイツ軍主力艦隊やアデン発のドイツ軍空母機動部隊に攻撃を受けることになります。よって、あえて追撃をせず、コロンボから北上してくる遣支艦隊と合流し、海軍航空隊の傘で待ち受ける手もあります。
 こうなると、ドイツ海軍は天佑を信じ、火中の栗を拾うか、あるいは、隙を見て海軍航空隊を艦砲射撃で叩いてVPを奪い、反撃に転ずるしかない帝国海軍と雌雄を決する展開になります。
 実質、5ユニット(艦隊)しかないミニゲームですが、RSBCらしく、駆け引きがあり、drによる影響が大きいシナリオでしょう。
 第1ターン、運命のイニシアチブは、帝国海軍!すかさず、先攻を選んだ日本軍は、第1海上ラウンドにBOMBAYから第1機動部隊(空母飛龍と蒼龍)を出撃させると、GOAのアーリア戦隊(ポケット戦艦2隻)を捕捉します。
 続く、対艦攻撃フェイズで延べ11ユニットによる空襲をかけます。ポケット戦艦2隻を葬るには充分な戦力だったのですが、航法ミスで到達できたのはわずかに5ユニットのみ。直後の対空砲火で爆装した烈風が損耗となり、残る4機で攻撃位置に着けたのは、雷爆各1ユニットのみ。それでも強力な7攻撃力で、アドミラル・シェアに襲いかかり、これを撃沈します。
T1SR1 PB撃沈!
 奇跡的に生き延び、必死に脱出を図るリッツォウに対し、機動部隊の護衛艦群が砲雷撃戦を仕掛けます。遠距離にもかかわらず、金剛、比叡、装甲巡洋艦伊吹が命中弾を出し、一撃でリッツォウをインド洋に沈めます。これにより、日本軍は10VPとリードします。
T1SR1 砲雷撃戦
 後攻のドイツ海軍は、救出すべきアーリア支隊が潰滅したため、ソコトラ戦隊の緊急出港を取りやめ、東方艦隊の水上艦艇と合流し、部隊を再編成します。
 第2海上ラウンド、帝国海軍は一旦、第1機動部隊と第1艦隊(大和以下の遣支艦隊)をBOMBAYに集結させ、次ターンに備えます。
 ドイツ海軍は、再編なった7ユニットの第1艦隊を決戦海域に向けて出港させます。また、空母ザイドリッツとグラフ・ツェッペリンからなる機動部隊を、艦隊護衛に同伴させます。
T1SR2 ドイツ海軍が再編成して前進
 第2ターン、イニシアチブはドイツ軍に。後攻を選択したドイツ軍は、敵の動きを見守ります。先攻となった帝国海軍は、あえて敵の接触を受けないGOA沖に待機します。
 これを見たドイツ海軍は、勇敢にもGOAとMANGALOREから6へクスの海域に進出します。敵の航空機の勢力圏ですが、護衛戦闘機は空母艦載機のみで、到達期待値は1機未満であり、残りの雷爆撃機も2機程度しか辿り着かない確率です。充分にMe462(ジェット艦上戦闘機!)と対空砲火で凌げる(敵航空戦力を消耗させられる)はずでしたが・・・なんと、想定外の6機が到着!
T2SR1 第一艦隊攻撃
 Me462が強力な迎撃で、烈風2ユニットを損耗と撃破しますが、4機の攻撃機が制空戦闘を生き延びます。7艦艇による猛烈な砲火で2ユニットが損耗するも、流星2ユニットが雷撃態勢に入ります。目標は、戦艦テルピッツ!強力無比な酸素魚雷が堅牢なビスマルク級戦艦の舷側を食い破り、撃沈!
T2SR1 テルピッツ、轟沈!
T2SR1終了時
 第2海上ラウンド、すでに40VPに到達した日本軍は艦隊温存策も取れましたが、インド洋の制海権を確固たるものにすべく、第1艦隊に見敵必戦を命じます。このままでは判定負けになるドイツ軍もこれを受けて立ち、決戦が幕を開けます。
 砲雷撃戦の第1インパルスは、規定により遠距離砲撃となります。先攻の日本軍は、大和・武蔵でフリードリヒ・デア・グロッセを狙い、初弾を命中させるも堅牢な甲板装甲に弾かれ、効果なし。が、巡戦グナイゼナウを狙った巡戦の金剛・比叡タッグの砲弾は、敵のヴァイタルパートを突き破り、轟沈!さらに数で優勢に立つ駆逐艦隊がDD2に損害を与えます。日本軍は、わずかに重巡妙高が損傷したのみに。
T2SR2 決戦!
 第2インパルス、この時点でドイツ軍が優勢なのは、旗艦フリードリヒ・デア・グロッセの装甲と艦隊の速度のみ。完全な崩壊に陥る前にと、戦線離脱を狙いましたが・・・日本軍の巧みな艦隊運動により、近距離戦に持ち込まれてしまいます。命中率は50%!ここまで、海洋国家として猛訓練を重ねてきた遣印艦隊の砲撃は、凄まじいものでした。大和以下、4隻の戦艦の砲撃は、全て命中!これにより、巨艦フリードリヒ・デア・グロッセと重巡プリンツ・オイゲン、ブルッヒャーが轟沈、駆逐艦戦隊が打撃を受けます。フリードリヒ・デア・グロッセも大和に命中弾を出すも、対46cm砲弾装甲の舷側を撃ち抜けず。先に損傷した妙高を撃沈したのが、せめてもか。
T2SR2 決戦第2インパルス
 第3インパルスは遠距離になったものの、昼戦の駆逐艦隊には戦いようもなく、遣印艦隊の無慈悲な砲撃を受けて、全滅します。
T2SR2 第3インパルス
 生き残ったドイツ軍の空母2隻は、艦載機の消耗(2回の出撃済み)により、攻撃力を失っており、全速力で拠点のSOCOTRAに撤退します。
 ここにGOA西方沖海戦は幕を下ろし、日本軍120点:ドイツ軍10点と帝国海軍の圧倒的な勝利となりました。
終了時
 RSBCの海戦ゲームは、ソロでも初めてでしたが、到着するかしないか(攻撃位置に着けるか)で雲泥の差が出る航空戦、有利な砲撃距離が取れるか、命中弾と損害が出るか、こちらもdr次第の明暗の差が大きな砲雷撃戦と、陸戦シナリオ以上に「それらしさ」が出ていました。真珠湾攻撃と太平洋戦争がなかったという「史実」が作り出す、最後の大艦巨砲主義(10年後にはミサイル戦が始まってしまう)が、妙に納得できるんですね~。