今月のソロプレイ第3弾は、「ドイツ装甲軍団」(CMJ)マーケットガーデン作戦です。名作「ドイツ戦車軍団」の流れを汲む、シンプルな作戦級で、手順は、増援-移動-戦闘のみです。が、戦闘の退却に工夫があり、Rとなったユニットは全て攻撃側が後退させる上、次の防御側ターンでは混乱のため、移動も戦闘もできません。このため、戦線の崩壊を防ぐために、後方予備が必要になります。
 さらに、このゲームでは機甲の優秀性が際立っていて、敵の非機械化部隊のZOCを無視して戦闘後前進ができます(最大4へクス!)。ドイツ軍の装甲師団(機械化部隊)は当初は2個しかなく、後の不確定増援で登場します。戦闘後前進を止められるこれをどこに当てるかが、ドイツ軍の防御計画の基本になります。
 連合軍もこの時期の補給不足を反映して、イギリス軍かアメリカ軍のいずれかのみが全力を発揮できます(補給不足の軍は、移動力-2、戦闘力1/2)。アントワープとスヘルデ河口を制圧すると制限はなくなりますが、当然、ドイツ軍もこれを死守しようとするでしょう。
 これだけだと、ほぼ、ドイツ軍の戦線を突破して勝利することは不可能なのですが、連合軍には切り札-空挺作戦があります。3個空挺師団を任意の3へクスに降下させ、ZOC展開による後退の阻止と大河の効果を無効にする特典があります。しかも、ターンオーバーが起こり、次ターンから手順が連合軍-ドイツ軍に入れ替わります(つまり、2連続行動ができる)。ただし、いつ、降下できるかはランダム決定で、連合軍は時期だけは知っています。上手く空挺降下の直前に戦線に穴を開けられれば、大突破も夢ではありません。
 早速、ソロ演習をしてみましたが・・・ドイツ軍が結構、難しい。スタックで守ろうにも、長距離の戦闘後前進で捕捉されて潰滅が相次ぎ、守備兵力が足りずにライン河を突破され、敗北。次に戦線を二重にした「ミルフィーユ作戦」を取るも、戦闘drがよく中央部を突進され、ドイツ国内の都市の占領とアメリカ軍のライン河渡河で敗北。これも、アントワープ解放が早く連合軍がフルに戦力を活用できたためで、ドイツ軍がスヘルデ河口とアントワープを固める作戦をしたところ、なんとか、勝負になりそうな展開に。バランスが良くなったところで、ソロプレイに入ります。
 第1ターン、特別ルールでフランス国内のドイツ軍はZOCがないので、ドイツ軍は戦略移動をフル活用をして部隊を後退させ、戦線を構築します。ポイントは、マップ端から8へクス以上、離れた地点。こうすることで、補給不足の連合軍はいずれかの軍の歩兵が接敵できないことになります(移動力-2)。さらに、アントワープ(及びスヘルデ河口)死守のため、貴重な2個装甲師団を北に回して、予備にします(戦闘後前進は1へクスのみに)。
T1D
 これに対し、連合軍は史実通り、イギリス軍に補給を与え、敵の撃破を狙います。まず、6:1攻撃でしたが、これがdrに祟られ、DR4と取り逃がします。が、戦闘後前進で2ユニットを包囲し、3:1の攻撃で擲弾兵師団を撃破します。アメリカ軍は移動力不足から機甲のみでの攻撃となり、5:1でしたが、DR2に止まります。
T1A
T1
 第2ターン、ドイツ軍は、不確定増援で第9SS装甲師団が到着したので、長躯、戦略移動で中央部へ。 
T2D 装甲増援
 前ターンに損害が最小で済んだため、既定通り、北部と中央部を固めます。戦闘後前進を止め、可能な限り、損害を防ぐ構えです。
T2D
 連合軍は、早期にアントワープ地帯を制圧するために、イギリス軍に補給を与えます。要塞に4:1攻撃をし、他に2カ所で6:1攻撃をかけますが、drが酷く、潰滅なし。行き先が、思いやられます。
T2A
 対して、補給不足のはずのアメリカ軍が数を生かして健闘し、5:1攻撃の2カ所でDEとします。これで果敢に2個機甲師団が突進し、敵戦線にくさびを打ち込みますが・・・。
T2
 第3ターン、ドイツ軍がこの突出した敵に反撃をかけます。戦闘比は3:1でしたが、見事にRとし、退却不可で除去します。これ以外は、ミルフィーユ作戦を続行します。
T3D 突出した機甲師団を包囲攻撃!
 なんとか、状況を動かしたい連合軍は数が多いアメリカ軍に、初の補給を供給します。反撃のために密集していた敵の装甲師団スタックを退けると、擲弾兵スタックを包囲攻撃し、DEとします。さらに戦闘後前進で南に突進し、1ユニットを包囲殲滅します。
T3A
 この奮起に刺激されてか、イギリス軍も前線の密度を上げ、3:1攻撃を成功させ(DR3)、戦闘後前進で退路を断った要塞の擲弾兵スタックを撃破します。さらに、南へ戦闘後前進をかけ、6:1攻撃で擲弾兵師団を潰滅させます。前ターンの不作から一転、このターンだけで6ユニットの敵を撃破します。
T3
 第4ターン、かなりの戦力を消耗したドイツ軍でしたが、不確定増援で3つ目の装甲師団が来て、アントワープから南端まで、二重戦線を維持します。また、スヘルデ河口には最強の第64擲弾兵師団(3戦力)を配置し、抵抗を試みます。
T4D
 連合軍はアメリカ軍の打撃力か、イギリス軍によるアントワープ地帯の占領か、悩んだ末にイギリス軍に補給を回します。これにより、アントワープへの直接攻撃が成功し、これを占領。さらに、6:1攻撃で敵の擲弾兵師団を撃滅します。が、肝心のスヘルデ河口攻撃ではARとなり、勝利条件の一つが厳しくなります。
T4A
 戦力半減のアメリカ軍も、2カ所でARと苦労しますが、5:1攻撃でDEを出し、さらに戦闘後前進による包囲攻撃で、もう1ユニットを潰滅させます。
 そして、このターンも空挺降下はなしで、自動的に第5ターンと判明します。
T4
 第5ターン、相当、戦力低下したドイツ軍でしたが、空挺降下がないことから、ここをライン河渡河の最終防衛ラインとして、南部以外では二重戦線の構築を行います。
T5D
 もはや、後がない連合軍は再び、イギリス軍に補給を与え、ついにスヘルデ河口の占領に目処を立てます(移動力が足りず、占領は最終ターンに)。もはやダボ付きがちの地上兵力を集中して、装甲師団1つを正面攻撃で撃破し、戦闘後前進で包囲、さらなる攻撃で殲滅し、再び、、戦闘後前進の包囲攻撃と、見事なまでの攻撃ローテで第一線を掃討します。
 が、アメリカ軍は補給不足が祟って、擲弾兵1個師団を撃破したのみに。
T5A
 そして、ついに空挺作戦が発動。が、ドイツ軍は未だに戦線を維持しており、このままではライン河渡河による得点は不可能です。となれば、敵の装甲師団撃破による損害得点を稼ぐしかない!3個の虎の子の空挺師団を、敵戦線の背後に並べ、ZOCで包囲して装甲師団2個以上の撃破を狙います。
T5A 空挺降下!
 第6ターン、ターンオーヴァーにより、連合軍が先攻に。イギリス軍はスヘルデ河口を占領し、これで1VPをゲットします。そして、包囲下にある装甲師団2個に包囲攻撃をかけます。戦闘比は3:1で1以外ならば、成功でしたが・・・ああ、1カ所でまさかのEX!
T6A
 さらに、最後まで補給不足だったアメリカ軍も南から突き上げますが、包囲下の装甲師団スタックの2:1攻撃で、こちらもEX!ドイツ軍は擲弾兵の損害のみで、装甲師団を守り抜きます。他も軒並みの低比率となり、drにも祟られて、それ以上の損害はなし。連合軍ターンが終わった時点で、かろうじて損害得点による1VPを獲得しましたが・・・。
 ドイツ軍は最後の予備兵力をかき集めると、南端に降下した第101空挺師団に3:1攻撃をかけます。これが見事に決まり、空挺師団は退却できずに除去。これで、損害得点差は4点になり、1VPが消滅。
T6D 空挺を攻撃
 結果、連合軍はアントワープ地帯占領の1VPのみとなり、ドイツ軍が勝利しました。
終了時
 ドイツ軍としては、今回のアントワープ地帯の死守とミルフィーユ防御が有効なことがわかりました。今回は最後の第5ターンに空挺降下だったのと、drによる損害が少なめだったので、これを維持できました。が、降下が早いとどこかで大突破や戦線の全面崩壊もあり得るわけで。そういった意味でも、適度なランダム性(運)と状況の激変による作戦の立て直しが求められる好ゲームでしょう。
生きて帰らず