今月のソロプレイ第2弾は、仮想戦アイテムの「レッドサン・ブラッククロス」(アドテクノス)からS3「チャンドラグプタⅡ」です。ドイツ軍によるインド侵攻のフリードリヒ作戦の再終盤を描きます。ドイツ軍は最後の電撃戦で、日本軍の拠点マドラス等を攻略できるのか、日本軍はそれを防げるのか、という攻防になります。
T0
 参加兵力は、ドイツ軍が装甲2個軍団と3つの歩兵軍団、14ユニットに及ぶ第2航空軍です。日本軍は当初は第16軍と第23軍、海軍陸戦隊2個師団ですが、増援でさらに2個軍と第1戦車軍が登場します。航空機は、海軍の1個航空艦隊と陸軍の第2航空師団の14ユニット(増援の連山を含む)です。
 ドイツ軍の初期配置は固定で、中央と西側に装甲軍団が分かれています。日本軍は#35XX以南と自由ですが、初期配置の8個歩兵師団相当では、分散したらオーバーランで蹂躙されるのが目に見えており、戦線を張るのは自殺行為です。よって、補給切れでもBステップ以上は消耗しない利点を生かして、拠点にスタック防御します。
 MANGALORE:2個師団
 BANGALORE:3個師団
 MADRAS:海軍陸戦隊+1個師団
 CALICUT:海軍陸戦隊
 このシナリオでは、FSHが1つしかないため、どうしてもドイツ軍の攻勢は狭い範囲になります。また、ドイツ軍にとっては、最も効率の良い攻撃はオーバーラン(確実に敵を撃破できる。戦闘では、最高比の6:1でもDEは2/3)なので、第1ターンに2つの装甲軍団を合流させ、完全戦力にして蹂躙の機会を狙います。装甲軍団スタックによる44戦闘力は極めて強力で、(地形効果を含む)6防御力までの敵なら一撃で屠れます。これが近くにあると、日本軍は戦力の分散ができず、スタックせざるを得ません。そこで、ドイツ軍としては、まず、敵の補給路を遮断し、Bステップ以下に敵戦力を低下させます。そこに、ルフトヴァッフェで空爆を行い、可能な限り、損失を与えた上でオーバーランまたは通常攻撃でVP地点を奪取します。
 日本軍は、(補給源のMADRAS以外は)補給切れを覚悟でスタックによる拠点防御を行い、第5ターン以降の第1戦車軍と第15軍の到着後に反撃を行います。4ターンまではわずか15補給ポイントしかないため、当初は戦闘機主体の防衛を行います。第5ターン以降に爆撃機を活性化させて、敵の薄い部分を叩いて戦力を低下させ、歩戦共同のオーバーランを狙います。うまく行けば、VP地点を取り戻したり、敵の補給線を切断して消耗させたりすることが可能です。
南部のアップ
ターントラック
 補給ポイントは、第4ターンまではドイツ軍は30、日本軍は15です。が、第5ターン以降はドイツ軍は15、日本軍は25と逆転します。
 勝利条件は、ドイツ軍が獲得した(あるいは失った)拠点のVP で決まります。 MADRASは5VP、CALICUTは2点で、他は各1点です。ドイツ軍がスタートに保持している都市を失うと、2または5点を失います。ドイツ軍が獲得した総VP が3点なら引き分けで、それより多いか少ないかで、どちらかの勝利扱いになります。
 通常の作戦としては、ドイツ軍の第一目標はMANGALOREで、その後、BANGALOREを狙います。あるいは、1/3の確率ですが、通常攻撃によるMADRAS強襲のオプションがあります。ここは補給拠点のため、一撃で落とせないとすぐに回復されるので、DE狙いになります。失敗すると、2個装甲軍+複数の歩兵師団が大消耗し、回復には早くても2ターンはかかるため、ほぼ、勝利は厳しいでしょう。
 第1ターン、補給フェイズにドイツ軍は、(旧式のBv155を除く)全航空機を活性化させます。日本軍は防空のために、ジェット戦闘機震電改1ユニットを含む戦闘機を稼働状態にします(この震電改は移送で、COLOMBOからインド大陸へ)。
 第1航空作戦で、ドイツ軍は戦闘機の劣勢を承知で、MANGALOREへ集中爆撃を敢行します。これに対して、日本軍は4ユニットの戦闘機を投入しましたが、なんと半数が到着できず(しかも損耗)。ドイツ軍の2ユニットのTa152が奮闘し、両軍ともに1ユニットずつを撃破し、爆撃機を守り抜きます。ドイツ軍は26火力の爆撃を集中しましたが、期待値は2ヒット以上だったにもかかわらず、ああ、全弾外れに。先が思いやられます。
T1A1
A1
 陸上作戦では、当初の計画通り、2個の装甲軍団がBANGALORE北方で合流し、陸のアルマダを編成します(次ターンのCULICUT攻撃の可能性を持たせるために、1個装甲擲弾兵師団が先導隊として1へクス前方へ)。歩兵は2個師団をGOAに守備に回し、1個師団で無人のVIJAYAWADAを占領します。残りは、前線補給基地とともに南下します。日本軍は当初の計画通り、陣地に籠もってピクリとも動かず。
 第2航空作戦で、再び、ルフトヴァッフェがMANGALOREを空襲します。日本軍は稼働できる迎撃機が六式戦爆1ユニットしかなく、数的不利を承知で迎え撃ちますが、Ta152の大編隊に捉えられ、撃墜となります。今度の爆撃はさすがに成功し、日本軍歩兵師団に2ヒットを与えます。
A2
終了時
 第2ターン、このターンからドイツ軍に2OSポイントが付与されます。ドイツ軍はこのうちの1ポイントを使って、OS判定を行い、見事に主導権を取ります。選んだのは、敵の動きを見てから行動できる後攻です。
 補給フェイズに全装甲部隊を回復させると、戦果のなかった第1航空作戦の後、一か八かのCULICUT強襲を実施します。ここには増援の日本軍1個歩兵師団しかおらず、ほぼ全力を投入したドイツ装甲軍団の攻撃は5:1。DEの確率は1/2だったのですが、見事に成功!これによって、守備隊の敵1個師団及び駐機していた烈風3ユニット、大洋1ユニット、第16軍の補給基地が全滅します。この戦果は大きく、MADRASを除く、全ての日本軍の陸上ユニットが補給切れに。
T2 CULICUT強襲
 ドイツ軍は次の攻略に向けて、第2航空作戦に全力でMANGALOREを空襲します。日本軍は航続距離が足りず、迎撃のための出撃さえできず。急降下爆撃装備のMe262を含む延べ28火力で、1個師団を集中爆撃し、なんと4ヒットを与え、これを潰滅させてしまいます。これにより、MANGALOREにはBステップの1個師団が残るのみに。
T2A2
T2終了時
 第3ターン、またもOSはドイツ軍に(後攻を選択)。日本軍は増援を受け取るため、貴重な5補給ポイントを消費して、第4軍の総合補給拠点(ASH)をMADRASに再建します。残りは、航空機の整備に充て、爆撃機銀河を活性化します。ドイツ軍は1個装甲軍団を完全回復させるとともに、残りの全補給を使い尽くして、航空隊を維持します。
T3S
 第1航空作戦は、銀河の編隊がドイツ軍の前線補給基地(FSH)を狙って攻撃をかけましたが、1ユニットは未着で、もう1ユニットは爆撃に失敗します。ドイツ軍は、敵戦闘機の撃滅を狙って、大規模なBANGALORE爆撃を実施します。空戦をくぐり抜けた敵の戦闘機によって、ドイツ軍爆撃機2ユニットが潰滅するも、ジェット戦闘機Me262の奮闘で震電改1ユニットを撃破します。爆撃自体は、効果なし。
 陸上作戦では、補給切れになった海軍陸戦隊(日本軍)をBANGALOREに逃がそうとしますが、回復なった第46装甲軍団がオーバーランでこれを撃滅。そのままの勢いで驀進し、VP地点のMADRAIを占拠します。装甲軍団の大消耗と引き換えに、ドイツ軍のVPが戦術的勝利の4点に到達します。残る現実的な目標は、MANGALOREとBANGALOREです(敵補給源のMADRASはよほどの隙がない限り、攻略は不可能)。
T3L
 第2航空作戦では、ルフトヴァッフェが残りの航空機で、MANGALOREを再爆撃します。ここまでの消耗で火力は18に低下していましたが、2ヒット!これにより、日本軍の守備隊は全滅し、次ターンにMANGALOREの無血占領が確定します。
T3A2
 第4ターン、続けて、OSはドイツ軍に(後攻を選択)。まだ、装甲部隊が回復し切れていないドイツ軍は、空軍に補充を回し、第1航空作戦で航空撃滅戦を仕掛けます。目標は、内陸部の要衝BANGALORE!前線補給拠点の前進で、足の短いMe262も到達し、5ユニットの爆撃機とともに空爆を仕掛けます。これに対し、日本軍は各2ユニットのジェット戦闘機震電改とレシプロ戦闘機で迎撃します。結果、Ju290Hの2ユニット潰滅と引き換えに、さらに震電改1ユニットを撃破します。
T4A1
T4 BANGALORE航空戦
 一方、日本軍は銀河2個編隊でFSHを爆撃するも、1ユニットは未着(損耗)で、もう1ユニットは爆撃に失敗します(まるで、前ターンの再現)。
 陸上作戦は、両軍とも動きなし(ドイツ軍は回復ならず、日本軍はまだ、守備で手一杯)。
 ドイツ軍は、第2航空作戦で再び、BANGALOREに航空撃滅戦を仕掛け、Me262が消耗するも、敵の最後の震電改を殲滅します。誘引のための爆撃は、本気度が足りなかったのか、失敗に。
T4A2
T4終了時
 第5ターン、ついに日本軍がOSを獲得し、戦闘に有利な後攻を選択します。同時に、待望の増援-第1戦車軍と第15軍の先駆け歩兵師団が到着します。
 ドイツ軍はこのターンから半減した補給ポイントで、ほぼ装甲部隊を回復します。かわりに、ルフトヴァッフェはわずか3ユニットしか、稼働状態にできず。
 第1航空作戦で、日本軍は連山を含む、3つの爆撃機でFSHを爆撃しますが、ああ、2つが未着で、戦果なし。どうも、日本軍は航空攻撃が冴えません。
T5A1
 ならばと、陸上作戦で、MADRASから4:1の強力な反撃を仕掛けます。1/2の確率で、敵の歩兵スタックを撃破できたのですが、惜しくもD2で潰滅ならず。
T5L
 ドイツ軍も敵の反攻が成功しないうちにBANGALOREを落とすべく、可能な限りの戦力で3:1攻撃を仕掛けましたが(撃破確率は1/3)、こちらもEXで泥沼の戦いに。結果、盤上で5個師団を除いて、全てがCステップ以上(!)になるという、大消耗状態に。
T5終了時
 残りが少なくなってきた第6ターン、日本軍が続けてOSを維持(後攻を選択)。ここまで貯めに貯め込んだ補給を使って、全陸軍ユニットを回復させます。
 第1航空作戦で、ドイツ軍は補給切れのBANGALORE守備隊に爆撃を行い、1ステップロスを与えます。一方の日本軍は、初めて戦術目的に爆撃機を集中使用し、MADRAS北方の敵歩兵スタックを叩きます。これまでの鬱憤を晴らすように爆撃が成功し、なんと3ステップロスで、1個師団を潰滅させます。
T6A1
 このままだったら、オーバーランで戦線が崩壊するところでしたが、日本軍が後攻を選んでいたため、先にドイツ軍が増援を送り込むことに成功します(こうなるなら、先攻を選べばよかったのですが、爆撃が成功しなければ、通常攻撃に有利な後攻がセオリーなので、判断が難しいところです)。
 それでも、日本軍は抜群の補給蓄積で回復した陸軍で、再び、MADRAS北方の敵に4:1を仕掛けましたが、ああ、わずかにD1と撃破ならず。
T6L
 せめて、航空攻撃で損害を与えようと、第2航空作戦でMADRAS北方の敵を叩くも、こちらは20火力を持ってしても、戦果なし(期待値は3.3ヒットで1個師団は撃破できるはずでしたが)。
 最終の第7ターン、日本軍はOSを保持(後攻を選択)。
 補給で日本軍は全回復し、ドイツ軍は2ターンかけた回復で半数の装甲部隊が回復します。
 第1航空作戦で日本軍は、執拗にMADRAS北方の敵を爆撃し、先ほど救援に来た装甲擲弾兵師団を潰滅させます。
 陸上作戦でドイツ軍はやむなく、増援を送って、戦線を維持する一方、孤立したBANGALOREに最後の3:1攻撃を仕掛けます。
 が、日本軍は、この動きを待っていました。敵の予備が全てBANGALORE攻撃に投入されたのを見計らって、可能な全ユニットを南下させます。目標は、MADRAI!ここには損耗した1個装甲擲弾兵師団が守っていましたが、戦闘比は4:1に。
T7L
 勝敗を分ける両軍の攻撃の結果は・・・ともに成功!ドイツ軍が執念でBANGALOREを奪取し、日本軍が最後の一撃でMADRAIを奪還して、シナリオは終了しました。
 ゲーム終了時点のドイツ軍のVPは、
 VIJAYAWADA:1VP
 MANGALORE:1VP
 BANGALORE:1VP
 CALICUT:2VP
の計5点となり、作戦的勝利を収め、プレイヤーは元帥に昇進しました。通常は、3VPの引き分け(指揮官留任)が多いので、ドイツ軍の勝利のためには、今回のようにどこかでギャンブルが必要でしょう(もうひとつのMADRAS強襲プランだと、1/3の確率だが、成功すれば5点を奪取できる)。
終了時全景
 こちらは、生きて還らず-潰滅したユニット。ドイツ軍がDPK装甲軍団(4個機械化師団)と第46装甲軍団の1ユニット、歩兵1個師団を失い、戦闘機1ユニット、爆撃機2ユニットを損失しました。敗北した日本軍はさらに激しく、海軍陸戦隊を含む歩兵7個師団と第16軍の2つの補給部隊を喪失。決定的だったのは、航空戦力で戦闘機(戦闘爆撃機を含む)7ユニット(!)と爆撃機2ユニットが潰滅しました。
生きて帰らず
 いずれにしろ、ドイツ軍は先を見越した陸軍と空軍の補給ポイントの割り振りに相当、悩むと思います。日本軍は、後半の反撃と爆撃がどこまで決まるかでしょう。仮想戦ですが、見た目と違って、極めて真面目な補給ルールで、イケイケGOGOでは決して勝てないアイテムです。一方で(悪手を含めて)選択肢は広く、そういった意味では、どこを自重し、どこで勝負するか、綿密な計算と決断(我慢)のシナリオでしょう。