今月のソロプレイは、80周年の「コルスンの戦い」(CMJ)です。実は、すでに2回ほど対戦ができたのですが、史実のコルスン・ポケットができなかったため、ここは得意のソロ演習で確認をしてみることにしました。非常にシンプルな作戦戦術級で、プレイは抜群に面白いだけに、作戦研究であり得る可能性を探ってみます。
 なお、基本ルールでは、ドイツ軍が巧みに振る舞うと、突破はほぼ不可能です。よって、選択ルールの包囲による損耗とドイツ軍の移動制限を適用します。
 ソ連軍の主攻は、東部の戦車打撃群が行います。相当の歩兵がいるので、つい、狙撃兵師団で穴を開け、機械化部隊が雪崩れ込む戦術を使いたくなります(史実のバルジと同様)。が、一度、攻撃を受けた部隊はそのターンには攻撃されないルールのため、よほどdrが良くないと戦線の穴が塞がれ、戦術的な包囲はできても、作戦的な突破は困難です。
T0
 そこで、E-R配置の戦車打撃群で波状攻撃をかけ、敵の縦深陣地を崩壊させ、作戦的な突破と戦略的な包囲(コルスン・ポケット)を狙います。ポイントは、SMELA-SHPOLA街道の制圧とこれを使った高速移動です。
 一方、東部に比べ、戦車戦力の少ない西部では、機械化部隊を集中使用し、南側平地の突進とZVENIGORODKAの制圧を狙います。
 序盤に東部と西部の部隊が合流を果たしたら(戦略的包囲の完成)、南端への突進(ドイツ軍主力の分断)と北部の敵部隊の包囲(殲滅)に兵力を分け、史実のポケットの再現を図ります。
 2回ほど、序盤の展開をやってみたところ、これが大成功!SMELA南部を突破したソ連軍の機械化部隊の大群が、第3ターンにはSHPOLA近郊に達し、次ターンに戦略的包囲が完成しました。
 こうなると、ドイツ軍としては、東部で南側に円形防御陣を引く他なくなります。当然、北部からの撤退部隊はKorsun近郊で包囲されます。また、セットアップで装甲部隊のない西部は、いいようにソ連軍に蹂躙され、これも西南端付近を保持するのがやっとに。結果的に3カ所に分断されたドイツ軍は、反撃が大きく遅れ、後半には南部での猛攻には移れるものの、北部の部隊の救出は叶わなくなります。それでも、VP的にはいい勝負なんですが、救出のない展開だと、逆に史実とはかけ離れてしまい。
 そこで、ドイツ軍の東部のセットアップを工夫してみます。ポイントは、東部中央の強化です。歩兵をスタックにして最前線を強化するとともに、E-Rの装甲大隊を戦線後方に配置します。そこから南端まで第11装甲師団も投入して、二重戦線を張ります。
T0 東部
 また、西寄りにいる第14装甲師団は、西方に転戦させ、敵の機械化部隊に対峙させます(遅滞戦術)。
 今回は、この初期配置に基づいて、演習を行いました。
 第1ターン、ソ連軍の第一撃は東部の北側で起こります。こちらには、戦車戦力がおらず、いざとなればドイツ軍最強の装甲擲弾兵大隊が対応するため、大突破は望めません。が、北部から撤退する敵の生命線であるKorsun- GORODISCHE街道に圧力をかけるため、狙撃兵による攻撃を行います。残念ながら、2カ所の攻撃の結果は、効果なし。ならばと、もう一つの南北街道の起点であるSMELAに、戦車旅団を含む36火力で攻撃をかけます。が、こちらも防御射撃を受けた戦車旅団が撤退してしまい、1ヒットを与えたのみ(ただし、ドイツ軍も死守失敗で1へクスの退却)。
T1S ソ連軍の第一撃は・・・
 ここから本命の機械化部隊の波状攻撃が始まります。中央部の3戦力歩兵に、35火力以上を集中し、3-1を与え、敗走させます。そこから進入した第2梯団の戦車部隊が、24火力の包囲攻撃で3戦力歩兵を全滅させ、第一線を抜きます。
T1S 機械化部隊の攻撃開始
 続いて、第二線の3戦力の敵戦車大隊に、第29戦車旅団の全力を向けましたが、強烈な防御射撃を喰らって、半数以上が後退。残りの部隊で3損害を与えるも、これは後退により消化されます。戦闘後前進でSMELA南方の2個歩兵スタックを重包囲したのが、せめてもの救いか。
 ならばと、その南の歩兵大隊を歩兵で包囲攻撃しますが、ああ、これも戦果なし。同様に南端近くのKanizhへの攻撃も戦果なし。どうにも、ソ連軍のdrが振るわず。
T1S 終了時
 一息ついたドイツ軍は、包囲された部隊の脱出を試みますが、成功したのは1ユニットのみ。やむを得ず、そこを戦線の形成の拠点(確地部隊)とし、これを軸に部隊を後退させて、戦線を引き直します。敵の主力が集まる中央部付近や南端近くは、二重戦線を維持します。
T1D SMELA街道の封鎖
 続く、損耗判定ではなんとかdrが持ち直し、ドイツ軍は2ステップロスに止まります。
T1
 第2ターン、ソ連軍はSMELA守備隊を追撃し、第18戦車旅団の一部を投入した最大戦力攻撃(地形効果で30火力)これを3-2と撃破します。
T2S東部 突破口を開けるか
 ここから戦車旅団が突進し、Romistrovkaの戦車大隊を正面攻撃します。こちらも最大戦力の攻撃となり、3-2を与えます。守備していた第3装甲師団の1個大隊は大損害を受けて、敗走します。
 また、北部での狙撃兵攻撃も大成功し、一気にOl'shanka河を渡河し、2ユニットを包囲下に置きます。
T2S東部 北部で大きく前進
T2S東部 波状攻撃で街道に進出
 一方、西部でもソ連軍が活動を開始します。想定通り、戦車スタックで敵歩兵部隊を蹂躙すると、戦闘後前進と追随する狙撃兵部隊が背面展開し、5ユニットを包囲します。drもよく、最大の4-2の損害を与え、さらに残りの機械化部隊が突進して、はやくもGniloy河を渡河します。
T2S西部 Tihkonovkaに到達
 ドイツ軍ターン、西部では不十分な移動力のため(選択ルールの移動制限)、中央での戦線が張れず。ソ連軍機械化部隊の突進を防ぐため、東部から断腸の思いで引き抜いた第14装甲師団を展開し、ZVENIGORODKA前面に薄いながらも戦線を引きます。
 東部ではなおも後退を続け、戦線の短縮化によって生まれた余剰兵力を北側にシフトして、どうにか戦線を確保します。が、もはや、戦力不足で二重戦線は不可能に。
T2 薄氷の一線防御
 第3ターン、このターンから天候判定が始まりますが、ここは期待値通り(5/6の確率)で雪に。
 前半の天王山を迎えた東部では、中央で第3装甲師団スタックに、3個戦車スタックが猛攻をかけます。ここを抜かれると、戦線崩壊となるところでしたが、ドイツ軍が猛烈な防御射撃で、敵の最強スタックを敗走させます。それでも24火力の攻撃でしたが、与えたのはわずかに1ヒットで、ドイツ軍は耐え抜きます。
 このままでは、突破ができない!あせるソ連軍は、RomistrovkaとORL'OVETSの間隙に目を付けます。歩兵のみが守るここに、戦車部隊を荒地経由で迂回させ、瞬時に撃破(4-2)。4へクスという戦闘後前進(!)で一気にここを抜き、中央に陣取る第5SS装甲師団の装甲大隊を赤い津波で呑み込みます。さらに戦車大隊が後方からの背面展開で、街道を遮断し、要衝SHPOLA近郊に迫ります。また、北部撤退部隊の生命線であるKorsun- SHPOLA街道も、戦車旅団と狙撃兵師団が遮断します。これで、コルスン・ポケットの形成がほぼ確実に。
T3S東部 戦車の集中攻撃
 一方、西部では、戦車戦力を集中し、前面に展開する第14装甲師団の装甲擲弾兵大隊を撃破します。そこから戦闘後前進と背面展開で、装甲大隊スタックを包囲します。
T3S西部 高機動と攻撃で、8ユニットを包囲 
 ドイツ軍は、被包囲下部隊の脱出に全力を尽くしますが、予備が底を突いていて単独脱出しかなく、延べ12ユニットが包囲下に残されます。その結果、損耗は12ステップ(!)と空前の損害に。
 主戦線は待望の増援(わずか2ユニットですが)と北部からの転戦部隊、脱出部隊等でどうにか取り繕います。西部では南部以外は、Gniloy河沿いに戦線とは呼ばないような薄い散兵線を展開するのが、やっとです。
T3D 東部はかろうじて戦線を引き直す
 第4ターン、天候は依然、雪が継続し、ソ連軍の足は止まらず。突破を果たしたものの街道に居座っている敵の最強装甲大隊を排除すべく、3個戦車スタックと歩兵の重包囲攻撃を実施します。これが、3-1となって、装甲大隊は半壊して敗走します。
T4S東部 精鋭の装甲大隊に重包囲攻撃
 行動の自由を得た後続部隊は、その北にいた第3装甲師団スタックを強襲し、これを大きく後退させます。これにより、完全な突破口を確保したソ連軍が突進し、SHPOLAのはるか西方のKazatskoyaまで前進します。
T4S東部 南西へ圧力
T4S ついに中央を突破!
 西部では、敵の包囲を維持しながら、先駆隊がTrosovkaに到達し、東側の部隊と手を結びます。まだ、間隙はありますが、こうして待望の戦略的包囲網が完成します。
T4S西部 ZVENIGORODKAを通過し、中央へ
T4 ドイツ軍が3カ所に分断さる
 こうなると、ドイツ軍は想定通り、SHPOLAから撤退し、東部の部隊で南側に円形防御陣を引きます。西部でも増援登場のための南端を確保します。ただし、北部からの撤退部隊はKorsun近郊で粘っても、救出が間に合わない可能性があるので、歩兵を殿にして、南西方向への移動し、早くも脱出準備をします。
T4D東部の防御ドーム
T4D 北部の脱出部隊
T4D 西部
 第5ターン、天候はいまだに雪。ソ連軍は、敵部隊の脱出を阻止すべく、西側に歩兵及び戦車部隊の一部を回し、最西端にいた消耗した装甲擲弾兵を壊滅させます。その上で東からも戦車スタックを注ぎ込んで、装甲擲弾兵スタックを圧迫します。
T5S 敵脱出部隊を圧迫
 西部戦線では、味方との合流を試みる第14装甲師団を包囲し、南端まで途切れない戦線を構築し、敵部隊を分断します。
T5S 西部では装甲師団を包囲し、南翼に到達
 東部でも使用可能となった街道を戦車と歩兵師団が驀進し、こちらも南端までの防衛線を引くことに成功します。
T5S 東部も封鎖
 ここに来て、ドイツ軍の増援主力が到着。3個師団弱が加わった東部では、重戦車を先頭に敵狙撃兵師団を蹴散らし、北西方向へ前進します。
T5D 反撃開始!中央から北への再連結を目指す
 西部でも複数の装甲師団が到着し、包囲下の第14装甲師団を救出します。その第14装甲師団も即刻反撃に転じ、敵狙撃兵師団を粉砕して、前線にいた敵の戦車スタックを逆包囲します。さらに、東部部隊と連絡線を回復すべく、南端沿いに沿って攻撃をかけ、前進します。
 中央の戦略的被包囲部隊は、Korsunに1個師団を残し、残りは戦線を維持しながら、西に向けて後退します(防御効果のある荒地へ)。
 第6ターン、ここまで猛烈な機動力を発揮できた雪が止み、大地は泥沼と化します。泥濘により両軍の移動力は1/2になり、効果的な攻撃が阻害されます。
 ソ連軍は充分な移動力が使用できないため、南部では防御態勢の整備のみに務めます。一方、包囲環の攻撃部隊は東から戦車による圧迫を加え、敵歩兵に大きな損害(4ステップ)を与えますが、ここはドイツ軍が踏ん張り(士気判定に成功)、追撃とさらなる包囲を許さず。
T6S 泥濘により、包囲のペースが墜ちる
 続く、ドイツ軍ターン、残念ながら第24装甲師団は来援せず(参戦確率は1/3)。それでも装甲師団を集中して、敵戦線をこじ開けると、後続を送り込んで、さらに敵の4個スタック(6ユニット)を包囲します。
T6D 西部の猛攻
T6D 中央部での連絡回復まで、あとわずか
 中央の部隊は、脱出に向けてじりじりと南下を開始します(泥濘の移動力消費が激しい)。
T6D 脱出部隊が中央丘陵地へ
 ここに来て、被包囲部隊の数が逆転し、ドイツ軍の損耗が3ステップだったのに対し、ソ連軍は延べで6ステップの損害を受けます。
 第7ターン、ここで気温が急激に下がり、天候は再び、雪に。ドイツ軍の圧倒的な攻撃力を見たソ連軍は、急ぎ、戦車スタック4個+独立戦車大隊2個、多数の狙撃兵師団を包囲環の撃滅に投入します。猛烈な攻撃を受け、後退できないドイツ軍は死守命令を連発しますが、6ステップロスを受けた上に2箇所で敗走。結果、5カ所で小包囲が発生します。
T7S 後方部隊を送り込み、二重戦線を構築
T7S 包囲環の締め上げ
 一方、南部の主戦線では、後続を前線背後に展開し、可能な限りの二重戦線を構築します。
T7S 後方部隊を送り込み、二重戦線を構築
 尋常でない数の重戦車を受け取ったドイツ軍は、西方で猛烈な反攻を開始します。重戦車で第一線を抜くと、敵の戦車スタックは無視して側面を突進。Tihkonovka付近で突破口を開いて、後続の装甲師団が背面展開し、敵の2個戦車スタックを包囲するとともに、先鋒部隊はLisyanka近郊まで辿り着きます。
T7D 西部でTihkonovkaを突破し、北上
 これに呼応して、ワロニエ義勇SS師団とヴィーキング師団の主力が包囲環からの脱出を試みます。正面の敵を撃破すると、戦闘後前進と移動でPochapintsyまで到達します。この時点で、味方部隊まで、わずかに3へクス!
T7
 一方、東部戦線では主力の装甲部隊が平押しで、北上を開始。優秀なドイツ軍装甲部隊の攻撃をまともに耐えられる戦線などなく、ソ連軍は4-5へクスの退却を余儀なくされます。その途中で側面迂回をされたソ連軍戦車スタックが包囲されます。
T7D 東部では重戦車を先頭に、北西方向へ押し上げる
 第8ターン、今度は泥濘に。敵の救出作戦を掣肘すべく、ソ連軍は脱出路の側面を守る装甲擲弾兵大隊に、戦車による反撃をかけます。強烈な攻撃を受け、装甲擲弾兵は敗走。巧みな戦闘後前進により、脱出路が一時的に封鎖されます。
T8S 救出部隊に反撃
 北では、別の戦車部隊が突出により薄くなった戦線を蹂躙し、ワロニエ義勇SS師団とヴィーキング師団の背後に回り込みます。さらに、足の遅い歩兵部隊を脱出の先鋒部隊と切り離し、狙撃兵による包囲攻撃を繰り返します。もはや、先鋒部隊以外は、壊滅を待つだけに。
T8S 脱出路を一時封鎖
T8S
 これに対し、ドイツ軍は重戦車大隊を先頭に立て、脱出路を封鎖している敵戦車に正面攻撃をかけます。防御射撃によっては相当の損害を受ける可能性がありましたが、パンターの厚い装甲がこれを弾き返し、前進射撃で敵を完膚なきまでに粉砕します。そこから後続の装甲部隊が突進し、Lisyankaの目前まで。脱出部隊のワロニエ義勇SS師団とヴィーキング師団も再度、攻勢をかけ、南北からLisyankaの敵を包囲します。脱出まであと1へクス!
T8D 再び、重戦車が突進
T8D 救出一歩手前に
 一方、東部部隊は装甲によるパンツァーカイルで正面から敵戦線を押し上げ、ZVENIGORODKAの側面を通過し、北に向かいます。この過程で、さらに敵戦車スタック1つを包囲します。
T8D 東部でも重戦車が押し上げる
 この間に、Korsun周辺で重包囲に陥っているドイツ軍歩兵部隊が次々に消耗をします。
T8
 第9ターン、天候の神は気まぐれで、7度目の雪に。ソ連軍は、ZVENIGORODKAで包囲された部隊の救出に乗り出します。拘束している歩兵に対し、戦車大隊が内と外から挟撃し、これに損害を与えて敗走させ、戦闘後前進で一時的な離脱に成功します。
T9S なおも果敢に敵の側面を強襲
 逆にソ連軍が包囲下においている敵のワロニエ義勇SS師団とヴィーキング師団に対して、多数の戦車を投入して損害を与えます。結果、ワロニエ義勇SS師団は敵ZOC内の敗走を余儀なくされ、多大な損害を被り、友軍から離れる方向に。
T9S 脱出部隊に猛攻を加える
 ドイツ軍ターン、重戦車大隊が正面に群がる敵戦車を蹴散らし、Khizhintsyに迫ります。ここで、包囲されていた第5SS装甲師団が呼応し、内外からLisyankaにいる敵を挟撃し、これを潰走させます。戦闘後前進で、ついに友軍戦線への復帰を果たします。
T9D 側面を迂回した装甲部隊が、部隊を救出 ZVENIGORODKAの敵を逆包囲
 ドイツ軍はそのまま、Lisyanka側面に攻撃をかけ、Gniloy河まで敵を押し返します。同時に東部部隊が北西方向兵への攻撃を行い、前線を押し上げます。結果、一度は脱出に成功したZVENIGORODKAの守備隊を、救援部隊ごと、重包囲します。
 同時に、北に敗走したワロニエ義勇SS師団を救援すべく、北部Gniloy河沿いに装甲師団が猛攻をかけ、狙撃兵を潰走させて、不安定ながら脱出路を切り開きます。
 そこかしこでソ連軍の包囲が発生したため、損耗判定ではなんと8ステップの損害に!対するドイツ軍は、分断後に初めて損耗なしに。
T9
 第10ターン、またも大地は泥沼と化します。ソ連軍は、ワロニエ義勇SS師団に最後の攻撃をかけ、若干の損害を与えますが、士気判定に成功してドイツ軍は踏みとどまります。
T10S 最後の脱出部隊を逃さんと
 また、中央部では包囲された第20戦車旅団を救うべく、戦車攻撃をかけ、敵の装甲擲弾兵を退け、救出に成功します。
T10S 中央部での部分攻勢
 いまだ、降伏しないKorsun守備隊に強襲をかけ、これを損耗させます。
T10S Korsun付近の残敵掃討
T10S
 ドイツ軍ターン、西部ではGniloy河を渡河した装甲部隊が、ワロニエ義勇SS師団の救出に成功します。が、これ以外はほぼ二重戦線が形成され、突破の見込みはなし。そこで、唯一、ソ連軍が展開し切れていない西端に歩兵と装甲部隊を投入して、掃討に当たらせます。
T10D ワロニエ救出、さらに敵を包囲
 中央部では大突破は無理なので、装甲部隊の連続攻撃で緩慢ながら損害を与え続け、狙撃兵2個師団を包囲下に加えます。
T10D 反撃の反撃!
 このターンの損耗は、ソ連軍(のみ)が6ステップロスとなります。
 残すところ3ターンとなった第11ターン、この2月の中旬に来て、8度目の雪に。となると、まだ機動の余地があるため、決定的な成果は出ませんが両軍とも消耗戦を仕掛けます。
 ソ連軍は、主力の戦車は防御用に温存し、数限りなくいる狙撃兵による平押し(!)を行います。防御射撃で多少の損害が出るも、数の多さは有利で、ドイツ軍に少数ながら損害を与えます。それが予想以上に奏功し、なんとドイツ軍装甲2個スタックが包囲されます。
T11S もはや歩兵による平押しのみ
T11S
 ドイツ軍は即時反撃を実施。もとより狙撃兵師団で装甲部隊を止めることは不可能で、損害を与えて、敵を敗走させ、被包囲部隊をなんなく救出します。
T11D 包囲された部隊を難なく救出
 さらに、連続攻撃で打撃を与え続け、受けた以上の損害を敵に与えます。
 ソ連軍部隊の包囲は続き、さらに5ステップが損耗します。
T11
 第12ターン、さらに雪が続きます。Korsunでは、最後の守備隊をソ連軍が圧殺し、ついにここが陥落します。
T12S ついにKorsun陥落
 また、中央部で包囲-脱出を繰り返す第20戦車旅団に対し、3度目の救出に成功し、前線を直線化して、防衛体制を整えます。
T12S 20TC救出作戦
T12S
 ドイツ軍も同様で、被包囲下の装甲師団を救出がてら、正面からの平押しを繰り返し、戦術的優位を生かして少なからずの出血を与え続けます。
T12D 正面の平押しと西方の突進
 そして、迎えた最終の第13ターン、まもなく春の兆しが見えそうでしたが、ウクライナの大地には最後まで雪が降り続きます。ソ連軍は東部で歩兵による赤い津波で1カ所を後退させるも、そこまで。
T13S 最後の攻撃
 ドイツ軍は「最後だアタック」で、少しでも敵を包囲下(壊滅したものと見なす)に置くため、実りの少ない攻撃を行い、3スタックを包囲したところで終了。長かった極寒の解放戦に、終止符が打たれました。
T13D 部分包囲を狙った戦術的攻撃
終了時
 VP計算をしたところ、
 ドイツ軍:23点(231戦力を撃破)
 ソ連軍:16点(161戦力を撃破)
で、ドイツ軍の戦略的勝利になりました。
 いや、激しかった!ソ連軍が被包囲部隊を無視して、とにかく突進する作戦が奏功し、いわゆるコルスン・ポケットの形成に成功しました。ドイツ軍は3カ所に分断され、反撃に時間がかかったものの、大地の状態が良かった(雪が多かった)ため、想定通りの猛反撃を実施。戦力的には、北部の撤退部隊の1/4ほどを救出したのみでしたが、絶え間ない装甲部隊による連続打撃で敵の小包囲と出血を強いて、VP的には圧勝となりました。選択ルールを入れて、やっと史実に近い展開になったかと思います。
 いずれにしろ、自由度が高く、慣れ(練度)が物を言うアイテムだけに、やり込むとかなり楽しいでしょう。