この日、予約をしていたのが、東部戦線80周年記念の作戦戦術級の「コルスンの戦い」(CMJ)です。移動と戦闘が一体化した、いわゆるフリー・シークエンスのアイテムで、正面攻撃と突破の予備、背面展開の包囲部隊など、毎ターン、作戦計画を立てて、戦闘結果によって、それを修整していく面白さが売りです。序盤は、圧倒的なソ連軍が包囲環を形成できるか、ドイツ軍がそれを薄氷の救出作戦で阻止できるかが、ポイントです。中盤以降に、反撃態勢が取れれば、強力無比な重戦車による猛反撃が展開されます。詳しくは、以下をご覧ください。
 インストの後、ソ連軍(morita)対ドイツ軍(mitsu)で対戦します。なお、今回は基本ルールでのプレイです。
 第1ターン、特別ルールにより、西側の両軍は行動できません。ソ連軍は、東側で戦車部隊を持って、中央の敵戦線に連続攻撃をかけます。絶え間ない打撃をうけ、ドイツ軍は戦術的後退を余儀なくされます。その中で、南部後方を守っていた第219突撃砲大隊が包囲下に残されます。
T1 第219突撃砲大隊、包囲さる
T1 ソ連軍の突進
 この部隊は、続く、ドイツ軍ターンに自力で包囲を打ち破るも、充分な離脱ができず、主戦線に収容できず。北部のヴィーキング師団の装甲擲弾兵連隊は全力で幹線道路に向けて後退。その他の部隊は、防御射撃力が低下するのを覚悟で、一部を除いてスタックをばらして、大突破を防ぐ二重戦線を張ります。そして、次ターンから始まる西部での敵攻勢に備えて、なけなしの装甲予備の第14装甲師団を、ZVENIGORODKAに転進させます。
T1 ドイツ軍、戦術的後退
 第2ターン、ソ連軍は東側で中央部での攻撃・前進を続けながら、戦車兵力の半数以下を南部に投入して、ドイツ軍戦線を大きく後退させます。また、北部では2個歩兵大隊が包囲下に残されます。同時に、西側での攻撃が始まり、歩兵のみの前線を戦車が蹂躙して、前進を果たします。
 ドイツ軍は、第5SS装甲師団の装甲大隊で、包囲された2個歩兵大隊の救出を考えましたが、戦線の構築ができなくなるため、断念。被包囲部隊を確地として(犠牲にして)南端までの戦線を引きます。敵への反撃力を高めるため、装甲スタックを並べますが、一部は森の障碍効果に期待して、1個大隊で散兵線を引くという有様。南部でも第219突撃砲大隊の救出を諦め、移動力不足で逃げ切れない(消耗した)歩兵大隊で阻止線を形成し、時間を稼ぐのがやっと。
 一方、西側では、歩兵2個大隊が包囲下に残されましたが、駆けつけた第14装甲師団と後退した歩兵で、Gniloy Tolich河沿いに薄い戦線を構築します。
T2
 第3ターン、このターンにドイツ軍の北部部隊が登場し、脱出を試みます。ソ連軍は大包囲を行わんと、東側の中央部で攻勢に出ますが、南部に兵力が移動してしまったため、兵力不足で前線は後退させたものの、包囲には至らず。
 代わりに南部では、戦車部隊も投入した猛攻で、1個大隊を殲滅し、装甲大隊を重包囲、さらにドイツ軍の拠点(補給源及び増援登場地点)の7割を押さえます。
 西側では、包囲した2個歩兵大隊に3ステップの大損害を与え、Gniloy Tolich河に辿り着きます。
 東側のドイツ軍は、3ユニットの増援で装甲スタックを強化し、敵の攻撃で大きな損害を受けながらもZOCを突破してきた歩兵、第5SS装甲師団の装甲擲弾兵連隊で、戦線を強化します。そして、北からは包囲の危機に移動してきた歩兵大隊がコルスンまで南下します。
 西側では、効果的な戦線を引き直すために、Tihkonovkaの敵歩兵(包囲下扱い)を第14装甲師団で攻撃し、これを殲滅。戦闘後前進により、Gniloy Tolich河戦線を強化します。
T3 SHPOLAに迫るそれン軍 
 第4ターン、ソ連軍は、東側南部の森林地帯で猛攻をかけ、一時的にドイツ軍戦線を撃退し、要衝SHPOLAまで2へクスに迫ります。
 ここで、ドイツ軍に重戦車を含む強力な増援が登場!手薄なソ連軍戦線に装甲による強烈な反撃を加え、3スタックを敗走させ、戦線を安定化させます。
 一方、西側では、ソ連軍の戦車部隊が強襲し、2個歩兵大隊に大損害(4-2)を与え、一気にZVENIGORODKAに肉迫します。
T4 西部でも猛攻
 ここでも、第14装甲師団の一部が果敢に反撃し、地形を生かして、どうにか防衛線を維持します。が、次にフルに移動・攻撃をされたら、かなり、危ない状態でしたが・・・。
T4
 ああ、第5ターンに念願の泥濘!(移動力が半減)ソ連軍戦車部隊の足が止まり、ZVENIGORODKA方面の戦線は安定化します。そこへ、西側のドイツ軍の増援が登場し、強力な3個の機動スタックが予備となります。
 一方、東側ではソ連軍が泥をかき分け、猛攻を加えます。が、万全のドイツ軍装甲スタックの防御射撃は凄まじく、主力の戦車部隊が損害に耐えかねて後退する事態が続出。ドイツ軍にまともな打撃を与えられず、1カ所を除き、攻撃は頓挫。唯一の明るい要素は、包囲下だった第219突撃砲大隊が壊滅し、南端近くの道路が開通したことか。
 戦線の崩壊を免れたドイツ軍は、北部部隊の脱出に成功し、コルスンポケットはならず。
T5 北部部隊が脱出、東部で反撃開始
 この時点で、あとは正面からの叩き合いにしかならないことが判明し、ソ連軍勝利の可能性がほぼなくなったため、ドイツ軍の判定勝ちで終了しました。
 フリー・シークエンスは、作戦立案と臨機応変な調整が実に楽しく。最善手を尽くした上で、戦闘結果に一喜一憂し、戦闘後前進に知恵を絞る佳作だと思います。
 ただし、練度の差が大きく出るので、ソ連軍が経験が少ない場合は、選択ルールの使用で調整がよいかと。史実の包囲形成のためには「ドイツ軍の移動制限」が適切でしょう。が、「被包囲部隊の消耗」まで採用すると、今度はドイツ軍にかなり厳しくなるので、ご注意を。しばらく、再戦したいと思えるアイテムです。
 なお、この対戦で東部戦線アイテムの達成率が5割(!)を超えました。更新記事をご覧ください。