今月のソロプレイ第6弾は、WWⅡ戦闘級アイテムの「TANKS+」(CMJ)から東部戦線シナリオAS32「地獄の市街戦」です。その名の通り、スターリングラード市街戦を描くものですが、「TANKS+」シリーズ初のソロシナリオになっています。
 参加兵力は、ドイツ軍がⅡ号C型2両に、Ⅲ号G型4両、APCと歩兵がともに3ユニットです。対するソ連軍は、ドイツ軍が視界に入ると、戦車部隊と歩兵(対戦車部隊)のプールから、ランダムに登場します。ダミーもあり、プレイごとに参加兵力が変わり、リプレイアビリティは高いです。
 戦車プール:T70×4、T34/76 ×3、ダミー×6
 歩兵プール:狙撃兵×6、Pak(76.2mm砲) ×3、ダミー×6
T0
 ソ連軍は一切、移動ができず、戦車と対戦車砲は一度発砲すると射撃済みとなり、回復チェックをして復帰できます(2d6して、対歩兵攻撃値以下)。また、命中率が(修整後に)6以上にならないと発砲できません。が、ほとんどの戦闘は至近距離(3へクス以内)のため、ソ連軍の命中率の低さはそれほどハンディにならず、砲の威力はそれを補って余りがあります。また、狙撃兵は射撃回数に制限はなく、本来、ソ連軍が持たない対戦車攻撃能力(破壊値6)を隣接へクスに使用できます(集束手榴弾)。
 勝利条件は、敵を撃破した点数と生き残った点数(ソ連軍)、突破数(または阻止数)の合計VPで、枢軸軍がプラスになれば、勝利です。
 第1ターン、まず、左翼からハーフトラックが偵察をかけます。これにより、#0309にT70を発見。T70は防御射撃を行い、(dr2もあって)2発を発射し、1発を命中させますが、なんと跳弾!ハーフトラックはなおも前進し、延べ3へクスの偵察に成功します(うち2へクスは敵不在)。
 さらに最左翼を突進したAPCが、中央の建物にPakを発見します。Pakはすかさず火を噴きますが、幸いにしてはずれ。
T1 ハーフトラックによる偵察
 これを見てドイツ軍は、中央にⅢ号3両と歩兵を乗せたAPCを差し向け、前衛のT70を至近距離で撃破します。また、右翼にはⅢ号1両と歩兵を乗せたAPCを1両、左翼にはⅡ号1両と偵察用のAPC2両を投入します。中央のPakに集中攻撃を行いますが、前進射撃修整と地形修整で撃破できず。
T1 ドイツ軍
 ソ連軍ターン、このPakが回復し、準備射撃でAPC1両を撃破します。
T1 ソ連軍
 第2ターン、時間がないドイツ軍は、前進しながら、偵察と攻撃を実施する戦術に。最右翼を進んでいたⅢ号が建物を乗り越えたところで、敵Pakに発見され、直撃を受けます。が、幸いにして、跳弾で難を逃れます。
T2 PAK!
 他の部隊も全力で前進し、中央の奥の建物にもPakを発見します(まるで、クルスクか)。前進射撃をしますが、修整がきつく当たらず。
T2 ドイツ軍
 中央では、#0305に居座るPakに対し、歩兵が突撃をかけましたが、肉弾戦はスカ。ソ連軍ターンに、このPakはまたも回復し、ドイツ軍歩兵を吹き飛ばしてしまいます。
 また、最右翼のPakも次弾装填に成功し、囮のⅡ号戦車(弾薬切れ)を撃ちますが、こちらはまたも跳弾(3度目!)で生き延びます。
 撃破修整のdrに助けられているものの、建物に籠もるPakの排除に苦労しています。
 第3ターン、なおもドイツ軍は前進し、近接戦闘で敵の撃破を試みます。右翼では、歩兵がPakに肉弾戦を仕掛け、これを撃破。
 すかさず、後方からAFVが突進し、右翼から中央をほぼ視認します。結果、右翼では#0500にT70のみを認めます。
 一方、左翼では#0003に強力なT34/76!前進したⅢ号2両が命中弾を出しますが、傾斜装甲に弾かれ、効果なしに。
T3 ドイツ軍
 続く、ソ連軍ターン、回復した中央のPakがⅢ号の側面を貫き、1両を撃破してしまいます。また、このPakと白兵戦中のドイツ軍歩兵に対し、隣接へクスの狙撃兵が射撃を行い、この歩兵も排除してしまいます。ああ、スターリングラードの廃墟は、ドイツ軍の肉挽き機か!!
T3 ソ連軍
 第4ターン、もはや、勝利の可能性は低いですが、ヴォルガ河への突進(盤外突破)しかないと、ドイツ軍は左翼で前進をかけます。APCが機銃掃射で突破へクスに隣接する狙撃兵を撃破し、Ⅲ号戦車がT70を撃ち取ります。これで、2カ所の突破は確実になります。
 一方、左翼では生き残ったⅢ号戦車が、T34を攻撃しますが、こちらは外れ(痛い!)。ならば、近距離攻撃しかないと、Ⅱ号戦車が前進射撃を命中させますが、+1にかかわらず、またも跳弾。
T4 ドイツ軍
 ソ連軍ターン、イワンらしくない素早い行動で次弾装填に成功したT34は、至近距離でⅡ号戦車を撃破します。これで、最左翼からの突破は、不可能に。
T4 ソ連軍
 第5ターン、中央では弾薬切れのⅡ号戦車が囮になり、Pakの射撃を引きつけ、撃破されます。が、この隙に右翼の2カ所からⅡ号戦車とAPCが突破に成功します。また、忍び寄った歩兵が、Pakに白兵戦を仕掛け、これを撃破します。
T5 強行突破
 左翼では最後のⅢ号戦車が敵の動きが鈍いことを見越して、突進をかけます。幸いにして、これが成功し、ソ連軍は回復なし。
T5 ドイツ軍
 第6ターン、左翼のⅢ号戦車が囮になって突進し、敵を引きつけます。未確認だった#0100の敵は、強敵のT34!正面から76mm砲弾を浴びたⅢ号戦車は、撃破されます。
T6 突破も・・・
 が、これにより、中央のⅢ号戦車が射撃の隙を掻い潜って、#0200からの突破に成功します。これで、ジ・エンド。
 VP確認をしたところ・・・
 ドイツ軍:15VP(敵の撃破9点、突破6点)
 ソ連軍:30VP(敵の撃破17点、突破阻止2点、残存11点)
と、ダブルスコアの惨敗でした。まさに、地獄の市街戦!!
終了時
 今回は、攻撃力が高く、かつ、撃破しにくいPakが多く(全3ユニットが登場)。ある意味、得点源の敵AFVも、強敵のT34と、非常に厳しい戦いでした。特に、中央の建物のPakは、APC、歩兵、Ⅲ号戦車を撃破し、かつ、生き延びる(!)というソ連邦英雄金星章レベルの大活躍。ドイツ軍も囮を使うなど、巧妙に仕掛けましたが、撃破drに祟られ、7ユニットの敵を討ち漏らしたのが響きました。
 これも、兵力のランダム性が高いので、事前のソロでは、 10ユニットを討ち取り、全てのへクスから突破し、圧勝になったことも。ともあれ、リプレイアビリティが非常に高い秀作だと思います。