今月のソロプレイ第3弾は、「グイン・サーガ」(ツクダ)からノスフェラスです。正伝で言うところの5巻までのノスフェラス編をゲーム化しています。
グイン・サーガといえば、日本を代表する和製ファンタジーで、正伝だけで130巻を超える記録を持っています(ギネスには該当がないと言うことで、却下)。惜しむらくは、原作者の栗本薫氏が50代で鬼籍に入ってしまったことで、今はその意志を継いで連名による続編が作られ続けています。
自分が初めてグイン・サーガに接したのは大学生の頃で、その怪奇ファンタジー色に魅せられ、当時の全巻を制覇。はじめは純粋なファンタジーかと思いきや、途中からは恋愛劇や陰謀劇、SF色まで入り込んで、なんて多彩な色合いなんだろうと、衝撃を受けました。社会人になって一時離れていましたが、数年前に一念発起して、読み直しを。改めて読んでみて、丁寧な作りとプロット、そして納得のいくまで書き上げるという姿勢を深く感じることができました。
では、ゲームとしては、どうか?システムは、モンゴール軍の移動・戦闘-パロ・セム・ラゴン軍の移動戦闘-回復-捕獲・脱走とシンプルです。が、正直を言うと、デヴェロップが惨く、全然、ノスフェラス編らしくならないのが、残念です。
理由の一つが、モンゴール軍の機動力のなさと打たれ弱さで、1へクスの移動をする度にノスフェラスの畏怖判定が必要になります。1d6して5-6が出ると、士気減退して移動・戦闘ができず、防御力も1/2となり、何らかの被害を受けると壊滅してしまいます。実際に大量増援の来る第6ターン(4つの正規騎士団が登場)では、この畏怖判定が厳しく、スタフォロ城を渡ってすぐに渋滞が発生。とても、奥地に進むどころではありません。しかも、回復もやはり5-6が出ないとならず。一斉展開など、夢のまた夢。元ルールでは、壊滅と士気減退が9ユニット(1/3)以上になると、即敗北になるので、士気崩壊数を確認しながら、恐る恐る進行するモンゴール軍に(まるで、クムかユラニアか)。全軍展開しようとすると、確率論的に敗北とはこれいかに!!
また、勝利条件のリンダとレムスの捕獲が、今の手順では極めて困難です。両軍の移動・戦闘・回復終了時に、やっと捕獲があるのですが、敵ZOCに対するキャラの移動制限が曖昧であり、リンダとレムスのへクスにモンゴール軍が進入しても、続くパロ軍の移動で離脱できるので、いつまで経っても捕まらず。これを防ぐには、モンゴール軍を敷き詰めるしかないのですが、先ほどの恐る恐るのモンゴール軍では、とても無理。
さらに、ラゴンの招集がやや早く、全力を尽くせば9ターン前後には、グインが助っ人とともにラク谷周辺まで戻ってきてしまいます。ラゴンの戦闘力は、モンゴール軍の1.5倍あり、スタック制限を加えると、フルスタックで守っていても2:1を喰らいます。グインの修整±4を合わせると、DEの確率が1/2と圧倒的です。
これを改善するためには、相当の調整(オリジナル・ルール)が必要です。何度か、試しをした上で、以下のルールを取り入れることにしました(ああ、こまいふさん曰く「人生の残りの時間」を無駄に使ってしまった?!笑い)
[明確化]
・ユニットは、敵ZOCに進入したら、直ちに停止する。よって、敵と同じへクスにいる(捕虜になっていないキャラは)隣接する1へクスにのみ、移動できる。
[変更]
・ノスフェラスの効果は、1へクスの移動ごとでなく、各移動時にする(移動終了時にdr判定)。ただし、序盤(第6ターンまで)の赤騎士隊については、元のルールを適用する。
・捕獲の試みは、モンゴール軍の戦闘終了時に行う。士気減退状態でない(キャラ以外の)戦闘ユニットが、パロ軍のキャラとスタックしていれば、捕獲しうる。
・脱走の試みは、パロ軍の戦闘終了時に行う。
・モンゴール軍の損害による敗北条件は、壊滅(E)のみを対象とする。
・リンダとレムスは、まず、ラク谷を目指す(止まる)。そこが、モンゴール軍に占領されると、カナン山脈を目指す。
同時に、やたらと士気減退するモンゴール軍には、専用のシールを裏面に張ってあります。また、セム族とラゴン族用には、士気減退マーカーを準備。その裏面は、キャラの捕獲状態を表す捕虜マーカーにしました。なんて、至れり尽くせり(笑い)。
第1ターン、マップ上には、スタフォロ城が脱出した(キャラのみの)双生児一行とラク谷のセム1ユニットのみ。これを赤騎士隊を率いるアムネリスが追いかけます。「奴らはまだ、遠くに行っておらん。日が暮れるまでに見つけ出せ!」公女アムネリスの檄を受けたモンゴール軍が動き出しますが、ノスフェラスの砂漠に入った途端、大食らいに襲いかかられ、パニックに陥ります(士気減退)。
この隙にグイン一行は荒れ地を抜けて、南下します。
第3ターン、最短距離を駆けぬけんと、モンゴール軍は森林に入り込みますが、ここでグールの待ち伏せに遭い、ストップ。
これで時間を稼いだ一行は、スニの導きで双生児がラク谷へ。一方、グインはラゴンに助力を請うべく、カナン山脈に向かいます。

第4ターン、パロの双生児はついにラク谷へ到着します。焦るモンゴール軍は、なおも森林を進みますが、再び襲いかかるグールに足止めを喰らいます。このていたらくに、アムネリスの憤懣はピークに達します。「どいつもこいつも、赤騎士隊は腰抜けか!!」


第5ターン、この叱責にいたたまれなくなった赤騎士隊のアストリアスは、先駆隊を組織し、猛烈な勢いで敵を追いかけますが・・・「ああ、なんだ、こいつは!」小さな谷に突入した先駆隊は、ノスフェラスの怪物イドに呑み込まれ、全滅!アムネリスは、やむなく、迂回を命じます。




一方、なんとしても一矢報いたいアムネリスは、ラク谷の背後からわずか1ユニットで奇襲をかけます。セム族は長老のロトを中心に迎え撃ちますが、足並みが揃わず、敗退(1:1の-1修整)。パロの双生児も慌てて、逃げ出すハメに。
「キー!キィー!!」これにより、ラク族は大混乱に陥り、集結を始めていたラク族は四散してしまいます(ラク谷の陥落で、援軍を得られず)。
ラク谷を占領したアムネリス隊は、混乱から回復していないセム隊を強襲し、これを撃破してしまいます。「サルどもを、皆殺しにせよ!」
パロの双生児たちは、ただひたすら逃亡を図り、砂漠を彷徨います。一方、遠くカナン山脈を越えてラゴン族と接触したグインは、英雄ドードーとの決闘の末、これに勝利。ラゴンの信頼を勝ち取って、部隊を率いて、再び、山脈越えにかかります。
第9ターン、なおも辺境を逃げ惑う双生児に、ついにアムネリスと青騎士隊が追いつきましたが・・・ここで、再び、ビッグ・イーター(よりによって、士気減退)。
間一髪を捕縛を逃れた双生児たちは、鞭を打って、熱砂の砂漠へ。飲まず食わずで、疲れ切ったリンダとレムスは、意識を失う直前に。「もう・・ダメだ・・・」
そこに吹く一陣の風、そして、蜃気楼の彼方から現れる人影。先頭に立つのは、黄金に輝く豹頭の戦士!そう、ギリギリのところで、グイン率いるラゴン隊が到着!「グイン!ああ、グイン!」
間一髪を捕縛を逃れた双生児たちは、鞭を打って、熱砂の砂漠へ。飲まず食わずで、疲れ切ったリンダとレムスは、意識を失う直前に。「もう・・ダメだ・・・」

一方、双生児とグインは邂逅の喜びもつかの間、モンゴール軍を叩くべく、転進します。精強なラゴン隊が雄叫びを上げて猛攻を加え、アムネリス本陣を撃破。
「宮殿の舞踏会で男の首を取るがいい」追いついたドードー隊も加わって、さらに黒騎士隊の1ユニットを殲滅します。

第11ターン、形勢逆転されたモンゴール軍は、このまま、押されるだけか。が、ここでモンゴール軍の精鋭青騎士隊が一瞬の隙を突き、砂漠を迂回して、双生児を守るラゴン族に奇襲をかけます。「あっさりと引きあげたと思ったが、やはり伏勢があったのだな」指揮を執るのは、老練なマルス伯爵。
2:1の攻撃の結果は、見事にDE!逃げ惑う敵を蹴散らしながら、リンダとレムスを捕虜にしてしまいます。まさに、モンゴールの至宝!

アムネリス隊を壊滅させ、追撃に移ろうとしていたグインは、この後方の異常を察知します。すぐに方向を転換すると、戦場から立ち去ろうとする青騎士隊に襲いかかります。勇将マルス伯もモンゴールの鉄壁の防御でこれを迎え撃ちますが・・・2倍の身長と怪力を誇るラゴン族とその先頭に立って鬼の形相で突撃を敢行するグインの前に、戦列は崩壊し大混乱に陥ります(壊滅しなかっただけ、優秀と言える)。
が、この隙に乱戦に突入したイシュトバーンとスニ、そしてグインが、パロの双生児を見つけ出し、保護に成功します。『グインは腕にかかる冷たい小さな手を感じてふりむいた。黄色い目が、ゆっくりと細められる。』
が、この隙に乱戦に突入したイシュトバーンとスニ、そしてグインが、パロの双生児を見つけ出し、保護に成功します。『グインは腕にかかる冷たい小さな手を感じてふりむいた。黄色い目が、ゆっくりと細められる。』
第12ターン、隠れていたセム族が一斉蜂起!明らかな劣勢に動揺したモンゴール軍は、荒地や森に逃げ込んで立て直しを図りますが・・・ここで、最後のイド!荒れ狂う粘膜質の大軍に青騎士に一隊が呑み込まれます。これがさらなるパニックを呼び、モンゴール軍はバラバラに。


一気に片を付けん!大反攻に転じたパロ・セム・ラゴンの連合軍は、グイン隊、ロト隊、ドードー隊が一斉に強襲をかけます。さらに、リンダ(!)率いる別働隊までが、追撃に加わり、モンゴール軍を圧倒。士気減退ユニットも含めて、このターンだけで6ユニットが討ち取られ、この時点でモンゴール軍の損害が11となり、ジ・エンド。ノスフェラスの戦いは、パロ・セム・ラゴン軍の勝利となりました。























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