今月のソロプレイ第1弾は、「講談級 大坂の陣」(GJ)冬の陣「真田丸の戦い」です。大坂の陣を巡る合戦級で、GJ誌からは再版を含めて3つの同規模のアイテムが出ています(幸村外伝及び幸村外伝EPISODE-0)。その中でも、このアイテムは最も難易度が低く、非常にプレイしやすくなっています。
T0
 システムの基本は、チット・ドリブンでそのターンに使用できる部隊のマーカーを選択して、カップから順に引いていくというもの。該当のマーカーを引いた部隊は活性化し、行動力の範囲内で自由に移動と戦闘(3移動力分)を行います。この時、雑兵は、大将の指揮範囲内(最大で4へクス)にいないと、活性化できず。また、攻撃面(攻撃力と移動力に優れる)にするのか、防御面(防御力は高めだが、ほぼ移動できず)にするのかを、部隊統一で選択します。
 推測の通り、各隊の行動力が大きくものをいいます。東軍は士気と練度の低さを反映して、伊達隊や前田隊などの大大名でも7行動力(最大でも、井伊隊や藤堂隊の9行動力)で、中小は4程度です。対する西軍は、一部を除き、7行動力以上で、長宗我部盛親や木村重成、後藤又兵衛など名のある武将は10と突出しています。最強の真田隊に至っては、通常が10で、幸村本隊は12(!) という驚異的な評価です。
 戦闘はシンプルで、両陣営の武勇値を比較し、高い側が先制のdrをします(同じならば、防御側が先制。または一方が陣地にいれば、そちらが先制)。この時、戦闘力以下が出れば、敵を一発除去(!)できます。よって、強力な部隊は一方的に敵に攻撃を仕掛け、撃破すれば全くの損害を受けずに移動を再開し、さらに敵を撃破という、まさに講談における戦いぶりが再現されます。ZOCのルールがないのも、この攻撃側無双を効果的にしています。
 実際にプレイしてみると・・・雲霞の如く押し寄せる東軍を堀で防ぎつつ、西軍が城内に進入した敵を攻撃モードで撃破。さらに、最強の真田隊が、隙を見て真田丸から出撃。高い行動力で敵の重層陣地を粉砕し、そこから次の部隊が突撃して、大将を除去(大将を討ち取られた部隊は、以後は防御のみに)。次々と大将ユニットを失った東軍は大混乱に陥り、史実同様(あるいは、史実以上?)の大敗に。
 漫然とプレイすると、ほぼ確実にこの展開になり、真田信繁に名を上げさせるだけになります。数度のソロ演習の結果、東軍が勝つには、以下の作戦が有効とわかりました。
・井伊隊・藤堂隊を先陣に、伊達隊・松平隊が松屋口・谷町口・八丁目口を攻め、ルートができたら可能な限り、突入し、VP獲得を目指す。部隊にゆとりがあれば、突入部隊の連絡路を確保する(VPが2倍に)。
・上記のいずれかでも、大将の安全を最優先にする。真田隊は簡単に戦線を突破してくるので、連続攻撃を受けにくいよう、一定の距離を取っておく。
・史実の轍を踏まぬよう、真田丸は無視する。ただし、敵の出撃路には、小大名を(できれば防御面で)配置しておき、時間を稼ぐ。いずれ、真田隊が出撃するだろうが、その場合は、部隊の全力を持って、反撃をかける(こちらが攻撃面なら、幸村を除き、戦闘力は五分である)。
・前田隊は、真田丸を迂回して、平野口・黒門口に攻撃をかける。
 主力隊の突入次第ですが、うまくすれば10ユニット近くを城内に送り込め、VPになります。その上で出撃してきた真田隊を(相当の損害を覚悟で)返り討ちにできれば、勝機はあります(4度目のソロで、東軍が初勝利)。この案に沿って、プレイをしてみます。
 第1ターン、このターンは関東方のみが行動でき、全部隊が城壁に寄せます。
T1
 第2ターン、先手を取った井伊隊が八丁目口に押し寄せますが、長宗我部隊の激しい防御にあって、3ユニットが壊滅します。ならばと、西端の伊達隊が松屋町口に寄せますが、こちらも堅い防御を崩せず。大坂方ががっちりと城壁を守ります。
T2 井伊隊が先駆けるが・・・
T2
 第3ターン、関東方は井伊隊に代わって、藤堂隊が八丁目口の一角を崩し、城内に突入します。同時に松屋町口を攻め立てる伊達隊が突入に成功し、5ユニットが一気に前進します。
 これに対し、大坂方は中央の木村隊を投入し、八丁目口を奪還します。さらに、先陣を切る後藤又兵衛が奮闘し、強力な白兵戦で次々に伊達隊を討ち取ります。
T3 伊達隊と藤堂隊が突入
 と、ここで、手薄になった中央を松平忠直隊が強襲。木村隊を退け、一気に7ユニットが城内に突入します。
T3 松平隊も突入
 第4ターン、大坂方は、木村隊に続き、真田隊の投入を決定。後詰めに明石隊チットを投入します。
 第一手は、その真田隊が活性化!真田幸村が進路を塞ぐ古田隊を殲滅し、篠山を占領します。その後から猿飛佐助隊が東高津宮を強襲するも、南部隊が踏みとどまります。
T4 真田隊、動く
 第二手の前田隊に続き、第三手で大坂方の明石隊が活性化し、主のいなくなった真田丸を守ります。
 第四手はまたも大坂方で、活性化した木村隊が獅子奮迅の活躍で、突入した松平隊を半壊させます。
T4 削られる関東方
 その後、関東方チットが出るも、城攻めをする余裕はなく、高津宮周辺に集結し、真田隊の来襲に備えます。
 第5ターン、ついに大坂方と関東方のチット数が並びます。先手を取ったのは、やはり真田隊!猿飛隊が南部本陣を壊滅させ、そのまま、松平忠直本陣を強襲。が、これは強烈な防御射撃を喰らって、返り討ちに。
T5 忠直本陣の逆襲
 が、連続チットで活性化した幸村本隊が佐助の仇とばかりに突入し、松平忠直とその舅の伊達政宗までも討ち取ってしまいます。
T5 が、忠直と伊達政宗が討ち死に
 一方、城内では木村隊が退路を断って関東方を蹂躙し、わずか1ユニットまで削り取ります。
 関東方は、前田隊が七手組の一角を崩し、3ユニットが突入するのがやっと。
T5
 最終の第6ターン、大大名の大将が討ち取られたことでお鉢の廻ってきた榊原隊が一瞬の隙を突き、城内への侵入に成功します。ここで、前田隊チットが引ければ、大量突入のチャンスがあったのですが・・・ああ、七手組!前田隊唯一の突入路を、豊臣勢が封鎖します。
 さらに城内での激闘を制した木村隊が、苦し紛れに突入してきた藤堂高虎を討ち取り。
 唯一、まともな戦力を保持する前田隊が、黒門口周辺で七手組を強襲するも、戦果なし。ここで、ゲームオーバー。
T6
 関東方は、連絡線を確保した前田隊の3ユニットと、孤立した2ユニットで、合計は4点のみ。対する大坂方は、伊達政宗・松平忠直・藤堂高虎のビッグネームを討ち取り、かつ、要衝の確保で8点を得て、ダブルスコアで勝利しました。
 チットと戦闘dr次第では、一方的な「講談級」になりえますが、案外、まともに冬の陣を再現しています。「講談級」という名称でなく、ユニットも猿飛佐助を単に真田隊にしていれば、もっと評価されているだろうなぁ~と。プレイ時間も60分というのが、魅力です。