今月のソロプレイ第1弾は、「熱闘12球団ペナントレース」(HJ)の1983年日本シリーズです。パリーグ優勝の西武ライオンズ対セリーグ覇者の読売ジャイアンツの戦いです。
 西武ライオンズは、先発の東尾、松沼兄弟、高橋のグレードB が4名と絶対的な抑えの森(A&C)という強力な投手陣です。打撃では、俊足石毛に、シュアな打撃の立花、山崎、スティーブに、一発のある田淵、テリー、太田と隙がなく、様々な形で得点が取れる優勝チームです。監督は、西武の黄金時代を築いた名将広岡達朗です。
 一方の読売ジャイアンツは、先発の加藤(グレードA)に江川(B)、抑えの角と新浦(B)と投手力ではやや劣ります。が、こちらも俊足松本に、好打者篠塚、吉村、中畑に、一発のある原、スミスと、3割打者が4名おり、平均打率では西武を上回ります。監督は、巨人での第一期の最後となる「情の人」藤田元司です。
 第1戦は、西武のホームグランドのライオンズ球場で、東尾対江川のグレードB対決です。1回表、巨人は2番篠塚のヒットと盗塁で、1アウト2塁と得点のチャンスを迎えますが、ああ、ランナーが牽制でタッチアウトに。その裏、西武が立花のヒットとスティーブの四球で1、2塁とすると、5番テリーが先制のタイムリーできっちり先攻します。その後、両チームともランナーは出すものの、先発投手が要所を抑え、零行進が続きます。
第1戦
 次に試合が動いたのは、5回裏でした。ピッチャー強襲でグレードC になった江川を攻め、立花が狙い澄ましたソロHR を放ちます。スティーブの四球、田淵の内野安打でツーアウトながら1、2塁を作ると、再び、テリーのタイムリーで3点差とします。
立花
 巨人もヒットや代打山本のツーベースなどでチャンスは作りますが、先発東尾が老獪な投球で点を与えず。そのまま、完封し、3対0で西武が緒戦をものにします。
東尾
 負けられない巨人は、第2戦にエースの「鉄仮面」加藤(グレードA)を投入します。一方の西武は、「オトマツ」こと松沼雅(B)です。1回裏、西武は立花から田淵までの三連打で、1点を先制します。巨人も松本、篠塚の連続出塁でチャンスは作るものの、ダブルスチールに失敗するなど、嫌な流れが続きます。
田淵3
 これを一蹴したのが、4回でした。スミスの四球、原のヒットで1、2塁とすると、6番吉村が同点のツーベースヒット!さらに、河野がスクイズを決め、2対1と逆転します。6回には、先頭のスミスがソロで突き放し、6番吉村が犠牲フライで加点し、4対1とリードを広げます。
吉村
 先発加藤は尻上がりに調子を上げ、6回以降はヒット1本の好投で9回を投げ切り。そのまま、巨人が勝利し、勝率を五分に戻します。
加藤初
 第3戦は、舞台を後楽園球場に移し、先発は高橋(グレードB)対西本(C)です。ともに1回は点を与えずも、2回に西本が捕まります。田淵のヒットの後、7番山崎が先制のツーランHR。すると、その裏、ジャイアンツもスミスの一発で1点差とし、ツーアウト3塁で、なんとピッチャー西本が同点タイムリー。
第3戦
 が、3回、総合的な破壊力で上回る西武打線が、火を噴きます。立花、石毛、スティーブ(走塁死も)の3連続ヒットで1点を取ると、4番田淵がこれぞ主砲というツーランHR!
田淵
 その裏、ジャイアンツも篠塚の一発で、2点差にしますが、4回以降は、リリーフした新浦と先発高橋が投手戦を展開し、点差は変わらず。8回、西武はスティーブのヒットの後、5番テリーにも一発が出て、7点目。さらに、気落ちした鹿取から、立花・石毛の連続ヒットと田淵、テリーのタイムリーでさらに3点を加えます。
terry
 先発の高橋は、4回以降はノーヒットの圧巻の投球で、ゲームセット。10対3で、西武が圧勝します。
 両チームとも勝ち星にしたい第4戦の先発は、「アニヤン」松沼博(グレードB)対槇原(C)です。この日も先制したのは、西武。2番石毛が快足を生かして、スリーベースを取ると、スティーブがあっさり決めて、1対0とします。
スティーブ
 3回も同じように、石毛のツーベースに、スティーブのタイムリーで2点目。4回は、遊撃手のエラーで2塁に進んだテリーが、ヒットとスクイズで生還し、3対0とリードを広げます。その後も、5回に主砲田淵の3ランHR、7回に二打席連続のツーランで試合を決めます。
田淵2
 ジャイアンツは、4回に好調篠塚がソロHRを放つものの、タイムリーが出ず。そのまま、松沼博が8対1で完投し、西武はついに日本一へ王手をかけます。
篠塚
 巨人にとっては後がない第5戦は、初戦と同じ東尾(グレードB)と江川(B)の先発です。五度目の先制をしたのは、西武ライオンズ。1回、四球の石毛を置いて、スティーブがツーランHRを放ちます。
 本当に後がなくなった巨人は、ここで意地を見せます。2回に、眠れる主砲の原が目覚めのソロHR!4回には、レジー・スミスのツーランで逆転し、この日からスタメンに座った駒田が初HRと、一発攻勢で西武を突き放します。
原2
 気落ちした東尾から、なんと投手江川がソロHR を打ち込むと、なんと7回には永射からタイムリー(!)と打者顔負けの活躍。投げては、4回以降、パーフェクトピッチングで、波に乗る西武打線を翻弄し、2対6で完投勝利します。
江川
 第6戦は、再び、西武ライオンズ球場に戻ります。西武は、再び、グレードB投手の松沼雅です。巨人は迷いに迷いましたが、最終戦を考えて加藤を温存し、グレードCの鹿取を先発させます。
 序盤は両投手が見事なピッチングを披露し、鹿取は先発起用に答えて、5回まで西武打線を零封します。松沼雅も4回に駒田の一発を浴びたものの、最低失点で切り抜け、5回が終わって1対0と接戦になります。
鹿取
 が、三巡目を迎えた鹿取が、6回に捕まります。先頭の石毛が四球で出塁すると、絶好調の立花、スティーブが連打で同点に。ここで巨人は鹿取を諦め、新浦(グレードB)にスイッチしましたが、田淵の四球で満塁になったところで、テリーの満塁弾!一気に5点を失います。7回にも、リリーフ橋本が打ち込まれ、スティーブ、田淵のタイムリーで、1対7に。
t_terry
 巨人も毎回、ランナーを出し食い下がりますが、要所要所を松沼雅に抑えられ、どうしても得点できず。12安打を放ったにもかかわらず、得点はHRの1点のみと拙攻が響き、最後のバッター篠塚がダブルプレイで打ち取られ、ゲームセット。名将広岡の率いる西武ライオンズの優勝となりました。 
松沼雅
 MVPですが、3割3分3厘、3HR、11打点の田淵が獲得しました。敢闘賞は、3割8分5厘、2HR、2打点の篠塚でした。
田淵
篠塚2
 巨人は、本塁打こそ9本と西武を上回りましたが、平均打率はわずかに2割1分9厘でした。篠塚が3割8分5厘、駒田が5割5分6厘、HRはともに2本と気を吐きましたが、主軸の原、スミス、中畑、吉村が1割台と低迷したのが響きました。完投はわずかに2試合で、防御率は5.37と崩壊状態でした。
 対する西武は、平均打率は2割5分2厘で、スティーブが4割7分6厘、立花が3割8分5厘、田淵が3割3分3厘、山崎が3割と、4人が3割越えに。特に、MVPを取った田淵は3HRに11打点、打率は2割ですがテリーも2HRで9打点と、ここ一番の主砲の働きが光りました。防御率は2.50で、完投が4試合と先発投手が期待通りの活躍をしました。