今月のソロプレイ第11弾は、季節柄の「第6軍救出作戦」(Bonsai Games)です。その名の通り、スターリングラードで包囲された第6軍を救援するマンシュタインの攻勢で、冬の嵐作戦と呼ばれていました(最近では冬の雷鳴作戦というそうで)。編成上は装甲及び自動車化3個師団と強力ですが、充足していたのはフランスで再編された第6装甲師団のみで、あとは夏期攻勢の大消耗で保有戦車は定数の1/3以下に落ち込んでいます。これで、ソ連軍狙撃兵師団10個と機械化・戦車軍団3個を相手にしなければならない過酷さ!
T0
 ゲームシステムは、「金門島上陸作戦」(Bonsai Games)と同様のへクス/HQドリブンです。チットドリブンは有名ですが、このゲームでは任意の1へクスを指定し、そのユニット(スタック)が活性化します。または、師団/軍団チットを指定し、その所属ユニットが全て活性化します。ドイツ軍には師団及び軍団チットがあるので、1ターンに最大3回(!)の行動が可能です。ソ連軍は軍団チットのみなので、活性化は2回まで。ただし、行動済みのユニットが活性化するには補給ポイントが必要であり、第1ターン以外はどのユニットを活性化するか、計画性が必要です。
 勝利条件は、雷鳴線と呼ばれる救援位置までドイツ軍が進出すること。ソ連軍はこれを防げば勝利します。
 これに、drを振って大きい方が差額分だけ、支援チットを受け取れる航空優勢、戦車の優秀差を表すショック(事前に敵をステップロスさせる)等の特別ルールがあります。
 作戦方針ですが、ソ連軍は前線の部隊で時間を稼ぎつつ、ミシュコバ川後方にスタック戦線を引きます。また、薄くてもよいので二重線戦にして、ドイツ軍の戦闘後前進を制限します。機械化/戦車軍団は戦線の穴埋めに使うか、反撃を行います。
 ドイツ軍は、適切な活性化をしながら、効率よく敵の撃退と包囲撃滅を繰り返し、3線の雷鳴線の突破を目指します。
 第1ターン、ドイツ軍の支援マーカーは最大の5。そのうち、1個の空軍をミシュコバ川におき、敵が河川の防御効果を利用できなくします。
 第一撃は、第23装甲師団で、突出部から第91狙撃兵師団の1個連隊を攻撃し、これを最高比で撃破します。が、その後は、drの不調が続き、2/3でDEのはずのユニットが多数、生き残り、敵前線の掃討に時間がかかります。へクス単位の活性化が終わっても、まだ、ソ連軍は健闘していましたが、ここで第6装甲師団が活性化し、3ユニットを一気に除去します。
T1 ドイツ軍の攻撃開始
T1 へクスから師団へ
 ソ連軍は歩兵師団で再度、戦線を構築しますが、前進の機会を得た第23装甲師団がこれを強襲し、ミシュコバ川渡河に成功します。
 そのままの勢いで、ドイツ軍全ユニットを活性化できる第57装甲軍団チットで、戦線を北に押し上げます。次ターンの攻勢のため、あえて戦闘後前進で第23装甲師団の自動車化連隊を突出させます。
T1 軍団発動
 ドイツ軍が全行動を終了したことを確認したソ連軍は、第4機械化軍団で初の反撃に出ます。包囲下での2:1攻撃は見事に成功し、死守し切れなかった自動車化連隊スタックが壊滅します。
T1 機械化軍団の反撃成功!
 このターンの収支としては、戦闘drに嫌われたドイツ軍に分が悪い状態です。平均値が出ていれば、もう少し、ソ連軍に打撃を当てられていたはずなんですが・・・。
T1終了時
 第2ターン、ドイツ軍の航空優勢は4ユニットで、うち、2枚の空軍マーカーを戦線の両端に配置します。まずは左翼で第16自動車化師団が敵中を突進し、1個狙撃兵師団を包囲します。これに対し、ソ連軍は機械化軍団による連続反撃をかけますが、航空優勢が物をいい、第16自動車化師団が耐え凌ぎます。そのまま、包囲下の敵狙撃兵師団に2回にわたって攻撃をかけましたが・・・3:1の比率にもかかわらず、1/6の確率で失敗。2回の攻撃で第23装甲師団の装甲連隊を失う羽目に。その上、ソ連軍が死守に成功し、これを撃破できません。
T2 23Pzが包囲下の狙撃兵を叩くも・・・
 やむを得ず、ドイツ軍は主軸を第6装甲師団に移して、右翼に連打を打ち込みます。最強の戦力を持つ同師団の攻撃は強烈で、敵の補給基地を占領し、親衛赤軍を潰走させます。さらに、後方部隊も撃破して、ムイシュコワ川の渡河に成功します。 
T2 6Pzの死闘
T2 軍団命令で可能な攻撃をするも・・・
 第3ターン、ドイツ軍がかろうじて航空優勢をとり、3枚の支援マーカーを受け取ります。うち、2枚が幸運にも空軍!また、戦略予備の第17装甲師団(といっても稼働戦車は30台のみ)が到着します。が、ソ連軍にも突破を断固阻止するために、親衛狙撃兵師団4個(!)と最強の第2親衛機械化軍団が登場します。
 先手はドイツ軍で第6装甲師団が力押しで中央部を叩き、第1雷鳴線に後1へクスに迫ります。
 ソ連軍は、あえて、左翼の反撃を優先し、包囲下の第16自動車師団に、4度目の攻撃をかけます。これが成功し、補給切れで回復ができなかった第16自動車師団の主力が壊滅します。
T3 包囲下で耐える16Pzも限界に
 ドイツ軍はあと一歩、及ばなかったものの増援の第17装甲師団を左翼に投入し、再び、第1雷鳴線に迫ります。
T3 総予備の17Pzを投入
 ソ連軍は後方から大量の増援を投入し、前線を固めにかかります。全てが投入されたら、ドイツ軍の前進はほぼ不可能になります。
 おそらくチャンスは、一度しかない。ドイツ軍はここで切り札の第57装甲軍団チットを投入し、2カ所で第1雷鳴線に決死の攻撃をかけます。第6装甲師団の中央部への攻撃は、まさかのEXに(1/6)。これ以上の損害をさせないドイツ軍は、涙を呑んで退却します。残りは東端沿いに攻撃をかける新着の第17装甲師団。全てを注ぎ込んだ4:1攻撃は見事に成功。包囲下になることを覚悟で、装甲連隊が突進をします。
T3 雷鳴線まであとわずか
 突破に成功したので、勝利判定チット(雷鳴チット)を引くと・・・第6軍の脱出呼応!ドイツ軍がギリギリのところで、勝利をもぎ取りました。ああ、危なかったぁ!
終了時
 事前に何度かソロをしたのですが、取り得る作戦の幅が、なんと広いこと。ドイツ軍で最も効率がよいのが、へクス-師団-軍団の順の活性化ですが、場合によっては連係攻撃のため、いきなり師団や軍団を活性化することもありえます。また、ソ連軍も守っているだけだと、いずれは雷鳴線を守り切れなくなるので、貴重な機械化/戦車軍団を投入して敵に痛打を与える必要があります。これに、支援チットや補給制限があり、簡潔ながら非常に考えることが多い良作です。前作もそうでしたが、わずかクォーターマップにしては、非常に内容の濃い作品です。