この日のmitsuのテーマは、「山崎決戦」(HJ)です。言わずと知れたTactics誌の新装版で、「黒井城撤退戦」と「本能寺の変」の3in1の一作になります。
 「山崎決戦」(HJ)自体は、非常にシンプルな合戦級で、防御射撃はあるものの、シークエンスは移動-戦闘のみ。戦闘は2d6で振れ幅が多く、かつ、CA(反撃)が一定割合であるので、合戦級らしい乱戦になりがちです。また、CC的なルールはほぼなく、強制的な戦闘後前進くらいと、実に潔いシステムです。
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 今回、ソロ経験のあるベテランのタナックさんをお誘いし、シナリオ1「天王山の戦い」をプレイしました。陣営は、羽柴勢(タナック)対明智勢(mitsu)です。
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 第1ターン、羽柴勢は行軍隊形のまま、最大戦速で前進をし、円明寺川のラインに迫ります。一方、(明智勢から見て)左翼の池田勢は、史実通り、淀川沿いに浸透を図ります。
T1羽柴軍
 明智勢は、計画通り、円明寺川沿いの防衛ラインを構築します。ただし、敵の先鋒を包囲できるため、ここのみ、攻撃を行い、中川勢1ユニットを殲滅します(あるいは、乱戦への誘いだったか?)。
T1明智軍、先頭を包囲攻撃
 第2ターン、羽柴勢は豊富な戦力を生かして、淀川から天王山にかけての全面で攻撃に出ます。左翼では池田勢が渡河に成功し、そのまま、攻撃に出て、戦線を維持します。中央では、中川隊と阿閉隊が正面から激突し、羽柴勢1ユニットがAeになるものの、drがよく、明智勢2ユニットをDeとします。
T2羽柴軍
 明智勢は左翼に後方予備を投入し、戦線を強化しますが、3ユニットが敵に捕捉され、後方に下がりきれず。中央では、四王天隊が駆けつけ、切れ目のない戦線を構築します。
T2明智軍
 第3ターン、羽柴勢は勢いに乗って左翼で猛攻を続け、多くの敵を後退に追い込みます。これにより、消耗した明智勢の部隊が回復しきれず、戦線は動揺します。
T3羽柴軍、左翼で猛攻
 それでも、明智勢は、突出した部隊を狙って包囲攻撃をかけ、1ユニットずつ敵を殲滅し、VPを稼ぎます。そして、一時後退した部隊を回復させ、戦線をがっちり維持します。やや左翼で押されているものの、ここまでは想定通りの戦いです。
T3明智軍
 第4ターン、後攻から続々と登場する援軍に勇を得た羽柴勢は、消耗した部隊を下げると、新手を投入して、乱戦に持ち込もうとします。明智勢も要所を得た防御射撃で対抗するも、半数以上で後退を余儀なくされます。が、やや強引な攻撃が祟って、羽柴勢の2ユニットがAeとなります。うち、1ユニットは侍大将(青木一矩)であり、明智勢に少なからずのVPを献上します。
T4羽柴軍
 また、「勝ってしまった」ばかりに突出した堀秀政を、明智勢はここぞとばかりに重包囲をし、これも討ち取り!戦上手で名の通った堀の首を取り、明智勢の士気は盛り上がります。この時点で、VPは羽柴勢5点:明智勢16点です。ひょっとしたら、このまま、宣伝的勝利(引き分け以上)ができるのか?!
T4明智軍、突出した敵を殲滅
T4終了時のVP
 が、好事魔多し。第5ターン、怯まず、全面攻勢に出た羽柴勢に、今度はdrの女神が微笑みます。包囲攻撃は1カ所のみでしたが、正面攻撃のdrが冴えに冴え、なんと明智勢の3ユニットを殲滅してしまいます。
T5羽柴軍、右翼でも数を生かした猛攻
 さらに敵が戦力を集中した両翼で、多くの部隊が後退し、回復しきれない部隊が増加します。秀吉の本陣VPも重なり、VPは羽柴勢10点:明智勢17点に。
T5明智軍、回復仕切れない部隊が・・・
 第6ターン、後3ターン、されど3ターン。羽柴勢は高戦力の摂津勢と播磨勢を前面に立て、ここを先途と猛攻を加えます。明智勢は防御射撃で2ユニットを後退させるも、多勢に無勢で、戦力の落ちた部隊を狙われ、戦闘後前進で包囲され、損害が嵩みます。このターンだけで、さらに4ユニットが殲滅されます。
T6羽柴軍、全域で総攻撃に
 明智勢は、もはや濃密な戦列は組めず、左翼でそれなりの戦線を維持するのがやっと。中央から天王山方面は予備も尽き、消耗した部隊で薄い戦線を張るのみ。
 あれほど優勢に見えた展開が、わずか2ターンで大きく転換。VPは羽柴勢17点:明智勢18点のイーブンに。
T6明智軍、かろうじて戦線を維持も
 第7ターン、が、羽柴軍も時間がなくなりつつあり。細心の注意を払って、持てる戦力を全て、明智勢に打つけます。これにより、さらに2ユニットが壊滅。うち、1ユニットは侍大将(藤田行政)であり、羽柴勢22点:明智勢19点と、ついに逆転に成功します。
T7羽柴軍
T7明智軍、突破は防ぐも・・・
 そして迎えた最終第8ターン、現時点でのVP差は3点であり、残り3点以上を獲得できれば、羽柴勢の戦術的勝利となります。圧倒的な兵力差となった羽柴勢は、高戦力差攻撃を連発しましたが・・・ああ、drは平均以下。結果、殲滅された明智勢は2ユニット止まり。地理的なVPは、両軍でイーブンだったため、最終VP差は羽柴勢の5点に。結果、明智勢がギリギリで引き分けに持ち込みました。
終了時
ギリギリの引き分け
 ああ、苦しかった!当初から、乱戦防止のために、戦力の維持と限定反撃に特化した防御作戦を貫徹しましたが、羽柴勢の絶え間ない猛攻に、徐々に前線の戦力が消耗。そこを狙われ、効率的な戦闘で後退-戦闘後前進による包囲-さらなる打撃で後退できず除去という、力押しを喰らいました。まさに大軍に作戦なし!
 それでも、一か八かの全面反攻の誘惑をぐっと堪えて、突出した部隊のみを叩く初心貫徹の結果、ギリギリながら引き分けに。3倍の兵力差を耐えて、日暮れまで戦線崩壊を起こさず、しかも戦上手の堀と青木の2武将を討ち取った-光秀にとっては、考え得るギリギリの宣伝的勝利といっていいかも知れません。
 下馬評では「なるようにしかならないゲーム」と言われているようですが、少なくとも「負けない戦い」ができることは示せたかと思います。そのために相当、作戦研究とソロをしましたけど・・・(笑い)。手放しで傑作とは言いがたいですが、対戦が減っている今だからこそ、このシンプルさ(潔さ)は評価されてもいいかも。ある雑誌から記事依頼もあるので、そちらでも話題にしてみたいと思います。