今月のソロプレイ第12弾は、「ラストスタンド:ロンメル」(Bonsai Games)です。もしもロンメルがイタリア戦線の指揮を執り、南部放棄策を実行していたらという、IF戦記です。
デザイナーはタイロン・ボンバ氏で、システムはこのところ、氏が填まっている相互移動・戦闘シークエンスです。このシステムは「第6軍を救出せよ!」(CMJ)や「ESCAPE TO NOWHERE」(CMJ)がありますが、この二つが移動と戦闘が混然となった相互システムなら、本作は移動と戦闘フェイズが分かれる相互システムです。1ユニットずつが行動するというシステムは、相手の行動に合わせて打つ手が変わるという、競技性の高さがあります。
これに、連合軍の上陸作戦や空爆、枢軸軍のみ常時使用できる衝力攻撃(追加攻撃)と探見攻撃(敵ZOCへの浸透)、移動力が倍加する行軍移動(連合軍は32移動力!)などがあります。
連合軍には、マップ南部からでもVP地点まで突入できる機動力があります。移動と戦闘フェイズの順を連合軍が任意で選べるため、通常の移動-戦闘の後、次ターンに先制戦闘の連続攻撃で戦線に穴を開け、そこから高機動で勝負を付ける可能性が常にあります。 枢軸軍としては、とにかく二重戦線を心がけ、衝力攻撃(追加攻撃)と探見攻撃(敵ZOCへの浸透)を駆使して、敵の鋭鋒を避け、部隊(戦線)の維持を図れるかがポイントになります。
第1ターン、このターンは連合軍がマップにいないため、自動的に移動フェイズから開始となります。総兵力と補充力で勝る連合軍は、ある程度の補給切れ上等で、戦線の奥へと突進します。ドイツ軍はセットアップの前線ユニットを軸に、撤退ユニットを配置し、徐々に戦線を構築していきます。第1ターンの戦線は、アルノ河から東部山岳地帯沿いに形成されます。
続く、戦闘フェイズに連合軍は、1:1以上なら果敢に戦闘を仕掛けますが、AS(効果なし)やAL1 (攻撃側1損害)が出て、一方的に兵力を低下させます。唯一の戦果は、EXのみです。
第5ターン、このままでは戦略的な包囲を喰らいかねない-戦線の崩壊を危惧した枢軸軍は、ここでロンメル効果を発動。特別ルールにより、枢軸軍が先攻となり、移動を開始します。装甲師団の回復と貴重な装甲増援を注ぎ込んだことにより、なんとか戦線の修復に成功します。
が、切り札を投入した枢軸軍に対し、連合軍は後手の有利性を発揮し、強烈な攻撃体制を敷きます。1カ所の2:1攻撃と3カ所の3:1攻撃により、全てで敵に損害を与えます(DEが2カ所、EXが2カ所)。また、戦闘後前進で退路を断たれた第24項師団も包囲殲滅され、このターンの損害は6ユニットにも上ります。この時点で、東部では二重戦線を維持しているものの、それ以外はあまりの消耗に一線防御に。
第6ターン、防御の薄い中央部で、空爆を注ぎ込んで2:1攻撃をかけます。これがDEとなり、一時的に突破口が開きます。
ここから、1個機甲旅団が浸透し、敵の2個師団を包囲しますが、装甲師団が移動により連絡を付け、なんとか補給線を維持します。ドイツ軍は中央部に全ての予備を注ぎ込んで、かろうじて戦線を構築しましたが・・・。
ここから、1個機甲旅団が浸透し、敵の2個師団を包囲しますが、装甲師団が移動により連絡を付け、なんとか補給線を維持します。ドイツ軍は中央部に全ての予備を注ぎ込んで、かろうじて戦線を構築しましたが・・・。
移動フェイズに連合軍は左翼からの浸透を開始し、敵の予備を拘束。ドイツ軍も必死に東部戦線は維持するものの、32移動力という破滅的なスピードで背後に回り込む敵を止められず。前線はおろか、後方に待避した機械化化部隊も、全て包囲されます。結果、補給切れで16ユニットが除去され、生き残りは補給源にいた歩兵1個師団のみ。もはや、次ターンにVP地点を守り切ることは不可能で、連合軍の勝利となりました。
そう、ギリギリまで戦術的対応で凌いできた枢軸軍ですが、一カ所でも塞ぎきれない突破口が開くと、移動能力の差が物をいい、わずか1ターンで全てを失いました。このタイト極まる綱渡り的運用と全面崩壊のカタルシスが堪らない!まさに、予備が尽きたときが、イタリア戦線の終焉でした。






















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