今月のソロプレイ第8弾は、「ターニング・ザ・テーブルズ」(CMJ)から、シナリオ1「飢えた群狼のように」です。「ターニング・ザ・テーブルズ」については、これまでいくつものゲーム紹介やAAR、作戦研究などがあり、「今さら」感が強いのですが、自分は未プレイだったりします。ちょうど、第二次ハリコフ戦80周年ということで、プレイをすることに。ゲームについては、こちらそちらをご覧ください。特にかみさんの解説は、たいへん、わかりやすいです。
 今回は、導入となるシナリオ1「飢えた群狼のように」です。が、導入と言っても、実質は通常の6ターン分に当たるわけで、2時間では片は付きません。その分、プレイ自体は、非常にエキサイティングで、十分にやり甲斐があります。
 第1ターンの第1セグメント、ソ連軍はC3Iの最大3ポイントを投入して、モーメンタムを取ります。dr+3のボーナスもあり、17移動力ポイント/7戦闘ポイントを獲得します。
 7カ所の戦闘は、ハリコフ正面とバラクレイア橋頭堡、西側突出部の3方面に割り振ります。ハリコフ正面では、戦術値4の部隊を各戦闘に参加させます。ドイツ軍の歩兵も戦術値4で防御しますが、奇襲によりドイツ軍の戦術チットの1/3はダミーであり、加えて実質的に使えないチット(戦闘激化など)も多く、4ヒットずつを受けて、歩兵2ユニットが壊滅します。
T1S1 ハリコフ正面
 主目標のバラクレイア橋頭堡では、ドイツ軍がパックフロントで9:1攻撃を6:1まで低下させたものの、ソ連軍drがよく、3ヒットを受けます(2へクスの退却により、1ステップロス)。さらに包囲下の7:1攻撃では、ソ連軍dr12と絶好調で、町に籠もる歩兵が殲滅されます。さらに、ランダムイベントでソ連軍の移動となったため、ハリコフ方面の第294歩兵師団を包囲します。
 西側突出部では、ハンガリー軍とルーマニア軍が健闘し、損害を受けずに後退しますが、スタックの第454保安師団が4ヒットを受け、さらに1ユニットが壊滅します。
T1S1 1連隊を圧殺、しかもRE
 一方のドイツ軍は、今こそ、可能な限りの対応が必要と、C3Iの2ポイントを投入。10移動力ポイント/4戦闘ポイントを獲得し、危機的なハリコフ方面で反撃に出ます。第23装甲師団も投入した乾坤一擲の9:1攻撃は、drがまさかの3で、敵を後退させるも、1ヒットを受けることに。その代わり、隣接する2:1攻撃では11が出て、思わぬ戦果となります。が、いずれも結果が極端で、予測が付きにくい展開に。
T1D1 乾坤一擲の反撃も
 また、バルヴェイコフ南で早くも反撃を開始しますが、やはりチット運がなく(ダミーが多く、または効果的なチットが来ない)、敵を後退させるに止まります。
 ドイツ軍の無理な反撃の結果、dr運のなさもあり、早くもソ連軍VPは12点に。
T1第1終了時
 第2セグメント、ソ連軍のモーメンタムは、16移動力ポイント/6戦闘ポイントで上々です。このセグメントの攻撃は、前回にまして、振れ幅が大きくなります。
T1S2
 ハリコフ正面では、翼端の歩兵連隊に対し、9:1攻撃をかけますが、騎士十字章により戦闘比が4:1まで低下。さらに、drで2を出してしまい、退却により、ソ連軍のみが損害を受けることに。さらに悪いことに、ランダムイベントがドイツ軍の攻撃となり、南翼の被包囲部隊が0/2(退却に成功するも敵ZOC通過で1ステップロス)となります。
T1S1 ハリコフ方面の抵抗
 反対にバラクレイア橋頭堡では、dr12が出て、被包囲下のドイツ軍歩兵連隊を殲滅します。が、ランダムイベントは、敵のC3Iに1ポイント追加と、枢軸軍有利が続きます。
 西側突出部では、ドイツ軍チットで戦闘比は落ちたものの、包囲攻撃でルーマニア師団を殲滅し、他の2カ所で敵を後退させます。
T1S2  ルーマニア師団壊滅
 ドイツはC4Iが1ポイントしかありませんが、活動drがよく、7移動力ポイント/4戦闘ポイントを獲得します。これで必死に戦線を繕うとともに、南部で攻勢を続け、敵に1ステップロスを与え、2個師団を包囲下に置きます。
T1D2
 第3セグメント、ソ連軍のモーメンタムは、最大の3ポイント消費にも関わらず、14移動力ポイント/5と低調に。
T1S3
 まず、南部の敵の攻勢に備えて、少なからずの移動ポイントを消費して、部隊を展開します。残ったポイントでは主攻勢軸に十分な部隊を接敵できず、4カ所のみの攻撃になります。
 が、戦闘drに助けられ、ハリコフ正面で1ステップロス、バラクレイア橋頭堡で歩兵スタックに2ステップロスを与えます。
T1S3 バラクレイア橋頭堡を圧迫
 西側突出部では、ハンガリー師団に1ステップロスを強いるものの、ドイツ軍歩兵連隊への攻撃は高い戦術能力で阻止され、損害なしになります(退却のみ)。
T1S3 西側は苦戦
 一方、ドイツ軍の反撃ですが、包囲下の2狙撃兵師団に敵ZOC通過ペナルティを加えた4ステップを与えます。前線にうろうろしていた戦車旅団にも最大比攻撃をかけますが、こちらはdrとチットの組み合わせが悪く、単に後退させるだけに。史実より2ターン早い反攻を開始したため、チットが揃わず(ダミーが多く)今ひとつ、打撃力には欠けますが、ドネツ河への突進は順調なため、やむなしか。
T1D3 南部で限定反撃
 ゲームは、シナリオ終了の第2ターンに。ソ連軍はバラクレイア橋頭堡の掃討とそれによる10VPを獲得できるか、ドイツ軍は逆渡河でそれを阻止できるかに焦点が絞られます。
 第1セグメント、ソ連軍のモーメンタムdrはまたも振るわず、13移動力ポイント/4戦闘ポイントに。
 まずは、南部での逆渡河を防ぐため、機械化騎兵軍団を含む3ユニットを差し向け、強固な防衛線の構築を開始します。残ったユニットで限定的な攻撃に出ます。
 ハリコフ正面は一旦、放置し、最も重要なバラクレイア橋頭堡で、湿地にいる補給切れの敵歩兵を攻撃します。最大比率の攻撃により、これを殲滅し、ドネツ河東の枢軸軍を全て駆逐します。
 また、戦車軍団と機械化狙撃兵軍団を投入し、西側突出部で攻撃をかけましたが、これは老獪なドイツ軍歩兵連隊に阻止されます。
T2S1
 続く、ドイツ軍セグメントでは、ドネツ河の逆渡河に向けて、南部で攻勢を続けます。包囲下の狙撃兵師団を消耗させるとともに、装甲師団及び自動車化師団を軸に高比率攻撃をかけ、ドネツ河の隣接へクスにまで辿り着きます。
T2D1
T2D1
 一方、逆渡河ができなかったときのために、敵を消耗させるべく、中央突出部の北翼で装甲師団による反撃をかけ、敵を1ステップロスさせます。
 第2セグメント、両軍の激しいマッチレースの中、ソ連軍はバラクレイア橋頭堡の残存部隊を殲滅するとともに、手薄になったハリコフ正面で、再び、猛攻をかけます。装甲師団がいなくなっていたため、歩兵師団がこの攻撃をもろに受け、損害はなかったものの、戦線後退を余儀なくされます。
T2S2
 ドイツ軍は2作戦ポイントを投入しますが、作戦drは最低の2で、攻撃は2か所のみ。南部で包囲下の狙撃師団を撃破するとともに、中央部で装甲師団を突進させます。
T2D2
 最終の第3セグメント、ソ連軍は突出してきた装甲師団に対し、あらゆる機械化部隊と狙撃兵師団をかき集めて、6:1の包囲攻撃を仕掛けましたが・・・さすがに戦術値6の装甲師団は強力で戦闘比は3:1に低下。ソ連軍は、dr修整で1/1の痛み分けにするのがやっと。同時に、渡河点にいた消耗状態の敵2個連隊に9:1攻撃をかけるも、こちらも戦術値6の装甲偵察連隊の活躍により、2/1と大きな損害を受ける羽目に。
T2S3 重包囲下の攻撃も・・・
  最後のドイツ軍セグメントは、14移動力ポイント/5戦闘ポイントに。南部では逆渡河を狙った一か八かの攻撃を模索しましたが、ソ連軍が対岸に巧妙な防衛線を引き終わっており、渡河成功はほぼ望めず。
T2D3
 ならば、敵部隊の消耗で、ソ連軍VPを11点以下にするしかない!ドイツ軍は高い戦術能力を信じて、5カ所で総花的な攻撃を仕掛けます。包囲下の部隊に打撃を与え、そうでない部隊には高比率戦闘で、打撃増しを狙います。が、ここに来て、ソ連軍も猛烈な抵抗を見せ、ともに消耗する展開に。
 両軍の激闘の結果、ソ連軍のVPは一時的に3点になりましたが、ドネツ河東岸の制圧により、10VPを獲得し、ソ連軍の勝利となりました。
終了時
 延べ3時間のソロ演習でしたが、今さらながら、こいつは面白い!ソ連軍の数を恃んだ怒濤の攻撃とドイツ軍の類い希な軍事能力の反撃が、見事!1ターンが通常の3倍あり、かつ、戦闘にも時間がかかるため、近年だと重ゲー扱いでしょうが、これこそ、東部戦線の作戦級という楽しいプレイでした。
 このままだとキャンペーンは10時間くらいかかかるかも?ですが、ぜひ、対戦したいものです。求む、東部戦線の勇者!
 ここからは余談ですが、現在の「プーチンの戦争」(特別軍事作戦)で、否が応でも目に付く、ハリコフ(ハリキウ)周辺が描かれています。わずか5日間の奇襲により、ハリキウ州のほとんどを奪還したそうですが、インテリジェンスと兵器の優劣を、まざまざと見せつけられた感があります。今さら、部分動員をしたところで、戦力になるのか甚だ疑問な訳で、むしろ、国内の締め付け策としか思えません(反対デモの参加者のモラルが高いはずがない)。
 いずれにしろ、ここまで半年以上、戦時が続いてしまったわけで、一日も早い軍事衝突の終了を祈っています。「ウクライナに、戦争は(もう)いらない」