歴史・戦史研究「ちはら会」Drei

この会は、主にシミュレーションという手法を用いて、歴史・戦史を楽しもうという、有志の集まりです。興味ある時代をテーマに選び、図上演習(シミュレーションゲーム)を通して、文献研究では得られない「動きのある歴史」を見つめます。 「ちはら会」では、現在、会員を募集しています。年齢や資格等を問わず、興味のある方ならば、どなたでも参加できます。関心のある方は、下記にご連絡ください。 Eアドレス. chiharakai@apost.plala.or.jp (代表.mitsu)

ナポレオニック

 せっかくのお盆休みですが、緊急事態宣言のため、毎年実施していた登山旅行を断念。市井が呼びかけを守っているのに、代議士の皆さんは地元に帰るわ、5人以上の会合をするわ、挙げ句の果てに海外から人を呼び寄せるわ。呼びかける側が守らない規定は形骸化し、一行に人出が減らず。政治の役割は、理念を示し、それを実行できる体制を整えることのはずなのに・・・ああ、もう言うまい。
 せめてもの交流と言うことで、BIBIさんとミニマムオフ会をしました。
全景
 まず、緒戦は、このところ元気いっぱいのBonsai Gamesから「アウステルリッツの戦い」です。カードを使ったエリア方式の会戦級なんですが、セットアップは固定で、かつ機動の余地はほとんどありません。カードをうまく使用していかに上手に戦うか、に特化しています。
スタート時
 第一戦は、フランス軍(mitsu)対連合軍(BIBI)です。序盤、フランス軍は中央で、連合軍は南部で、ほぼ史実通りの攻勢をかけますが、両軍が予備を守備的に使ったため、押し合いへし合いの膠着状態に。
ほぼ膠着
 それでも時間と共に損害が増えていき、ついに中央部をフランス軍が制圧します。
プラツェン高地を攻略
 なんとか、挽回せんと連合軍は、「有能の将校」で戦闘drを振り直す等、南部で猛攻に出ますが、対するフランス軍も「フランスのために」で振り直して、連合軍drははじめより悪くなります(drあるある)。
振り直したら、drが悪化(笑い)
 が、そこからの消耗戦が、ひどかった。お互いに兵力をすりつぶした結果、連合軍は北部と南部に1ユニットずつに減少し、フランス軍に至っては、予備のわずか1ユニットに(!)。それでも士気で旺盛なフランス軍が、モラルが低下していた連合軍を押し切って、ギリギリの勝利でした。
両軍とも残っているのは、1-2ユニットのみ
 第2戦は陣営を入れ替えて、フランス軍(BIBI)対連合軍(mitsu)です。序盤、連合軍が南部で攻勢をかけますが、不利直しカードで苦闘。
やっぱり振り直しは・・・
 それでも北部で制圧を果たし、横やりを入れます。が、フランス軍はここに予備を投入して持ちこたえます。
連合軍が右翼を制圧
 すると、反撃で、フランス軍が中央部を圧倒。連合軍は、残り1ユニットまで磨り減らされます。
中央で押される連合軍
 連合軍は、やっぱり南部しかないと再攻勢をかけますが、あろうことか振り直しで士気が低下。かつ、損害過多で敗走チェックに。6さえ出さなければよかったのですが・・・お約束通り、6が出て連合軍が崩壊し、フランス軍の勝利となりました。
戦闘の振り直しの結果、士気崩壊
 始めは、機動の余地がないことに、こんなのあり?!と感じましたが、やってみると戦闘に特化するという潔さがわかり。カードとモードによる組みあわせの妙が楽しく、絞り込みのおかげで、1戦は20-30分程度と非常にプレイアブルです。
 今回のように、オープニングや例会途中の箸休めにはいいかも。これも、ちはら会の調整アイテムで持って行きましょう。

 GWの最後に、BIBIさんと、密を避けてミニマムオフ会を行いました。まだ、しばらくは、こんな日々が続きそうです。
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 この日の初戦は、「NAPOLEON」(COLUMBIA GAMES)で、通称:積み木のナポレオンと呼ばれた戦力秘匿型の作戦級です。いわゆるワーテルロー戦役を描くもので、ルールは至ってシンプルです。フランス軍及び連合軍(イギリス軍・プロシア軍)は、所定の作戦ポイントを配分して、スタックを活性化させます。作戦ポイントはフランス軍が3に対し、連合軍は各国2で合計4となります。道路によって、行軍できるユニット数に制限があり、いかに会戦予定地に軍を集結できるかが、重要です。ユニット数ではフランス軍が最も多いので、連合軍が集結しないよう、機動で揺さぶりをかけ、各個撃破に持って行きたいところです。
 会戦は、戦闘ボードを使った戦術色の強いファイヤーパワーです。打たれ強い歩兵、火力のある砲兵、最大攻撃力の突撃を行える騎兵を駆使して、左翼・中央・右翼のいずれかから敵を除去すれば、勝利できます。撤退のルールもありますが、戦場から伸びる道路は1線級でも一度に2ユニットまで、2線級だと1ユニットのみしか後退できず。さらに敗走では追加打撃を受けて、渋滞で撤退できないユニットは除去されます。 
 勝利条件は、敵軍の士気を崩壊させることで、フランス軍は19ユニット、イギリス軍は9ユニット、プロシア軍は12ユニット以下になると崩壊します。けっこう、これは起こりやすく、大会戦があれば、一度で勝負が付くことも。
 今回は、mitsuはがフランス軍を、BIBIさんが連合軍を担当します。
 序盤、両軍は有利な体勢をとるべく、部隊を機動させます。フランス軍は、Charleroiに親衛隊と第Ⅲ軍団を渡河させて、中央の橋頭堡にすると、右翼を第Ⅵ軍団と騎兵軍団、左翼を第Ⅰ及び第Ⅱ、第Ⅲ軍団を侵攻させ、敵の分散を図ります。
6.15 AM
 一夜明けた6月16日、先手を取ったのは、なんと連合軍でした。Lignyに集結していたプロシア軍と、Nivellesに南下したイギリス軍が強行軍まで行って、Charleroiのナポレオン本隊に強襲をかけます。多少の損耗はあったものの、ユニット数は1.5倍以上で連合軍が有利です。
6.16 Charleroi会戦
 早速、会戦が始まりますが、ここで抵抗しても全滅の可能性があると、フランス軍は前線に最低限の部隊を残し、各街道を使って撤退を行います。
 第二ラウンドには早くも戦線が崩壊し、潰走となりますが、3ユニットの壊滅と引き換えに、フランス軍は対岸へと後退します。
Charleroi その2
 連合軍が中央に部隊を集結しすぎた隙を突き、フランス軍の両翼が前進します。午後になって、右翼の8個部隊がミューズ川を迂回渡河して、リエージュを強襲します。大量の騎兵を投入したことで、プロシア軍を蹂躙し、これを占領します。
6.16PM Liege強襲
Liege会戦 その2
6.16日没時
 また、翌6月17日には、左翼を突破した第Ⅲ軍団がブリュッセルを占拠します。これにより、連合軍は毎ターン、プロシア軍が2ユニットを、イギリス軍が1ユニットを失うことに。
 慌てた連合軍は、ウェリントンの主力部隊を呼び戻すと、ブリュッセルを奪還します。が、プロシア軍は主力が中央深くに入りすぎているため、リエージュの回復は不可能に。ならば、死なば諸ともと、ナポレオンの主力を追いかけ、多少の部隊を壊滅させますが、プロシア軍の崩壊は時間の問題に。
6.17AM プロシア軍突進
 ここで、フランス軍は一気にイギリス軍と雌雄を決せんと、2個軍団をブリュッセルに向かわせます。これに対し、イギリス軍が乾坤一擲の攻撃に出ます。ユニット数はほぼ互角でしたが、質の高さが上回り、終始、会戦を有利に進めます。このまま、全滅すれば、先にフランス軍の士気が崩壊すると、やむなく撤退に入りますが、右翼が持ちきれずに敗走になります。
6.17PM
Hai会戦その1
 夜間の帳が降りる頃、フランス軍は分断され、3個ユニットがNinoveに取り残されます。ここでフランス軍ターンですが、夜間のため、脱出のための攻撃ができず。
6.17夜間 フランス軍、包囲下に残される
 6月18日の夜明けとともに、イギリス軍の総攻撃が実施されます。損耗しきっていたフランス軍にこれを支える力はなく、第二ラウンドで崩壊。この瞬間、フランス軍が崩壊し、連合軍の逆転勝利となりました。
6.18AM Ninove強襲!
フランス軍崩壊
 う~ん、プロシア軍の崩壊が確実になったので、一気に勝負をかけたのが失敗でした。時間をかけて、ナポレオン本隊とリエージュ攻略部隊を再編成し、2個軍団と共同で、イギリス軍を叩くべきでしたね~。史実でのウェリントンばりの粘り強い防御に、やられました。
 ともあれ、ルールはシンプルながら考える要素が多く、情報の秘匿性と会戦の戦闘drでよい意味で「振れ」があり。プレイ時間も2時間程度と、さすが古典的名作です。みなさん、インストしますので、一戦、いかがでしょうか?

 例会の最後に、kawaさんを誘って、いわゆるワーテルローキャンペーンを対戦しました。継続移動による分進合撃と戦闘を左右する砲兵の影響がうまく表現されています。

 中盤、カトルブラで大激戦が発生し、一時はナポレオンを追い込みましたが、後方からの増援が間に合い、イギリス連合軍が消耗。
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 そのまま、皇帝スタックが中央突破し、フランス軍の勝利となりました。個人的には、ワーテルローらしさが楽しかったので、ぜひ、再戦したいです。

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