「この時がいいね」と君が言ったから、6月2日は惟任記念日 by光秀

 本日は、本能寺の変記念日でして、それに肖って、今月のソロプレイ第1弾は、「本能寺の変」(HJ)です。「光秀戦記」の一作で、そのものズバリ、本能寺の変を描いた戦闘級(!)です。信長はじめ本能寺にいた近習が全てユニット化され、、選択ルールでは女房衆が長刀を振るう様まで(!)表現されています。織田軍は必敗ですが、いかに粘って、信長が切腹する時間を稼ぎ、火を放って首を渡さぬか、を競います。
T0
 シークエンスは至ってシンプルで、移動-射撃(明智軍のみ)-戦闘となります。射撃は弓衆及び鉄砲衆のみが行え、隣接するエリアまで攻撃ができます。戦闘は、同一エリアでの全ユニットが参加します。戦闘の基本は、戦闘力分のdrをして6が出れば、ヒット。各ヒットにつき、再び、1d6して、ユニットの戦闘力を上回ると除去になります(明智軍の侍大将は、ステップロス)。
 織田軍は近習が全てユニット化されているので、数は多く見えますが、戦闘力は最高でも森蘭丸の3で、ほとんどが1です。対する明智軍の足軽は、3–5と当然ながら強力です(侍大将は4以上)。戦闘では戦力が防御レベルとなるため、圧倒的に明智軍が有利です。
 これを補正するのがスタック制限で、明智軍は建物内では2ユニットまでしか、スタックできず(しかも常時適用)。織田軍は6ユニットまでスタックできるので、戦力の集中によっては、まれに明智軍を上回ることも。が、防御レベルの違いはいかんともしがたく、乱戦の中、次々と織田軍が討ち取られていきます。
 勝利条件は、織田軍がいかに粘って、信長が切腹する時間を稼ぎ、火を放って首を渡さぬか、に絞られます。第5ターンまでに明智軍が信長を仕留められれば、戦略的勝利に。第6ターンまでならば、戦術的勝利(遺体の確保)になります。最後まで、遺体を確保できなければ、織田軍の戦術的勝利(史実)です。
 まず、明智軍ですが、丹波口と本能寺を囲む通りに規定のユニットを配置します。続いて、信長軍が完全なランダム・セットアップを行います。
 第1ターンの明智軍は、本能寺の門を打ち破ると、大挙して進入してきます。まだ、臨戦体制が取れない織田軍に発砲し、女房衆を蹴散らし、近習1名を討ち取ります。 
T1 発砲!
 「上様!裏切りです!!」
 「どの軍勢ぞ!」
 「敵は、水色桔梗(明智)なり」
 「・・・是非もなし」
 続く、織田軍は急ぎ、応戦体制をとりますが、奇襲の再現ルールで、このターンは2d6したユニットのみが移動できます。今回は、drに恵まれ、9ユニットが行動可能に。厩にいた4名と大広間にいた部隊が合流し、北庭で戦闘になりますが、圧倒的な戦力差にも関わらず、ともに死傷者はなし。
T1 織田軍が合流
T1終了時
 第2ターン、明智軍は弓衆と鉄砲衆に援護射撃させ、足軽隊が室内に突入します。これにより、5カ所で白兵戦が発生し、織田側に少なからずの損害が発生します。そして、奥書院で信長発見!
T2 奥書院に信長!
 織田軍は、戦力を維持すべく、建物の中央に集結します。唯一、外郭で防衛線を張る台所では、織田軍が強力に抵抗し、敵に猛烈な打撃を与えます(足軽が壊滅し、斎藤利三が負傷!)。
T2 台所では、織田軍が逆襲!
 第3ターン、明智軍は射撃ユニットを巧みに展開し、強烈な射撃を見舞います。これにより、廊下で敵の侵入を防いでいた森蘭丸兄弟が死亡!が、白兵戦では粘り強く抵抗し、突入してきた敵の足軽を撃破します。
T3 蘭丸兄弟、銃撃で戦死
 また、前ターンに空前の戦果を上げた台所でも、代わって進入してきた侍大将隊をまたも負傷させるなど、死に物狂いの抵抗を見せます。
T3 台所でも!侍大将を負傷さす
 が、織田軍もさすがに死傷者が増えたため、大広間の部隊は廊下に撤退します。
T3終了時
 第4ターン、明智軍は弓衆と鉄砲衆による濃密な射撃を継続します。これにより、2名近習が死亡し、織田信長も負傷!この時点で、信長は自害のために納戸に移動します(自動的に下天モードに)。
T4 猛烈な射撃で、信長負傷!
 続く、白兵戦も酸鼻を極め、さらに3ユニットが昇天します。物量でごり押しする明智軍に、損害はなし。
 「上様を守れ!」織田軍は、納戸に繋がる廊下に殺到しますが、明智軍の足軽と差し違えて、さらに3名が落命します。また、これまで奇跡的な奮闘で足止めを続けていた台所でも、部隊が全滅。防御レベルが低い織田軍は、一点を超えると、一気に崩壊。結果、生き残りは、傷ついたわずか1名の近習のみに。
T4 1ユニットを除き、近習全滅
 第5ターン、明智軍は、周囲から19火力の射撃をもって、この近習を排除。廊下を押さえ、納戸への突入体制を整えます。
 織田信長はこの音を聞き付け、最後の敦盛を舞います。「人間五十年、下天のうちを比ぶれば・・・」そして、納戸に火を放ち、炎の中で自刃します。
T5 信長、切腹するも・・・
 第6ターン、明智軍は納戸の扉を蹴破ると、火の粉が舞う室内に突入。焼け落ちる梁を避けながら、ついに信長の遺体を発見!急ぎ、首級を落として、外へと運び出します。
T6 炎の中で、遺体を発見!
 「殿、敵を討ち取りました!」前庭に陣を進めていた明智光秀がこれを検分し、燃え上がる本能寺を背景に、明智軍が鬨の声を上げました。史実以上の戦果を上げた、明智軍の戦術的勝利となりました。
 普通にプレイをすれば、織田軍には勝ち目はなく、全滅必至ですが、うまく敵を足止めできれば(明智軍のdrが冴えなければ)、史実と同じく、遺体を渡さずに、戦術的勝利もあり得ます(事前のソロ演習では、ギリギリで本能寺が焼け落ちて織田軍の勝利に)。圧倒的な兵力を持つ明智軍も、スタック制限が厳しく、効率的な展開(特に射撃ユニット)求められるため、そういった意味ではバランスが取れているようです。
 いずれにしろ、インストも入れて、1時間半ほどでプレイできるので、気軽な対戦にも向いています。デザイナーズノートにもあるように、滅びの美学を楽しめる、戦国時代の「アラモ砦」になっています。