続いて、昼食を挟んで、今回、唯一のへクスゲーム「明日なき世界 Tomorrow the World 2」(CMJ)をプレイしました。内容は全然、「まともでない」仮想戦なんですが・・・(苦笑い)。
 「明日なき世界」(CMJ)は、アメリカにおける仮想戦デザイナーの雄-タイロン・ボンバ氏作成の最新作です。第三次世界対戦が勃発し、日独はそれぞれの地域攻勢を成功させ、敵本土爆撃を可能に。ほぼ同時期に核兵器の開発に成功した両国は、互いの本土への戦略爆撃を行うという、まさに「明日なき世界」大戦になります。
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 システムは、このところ、ボンバ氏が拘っている相互逐次行動で、主導権側から1スタックずつ、交互に移動・戦闘を行うという手順です。SLGの一般的な片側ずつの移動・攻撃と違い、戦略を決めた上で、相手が打つ手を読みながら、適切な対応をしていくという、将棋やチェスと同じ感覚です。
 ユニット数が多いと煩瑣になるシステムですが、そこはスタック単位での行動を主となるようになっていて。一方が受け持つスタック数は15程度で、ほどよい展開になります。 戦闘は同一へクスで、ユニット数分のdrをし、1番目と2番目の高いdrを比較し、勝った側が敵の1ユニットを削れます(今回は先制攻撃・通常攻撃とも「最大2ヒット」でプレイしましたが、CMJ誌へのQ&Aで、3番目以降も比較するそうです)。よって、基本は、最大6スタックでの殴り合いになります。各航空機には、先制攻撃能力と通常攻撃能力があり、まずは先制戦闘を行い、次に通常戦闘を行うという、手順です。
 ちなみに、戦闘機と爆撃機はスタックできず。つまり、直掩戦闘機という概念はなく、護衛戦闘機は爆撃機に先んじて、敵の迎撃機に攻撃をかけ、間接的に爆撃機を守る形にします。爆撃はそのへクスに進入できれば、オートで成功します(原子力爆弾の投下)。
 対空能力を持つ軍団/師団は4ユニットしかなく、隣接または同一へクスの敵を、1d6して1/2(端数切り捨て)数分、撃破できます。
 これに、電子戦があり、主導権奪取や連続手番、空中戦の引き分けを勝ちにする「巧みなドッグファイト」、敵1ユニットを行動不能にする「情報の錯綜」、対空砲火の振り直し等ができます。電子戦ポイントは0から6まで幅が広く、毎ターン、ランダムで引くポイント数で、展開が左右されます。
  また、かなり効果の大きい戦術オプションとして、負のVPを支払って使用する「増援」があります。今回は、初プレイということで、このルールは採用しませんでした。
 陣営は、日本軍(mitsu)対ドイツ軍(fho)です。セットアップですが、以下のようになります。
 【ドイツ本土マップ】
    日本軍:戦闘機22+全爆撃機
    ドイツ軍:戦闘機31
 【日本本土マップ】
    日本軍:戦闘機24
    ドイツ軍:戦闘機16+全爆撃機
セットアップ
 第1ターン、まず、ドイツ本土マップ戦で、日本軍が敵戦闘機隊との距離を測りながら、ゆっくりと前進します。あえて、1スタックを囮に前に出したところ、敵戦闘機が果敢に迎撃にきます。が、敵のスタック数が少なかったこととdrが日本軍に振れたことで、日本軍がキルレシオで6:1と圧勝します。
初会敵
 これで慎重になったドイツ軍は、攻撃を見合わせ、中央付近に戦闘機隊を集結させます。
 一方の日本本土マップ戦では、大胆にも前進してきた敵の爆撃機隊を、金沢の通常戦闘機のスタックが迎撃しましたが、これは返り討ちに遭い、日本軍が2ユニットを失います。これ以外の日本軍戦闘機隊は、同様に中央付近に集結し、敵の動きを待ちます。
T1 ドイツ本土
T1 日本本土
 第2ターン、ドイツ本土マップ戦で、日本軍は果敢にファイター・スウィープを仕掛けます。潤沢な電子戦ポイント(最高の6!)を使用し、引き分けでも勝ちに変えていきます。ドイツ軍は(苦渋の表情で)アンチ電子戦を仕掛けず(実は、電子戦0ポイントだったそう)。戦闘drも日本軍に微笑み、若干の爆撃機が食われたものの、のべで敵の20ユニット以上(!)を屠ります。キルレシオは、4:1と圧倒的です。
T2 ドイツ軍、約4倍の損害
 日本本土マップ戦では、足の遅い爆撃機を放っておき、日本軍の戦闘機が数に物を言わせて、敵の護衛戦闘機と激しい戦いを繰り広げます。ここでも、電子戦ポイントを使い「巧みなドッグファイト」で、ドイツ軍の戦闘機スタック2つを損壊させます。
T2
 第3ターン、ドイツ本土マップ戦では数的有利を逆転した日本軍が、相討ち覚悟でドッグファイトを仕掛け、さらに敵の防空戦闘機隊を駆逐します。
 日本本土マップ戦では、先制攻撃力を持つ橘花隊が敵のジェット戦闘機(Me262)を圧倒し、こちらも敵戦闘機をわずか1スタック半にまでに撃ち減らします。と、この隙を突いて、日本本土に達した戦略爆撃機が、都市破壊爆弾を投下!金沢が一瞬にして、灰燼と化します。
T3 金沢が焦土に
 第4ターン、ドイツ本土マップ戦では、さらなる消耗戦の結果、ドイツ軍戦闘機隊は半スタックまで磨り減り、ほぼ残敵掃討に。迂闊にベルリンに隣接した日本軍の戦闘機隊が対空砲火で痛い目に遭ったことが、せめてもか。
T4 ドイツ本土の防空の終焉
 日本本土マップ戦では、敵戦闘機の無力化に成功しつつある日本軍は、原爆を積んだ爆撃機隊に目標を変えます。敵も必死の防御砲火により、損害を与えますが、1スタックを除き、壊滅。その直前に、新潟を爆撃したのが、白鳥の歌となります。
T4
 第5ターン、ドイツ本土マップ戦では、最後の防空戦闘機隊が全滅し、もはや、爆撃に対抗できるのは、SAM軍団のみになります。日本軍は最終ターンの北部3都市爆撃に向けて、じわじわと戦略爆撃機が前進をします。
T5 北部に迫る爆撃隊
 日本本土マップ戦では、ドイツ軍が最後の爆撃隊を重要都市の名古屋に差し向けます。3ユニットのいずれかが生き残れば、これを壊滅できたのですが・・・ああ、防空師団の激しい対空砲火によって、全滅(dr6!)。僥倖にも、名古屋が生き残ります。
T5 名古屋空爆の3航空団が対空砲火で壊滅
 第6ターン、ドイツ本土マップ戦では、ついに日本の戦略爆撃隊が、デュセルドルフ、ケルン、エッセンに到達します。対空砲火で4ユニットが撃墜されるも、残りは強力無比な都市破壊爆弾を投下。連続する巨大な火球が、北の重要都市を焼き尽くします。これ以外にも、フランクフルト、シュヴァインフルなど、5都市が爆撃を受け、ドイツの戦争継続能力はほぼ崩壊します。
T6 ドイツ北部壊滅
 日本本土マップ戦では、先制攻撃能力を持つHo229が、福岡を焦土に変えたところで、ゲーム終了。
 終わってみれば、ドイツ軍機が全滅し、主要都市3つを含む、8都市が壊滅し、22点対6点で、大日本帝国が世界の覇者となりました。
 今回は、電子戦が圧倒的に日本軍に有利だったこと(6ポイントが2回、ドイツ軍は0ポイントが2回!)、ドイツ軍がフルスタックを作らず、4機程度の中規模スタックで対応したこと、戦闘drが日本軍に優勢だったことなどから、圧勝となりました。
終了時
損害
 が、フルオプションの増援が入ると、ドイツ軍の戦闘drがかなり有利になり得ると思われ、評価には数戦が必要そうです。
 なお、CMJ誌にQ&Aを行った結果は、以下の通りです。
8.11 日本海軍721「神雷」航空隊
・「神雷」航空隊は、移動力6の海軍戦闘機として扱う。
9.2 ドイツ軍の増援
・「Silbervogel」は、移動力3の爆撃機として扱う。
9.1 日本軍の増援及び9.2 ドイツ軍の増援
・日本軍の増援「3.近接信管の採用」、ドイツ軍の増援「1.パラサイト機の採用」「2.V1ロケット」は、一度、要請したら、以後の全ての空中戦及び対空砲火に適用される。
8.9 対空砲火の解決手順
・対空砲火の解決手順で、「航空機が移動中ならばこのような攻撃は行動としてカウントされないので、裏向ける必要はありません」とあるが、裏向ける必要がないのは、対空砲火をしたSAM軍団や防空師団である。
・SAM軍団や防空師団は、敵スタックが隣接へクス(か同一へクス)に入る度に、「混乱(使用済み)」にならない対空砲火を「1回のみ」行うことができる。すでに「混乱(使用済み)」になったSAM軍団や防空師団は対空砲火を行うことはできない。同一ヘクスにいる航空機に対する対空砲火は判定後「混乱(使用済み)」になる。
6.5 巧みなドッグファイト
・「巧みなドッグファイト」は、各本土マップ側のプレイヤーが先に使用を宣言する。仮に先に宣言するプレイヤーが使用を見合わせて相手側が使用を宣言した場合、無効化するための宣言は行える。先に宣言した側がアンチ電子戦で無効にされた場合、反対側(無効にした側)の陣営は、次に宣言できない。
・「巧みなドッグファイト」と「エース集団」が同時に使用する場合は、最初のダイスの判定結果のみを変更する。例えば、最初に投じたダイスの結果が全て引き分けになった場合は、引き分けの結果を勝利にする「巧みなドッグファイト」が有効になる。よって、仮に「巧みなドッグファイト」で敗北になっても、「エース集団」で勝敗を変更することはできない。