今月のソロプレイ第5弾は、「熱闘12球団ペナントレース」(HJ)の1988年日本シリーズです。パリーグ優勝の西武ライオンズ対セリーグ覇者の中日ドラゴンズの戦いです。
 西武ライオンズは、近鉄との最終戦ダブルヘッダーを制した、80年代の常勝チームです。15勝の渡辺、13勝の郭泰源(グレードB)と10勝の工藤、森山(グレードC)の4本柱に、抑えの山根がグレードCと、そこそこです。打撃陣では核弾頭の石毛と名手辻が健在で、中日から移った3割の平野、38本塁打の秋山、バークレオ、31本の清原、代打の切り札西岡などが強力です。監督は、手堅い用兵を駆使する森祇晶です。
 一方の中日ドラゴンズは、若き山本のグレードAを筆頭に、西武から移籍した18勝の小野(グレードB)の2枚看板に、小松、米村、鈴木孝、近藤がC、抑えの郭源治が防御率1.95(グレードA)と光ります。打撃では、ルーキーの立浪、主砲の落合、一発のある宇野に、ゲーリー、彦野、燻し銀の仁村徹、川又等と、走力以外では西武打線に引けを取りません。監督は、鉄拳も辞さない燃える男-星野仙一です。
 第1戦は、セリーグのホームグランドのナゴヤ球場で、エース渡辺(グレードB)と山本(A)の対決です。試合は、激しい動きを見せます。
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 1回表、1番石毛がいきなり、ソロHRで先制します。3番秋山も、続いてソロHRで、2点目を挙げます。
石毛
 その裏、中日はヒットの彦野をおいて、3番ゲーリーが同点となるツーラン・ホームランを放ちます。
ゲイリー
 続く、2回裏、今度はヒットの川又を、彦野がホームランで帰し、2対4とします。さらに、3回裏、ゲーリー、落合の連続四球の後、5番宇野がタイムリー、6番仁村もヒット。8番中村がスクイズを決めて、2対8と西武を突き放します。ここで、西武は渡辺を諦め、2番手の山根にスイッチします。
宇野2
 6回裏、加点をしたのは、またも中日でした。5回から代わった東尾を攻め、川又がソロホームラン、3番ゲーリーのツーベースで、11点目を加えます。さらに、7回裏、8番中村のソロHRで、大量12点目を奪います。
 西武も、終盤に粘りを見せます。8回表、疲れの見える山本を攻め、平野のヒット、秋山の四球で4番清原がタイムリー。ツーアウトになるも、辻が内野安打で繋ぎ、8番の代打苫篠が2点タイムリーを放ちます。ここで、山本も降板します。
 9回表、ヒットの石毛がすかさず盗塁を決めると、中日から移籍したばかりの平野がツーベースヒット。さらに、「チャンスに強い」清原が2本目のタイムリーで、7点目を挙げます。
清原2
 が、いかんせん、点差が開きすぎており、リリーフの上原がそのまま、投げきって、7対12で中日が緒戦を物にしました。
 第2戦は、オリエントエクスプレスこと郭泰源と西武から移籍したばかりの小野のグレードB対決になります。
 先制は、西武でした。2回表、好調の清原がソロホームランで、1対0とします。2回は伊東が四球で出ると、セカンド宇野がエラー。辻がスクイズを決めて、2点目を取ります。
辻
 すると、その裏、中日が反撃に。ツーアウトから1番彦野のツーベース、仁村徹のタイムリー、ゲーリーのツーベース、4番落合のタイムリーと、怒濤の4連打であっという間に逆転に成功します。
落合2
 が、4回表、西武も負けじと、秋山のツーベース、バークレオのヒットで1・3塁とし、7番田辺がスクイズで、3対3の同点とします。
 その後、両投手は2回を抑え、ゲームは終盤に。
 7回裏、中日は絶好調の彦野のタイムリーで、1点を奪います。ここで、中日は郭源治を投入します。
 37セーブの守護神に苦労するかと思いきや、8回表、西武は秋山、バークレオの連打でチャンスを作ると、またもスクイズで同点!さらに、8番伊東がタイムリーを放って、5対4と逆転に成功します。
 8回から西武は、本来は先発の工藤を投入し抑えにかかりましたが・・・ゲーリーがヒットで出て、代走岩本が盗塁に成功します。主砲落合はきっちりとタイムリー・ツーベースを放って、同点!さらに、宇野のヒット、山田のスクイズで2点を加えます。
宇野
 9回表、郭源治はヒットを許し、1本出れば同点の危機を迎えますが、後続を冷静に打ち取ってゲームセット。5対7で、中日が連勝し、対戦成績を2勝とします。
郭源治
 第3戦は、舞台を西武ラインズ球場に移します。先発は森山(グレードC)対小松(C)です。この日は、本シリーズ初の投手戦となります。
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 西武は、2回裏、四球のランナーを送って、1アウト2塁とし、7番田辺がタイムリーツーベースを放ち、先制します。
田辺
 これを先発の森山が守り続け、6回まで好調中日打線を1安打で零封します。
 が、このシリーズで驚異的な粘り腰を見せる中日は、7回表、ゲーリー、落合、宇野の三連打で同点に追いつきます。
落合3
 続く、8回表、今度はランナーを2塁において、1番彦野がタイムリーを放ち、2対1と逆転します。さらに、9回表、ツーベースの落合を塁において、7番川又がタイムリーで3対1と突き放します。
 中日の小松は、2回の1失点以外は、西武打線を翻弄し、点を与えず。7回裏に2死1・2塁のピンチで、守護神郭にリリーフし、抑え込みます。そのまま、郭が9回まで投げ切り、初セーブ。3対1で、中日が優勝への王手をかけます。
 西武は絶対に負けられない第4戦に、工藤(グレードC)を投入します。中日は、ベテランの鈴木孝政(C)です。
 この大事な試合に、4番が抜群の働きをします。1回表、彦野が四球を選び、バントで送ると、主砲の落合がバックスクリーンに先制のツーランホームランを放ちます。その後、工藤は立ち直り、5回まで点を与えず。
落合
 一方の鈴木は、スコアリングポジションに度々、ランナーを出すものの、老獪なピッチングで、4回まで西武打線を抑え込みます。
鈴木孝政
 このままでは、ストレート負けになると奮起した西武は、5回裏、ヒットの平野を塁において、3番秋山が値千金の同点ツーランHRを放ちます。これで、ゲームは振り出しに。
秋山
 が、ここでも、中日の粘りが。続く、6回表、1アウトから彦野がツーベースを打つと、燻し銀仁村徹が勝ち越しのタイムリー!ここで、ライトの平野に痛いエラーが出て、さらに1点を献上。6番川又が止めのタイムリーを放って、5対2とします。
 西武は連打や連続エラーで、チャンスを作りますが、ゲッツーなどで後一本が出ず。ベテラン鈴木の前に、追加点を取れず、ゲームオーヴァー。
 5対2と、なんと4戦連続勝利の中日が、史実の劣勢を跳ね返し、ストレート勝ちで日本シリーズ優勝を決めました。
 MVPは、驚異の打率.500、1HR、4打点の彦野が獲得しました。敢闘賞は.313で2本塁打を打った秋山でした。
彦野
秋山2
 西武は、平野が.353、秋山が.313、石毛が.294の2盗塁と活躍しましたが、バークレオ、田辺が1割台で足を引っ張り、平均打率も.245と中日に抑え込まれました。投げては、先発の渡辺、郭、工藤が防御率5点以上で、ゲームが崩壊。平均防御率は5.56で、1試合に1本以上の本塁打を打たれたのも、響きました。
 一方の中日は、MVPの彦野に、同じく打率.500の落合、.333で1本塁打、5打点のゲーリー、.357の川又などがきっちりと得点を重ね。平均打率は.285で、26得点(!)と西武を圧倒。投手陣も、小野、小松、鈴木がゲームを作り、守護神郭も第1試合は打ち込まれるも、2戦目に零封。平均防御率は3.5点で、被本塁打もわずかに1本とがっちりと抑え込みました。