今月のソロプレイ第4弾は、「熱闘12球団ペナントレース」(HJ)の1987年日本シリーズです。パリーグ優勝の西武ライオンズ対セリーグ覇者の読売ジャアンツの戦いです。
 西武ライオンズは、15勝の工藤(グレードA)と東尾(グレードB)に、13勝の郭泰源(グレードB)、先発・抑えも熟せる渡辺 (グレードB)の4本柱に、松沼博と横田がグレードCと充実した先発陣を誇ります。打撃陣では核弾頭の石毛、43本塁打の秋山、29本の清原、14本のブコビッチなどが強力ですが、規定打席で3割がおらず、平均打率は.249と確実性は低めです。監督は、広岡野球を継承した森祇晶で、敵の隙を突く用兵が持ち味です(史実での第6戦、ツーアウト1塁から単打での辻の生還は、あまりに有名)。
 一方の読売ジャアンツも、桑田のグレードAを筆頭に、江川、水野、加藤初のグレードBの先発に加え、抑えの鹿取が防御率1.90(グレードA)と光ります。打撃では、篠塚、クロマティ、原、吉村、中畑が3割超え(!)で、平均打率は.281と、巨人史上でも最強の部類に入ります。監督は、世界のHR王こと王貞治です。下馬評では、圧倒的に巨人が有利でした。
 第1戦は、パリーグのホームグランドの西武ライオンズ球場で、エース桑田(グレードA)と工藤(A)の対決です。
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 初回から、西武がしたたかさを見せつけます。ピッチャーのエラーで出塁した石毛が、すかさず、盗塁。ツーアウトになるものの、4番清原が先制のツーランホームランを叩き込みます。さすが、「チャンスに強い」清原。
清原2
 4回表、巨人は戦闘のクロマティがヒットで出ると、原の進塁打の後、6番「絶好調の」中畑がツーベースを放ち、1点を返し、1対2とします。
 すると、その裏、西武は今度はサードのエラーでブコビッチが出塁し、金森のバント処理で野手選択で、1・2塁とすると、7番田辺がきっちりタイムリーを放ち、1対3へ。
 そのブコビッチが、6回裏にはソロホームランを叩き込み、1対4に。
 終盤、ゲームが激しく動きます。7回表に、四球の中畑が盗塁すると、岡崎の代打鴻野が2点ホームラン!
 さらに、8回表、ヒットのクロマティを中畑がヒットで迎え入れ、ついに4対4の同点に追いつきます。中畑がこの日2つ目の盗塁を決めると、7番鴻野が逆転の一打を放ち、5対4とします。ここで、西武の先発工藤はノックアウトされます。
 その裏、今度は西武がしぶとく食い下がります。四球の金森を置いて、7番田辺が再逆転のツーランホームラン!ゲームは再び、西武リードで5対6に。
田辺
 最終回、8回途中からリリーフした森は、先頭の山崎を三振に取りますが、1番駒田に四球を与え、篠塚がヒットで1・2塁とします。ここで、西武は本来は先発の郭泰源を救援に投入しましたが・・・3番クロマティを三振に取るも、4番原が執念の内野安打で繋ぎます。そして、ここまでノーヒットの5番吉村。天才と言われたバッターが郭の剛速球を打ち返し、7対6と再々逆転に成功します。なんという、シーソーゲーム!
吉村2
 巨人は、ここまで6点を取られながら、試合を維持した(グレードを低下させなかった)桑田が粘りの投球で完投し、ゲームセット。ホームラン3本を浴びたものの、5安打、自責点3で、緒戦をアウェイの巨人が取りました。
 第2戦は、江川と東尾のグレードB対決になります。前半は、投手戦となり、ともにヒットは許すものの、要所要所を締め、責任投球回数の5回まで、0対0の零行進が続きます。
 6回表、均衡を破ったのは巨人でした。先頭の山倉が歩き、松本の進塁打で1アウト2塁とすると、1番駒田が値千金の先制ツーランを放ちます。さらに7回表、今度は吉村がライトスタンドにソロHRを叩き込み、3対0とリード。
駒田2
 西武は、7回裏、1アウトから清原が出ると、5番ブコビッチが左中間ツーベースを放ち、1点を返します。ここで、江川は降板し、リリーフエースの鹿取(グレードA)が後続を打ち取ります。
 負けられない西武は、8回裏、ツーアウトから石毛・広橋の連打で鹿取を攻め、2・3塁のチャンスを作りますが、ああ、主砲秋山が三振になります。
 9回表、今度は巨人原が貴重なソロHR!これがダメ押しとなり、鹿取が3人をきっちり締めて、ゲーム終了。巨人が2勝とします。西武は、ランナーを出して、積極的な盗塁を仕掛けましたが、走力5の秋山、4の苫篠が山倉に阻止されるなど、機動力を生かせず。
原2
 第3戦は、舞台をこの年最後の後楽園球場に移し、先発は渡辺(グレードB)対水野(B)です。
 序盤は、両投手とも粘りの投球で3回まで零行進が続きます。特に西武の渡辺は、4回裏まで一人もランナーを出さないパーフェクト・ピッチングです。
 4回表、西武は四球のランナーをおいて、不振の秋山がタイムリーツーベスを放ち、先制します。6回表には、「チャンスに強い」清原がソロホームランで貴重な追加点を挙げます。
秋山
 巨人も、5回裏に吉村が初ヒットを放つも、ゲッツーで断ち切れ。6回にはヒットの鴻野を送って、スコアリング・ポジションまで進めるも、あと一本が出ず。
 最終回、ツーアウトから篠塚がセンター前ヒットで出て、ホームランで同点の場面を作りましたが、クロマティが凡退し、2対0で西武が勝利しました。渡辺は、9回を散発4安打に抑え、完封勝利です。これで、西武は1勝2敗と初の勝ち星を挙げます。
渡辺2
 第4戦の先発は、オリエントエクスプレスこと郭泰源と「鉄仮面」加藤のグレードB対決です。この日は、激しいシーソーゲームになります。
  2回裏、巨人が原のツーベース、吉村のヒットで1・3塁とすると、中畑の併殺打の間に、1点を先制します。
 続く、3回表、西武はヒットの伊東をきっちり送り、2番西岡がセンター前にはじき返して、同点とします
 5回裏、巨人は、1アウトから好調鴻野がヒットで出ると、「意外性の男」8番山倉がツーラン・ホームランを放ち、1対3と再び、リードします。
 王手をかけられたくない西武は、6回表、ツーアウトから粘りの繋ぎで反撃に出ます。秋山が四球の後、すかさず、盗塁。ここで頼りになる4番清原がセンター前にはじき返して、同点!さらにブコビッチが四球を選ぶと、降格された6番石毛が奮起し、逆転のタイムリーヒットを放ちます。これで、西武は4対3と再逆転します。
石毛2
 7回は両投手が持ち直して、点を与えず。8回表、なんとか点が欲しい西武は、先頭の秋山に待望の1発が出て、巨人を5対3と突き放します。
 そして、9回裏、疲れの見える渡辺から先頭の原がツーベースで足掛かりを作り、6番中畑がヒットで、再び、1点差にします。鴻野は三振に倒れるも、8番山倉がヒットで繋ぎ、ツーアウト1・3塁とします。一打同点、長打でサヨナラの場面で、代打山本。ここで、西武は球威の落ちた渡辺から、横田にスイッチします。行き詰まる対決は・・・三振!からくも、5対4で接戦を物にした西武が、通算成績を2勝2敗の五分に戻します。
 ともに王手のかかった第5戦、桑田対工藤のエース(グレードA)対決となります。2回までは両投手を攻めあぐね、零のまま。
 3回裏、初ヒットは、なんと投手の桑田。すると、動揺した東尾の甘い球を見逃さず、1番駒田がバックスクリーンに、2点HRを叩き込みます。
駒田
 続く、4回裏、先頭の中畑がヒットで出塁すると、すかさず、盗塁を決めます。ここで、4番原がタイムリーを決めて、0対3と突き放します。
原
 西武も桑田を攻め、スコアリング・ポジションまで3度、ランナーを進めますが、要所を締められ、得点できず。
 その後、東尾も立ち直り、両軍とも点が取れない展開で、あっという間に最終回に、桑田が、1番から始まる打線を三者で打ち取り、ゲームセット。読売巨人軍が、優勝への王手をかけます。
桑田2
 ここで移動があって、再び、西武ラインズ球場へ。第6戦の先発は東尾(グレードB)対江川(B)の二度目の対決となります。序盤は、意地の投手戦となります。東尾は4回まで、ツーベースと単打の散発に抑え、点を与えず。江川もピンチを招くも、後続を断ち切って、スコアボードに零を並べます。
東尾
江川
 ゲームが動いたのは、中盤でした。5回表、クロマティがヒットで出ると、この日初先発の8番石井がタイムリーツーベースで、先制します。
 6回表は、篠塚のヒットと原の単打で1・3塁とすると、5番吉村がセカンド強襲で1点を追加します(記録はエラー)。続く、7回、こちらもエラーで出塁した鴻野を、石井が二打席連続のツーベースで、生還させます。これで、3対0に。
 8回には、原と吉村の連打でチャンスを作り、クロマティの併殺打の間に、1点を追加し、4対0と大きく優勝に前進します。
 最終回9回の裏、のらりくらりとここまで無失点の江川でしたが、1アウトから石毛がツーベースを放つと、田辺が左中間に一発を放ち、4対2と一矢報います。ここで、江川は降板します。
 引き継いだ鹿取は、絶対的抑えの力を発揮し、打者2人を打ち取って、試合終了。ジャイアンツが史実を覆し、87年の日本王者となりました。
鹿取
 MVPは、驚異の4割7分8厘、1HR、2打点の原が獲得しました。敢闘賞は、2割6分1厘ながら、チャンスで打点を挙げた田辺(1HR、6打点)でした。
原
田辺2
 西武は、3割以上の打者はおらず、平均打率.179と低迷。投手陣も、エースの工藤が防御率5.14点、東尾が4.15点と打ち込まれたのが痛かったです。それでも、与四球率は1.16と抜群の安定感で、4戦目に完封した渡辺など、トータルでは防御率3.57でした。
 一方の巨人は、4番原が打ちまくり、西武のお株を奪うような積極的な盗塁(のべ5盗塁)で、一本を繋いで合計で20点を獲得。これを防御率2.17の投手陣が支えて、優勝しました。エースの桑田が防御率1.50点、江川も1.84点でともに2勝を挙げ、抑えの切り札鹿取が無失点(2セーブ)など、投手陣の働きが大きかったです。