今月のソロプレイは、「わが青春のアルカディア」(バンダイ)です。同盟の80年代の映画を元に作成された作戦級です。
 映画自体が未見だったため、早速、DVDを借りて「史実」をおさらいしました(いつもの本末転倒、笑い)。ストーリーは、異星人イルミダスに占領された地球で、地球連合艦隊の難民船指揮官ハーロックが、技術士官のトチローや貿易商人のエメラルダス(知らなかった!)らと出会い、レジスタンスに合流。トチローが秘密裏に建造したアルカディア号で、独自行動に。最後は、イルミダスの総司令官ゼーダとの一騎打ち(?!)に勝利し、宇宙海賊となるという、TV版のプレ物語になっています。
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 中心のテーマは・・・なんと、漢のロマン。どんなに苦しくとも強いものには屈せず、友との約束は何があっても果たす。そのためは、無謀で非合理的な選択もしますが(というか、合理的でないことばっかり!)、なぜか、幸運に恵まれて乗り切るという、松本零士イズム全開のスペースオペラです。
 なにより、あの巨大なアルカディア号を、敵基地の地下で、秘密裏に(!)、トチロー一人で建造したという事実!!どこから資材を搬入したんだ、とか、いったい、何年かかったんだとか、岩盤を破って登場しても、アルカディア号には傷一つつかないのは何故?とか、シミュレーション的には???の嵐。
  そもそも、友に頼まれたからと、敵占領下の地球に堂々と戻ってくるとか、イルミダス軍もハーロックを拘束して拿捕すればいいのに「永久追放だ!」と野に放ったり(ゲリラの指揮官を逃がしてどうする!)。挙げ句の果てには、600隻以上の艦隊を持つのに総司令官ゼーダが一騎打ちを申し込んだり(!しかも乗組員がいるので一騎打ちにならない)とか、突っ込みどころが満載。最後のイルミダス艦隊との単独戦(!)では、正面突撃で玉砕かと思いきや、重力場の乱れで目視以外は砲撃が当たらない(アルカディア号は損傷していたので目視のみ!よっ、ご都合主義!)とか、白兵戦で敵司令官を倒す(!)とか・・・ああ、ハーロック・モードが止まらないぞ!
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 というわけで、ここからやっとゲーム紹介です。
アルカディア
 ゲームの基本は、キャラによる行動です。各キャラは、1ターンに10時間の行動ができます。移動には各ルートごとに時間が決まっており、また、イミルダス軍が敵を発見する索敵も、各ゾーンごとに指定の消費時間があります(レジスタンス側は自動的に敵を発見できます)。索敵は、レジスタンス側が索敵カードを引き、その記述に従います。素直に兵力を伝えざるを得なかったり、全くの誤報を流したりと、駆け引きの要素があります。
 敵を発見できたら、制圧車(またレジスタンス)による攻撃を行います。この時、戦闘カードを引き、投入される兵力以下ならば成功で、その差の分だけ、敵を除去できます。キャラには戦闘力自体はないものの、戦闘修整があり、ゼータ・ゾル・エメラルダスは-1、ハーロックは-2です。
 あまりにも戦力差が大きく戦死の可能性が高い場合は、任意で投降もできます。敵の捕虜となり、解放されるまで(味方が同じゾーンの全ての敵を除去するまで)いずれかのキャラに連行されます。
 地球占領政府のトライター大統領(地球人の裏切り者)は、勝利したゾーンを占領することができます。
 続いて、レジスタンス側のアクションですが、原則として、ターン開始時に引く「自由アルカディアの声」カードの指示がないと、移動も戦闘もできません。例外はキャラで、この制限がなく、自由に行動できます。
 その後に、ゲームを左右するトチローフェイズがあり、マップ上にランダムに現れます。この時、ハーロックまたはエメラルダスと邂逅すると、両者はレジスタンス側に立って参戦します。
 最後に、ゲームエンドを決める「トカーガ爆破フェイズ」で、1ターンが終了します。
 勝敗は、イルミダス軍がランダムで引いた勝利条件を満たせば、勝利。そうでなければ、レジスタンス側の勝利です。条件には、特定ゾーンの支配と敵(レジスタンス側のキャラ、または艦艇)の殲滅があり、いずれにしろ、簡単には達成できません。特に、アルカディア号とクイーン・エメラルダス号の破壊の場合は、両艦をあえて登場させなければならず、時間との勝負になることも(イルミダス軍が、早くで来~いと願うことも。笑い)
 数回のソロ演習をしてみましたが、特別ルールが多いのと、カードのランダム性が高いので、何度か、やり直しがあり。序盤でイルミダス軍が効果的にゲリラを殲滅できると、そのまま、圧勝となり、逆にハーロックとエメラルダスが決起すると、一気に逆転になるなど、振れ幅が大きいです。そこそこ、慣れたところで、本戦に。
  まず、イルミダス軍の勝利条件ですが、ハーロック・エメラルダス・マーヤの捕縛か殺害です。今回は、かなり困難な部類に入ります。一方、レジスタンス側の初期兵力は、兵士5ユニットに、戦闘カード2枚です。
勝利条件
T0 始めの戦力
 第1ターン、イルミダス軍は、定石の索敵撃滅作戦を実施します。ヘリクリスがシティを偵察し、敵を発見したところで、ゼーダの主力部隊(制圧車)がこれを攻撃し、レジスタンス側3ユニットを除去します。
T1 シティ制圧
 レジスタンス側は、マーヤを郊外へ逃がして、「自由アルカディアの声」放送を継続します。
 そして、運命のトチローフェイズは、出会いの丘!早々に、エメラルダスがレジスタンス側に合流します。
 第2ターン、エメラルダスが出現したため、イルミダス軍は主力を持って、攻勢に出ます。出会いの丘で激突した両軍は、容赦ない戦闘を開始しますが、レジスタンス側が思いの他、多くの兵士を集めていたため、損害は4ユニットずつに。制圧車1台しか残らなかったイルミダス軍は、やむを得ず、撤退します。
T2 出会いの丘の激突
T2
 第3ターン、敵が兵力を増強したことを察知したイルミダス軍は、一時的にシティに後退します。レジスタンス側も十分な行動カードがないことから、しばし、丘に止まります。
T3 イルミダス軍、一時後退
 第4ターン、ここで、イルミダス軍に、敵が地下放送局に隠れているという情報が。早速、制圧車を送って攻撃をしますが、これは偽情報でした。
T4 地下放送局を襲撃も、偽情報!
T4
 第5ターン、そろそろ、ハーロックの活性化がありえるため、イルミダス軍は増援の到着を待って、空港を固めます。また、前衛部隊をゾルに委ね、廃墟まで前進しますが、敵の増強が著しく(ように見える)、手が出せません。
T5 イルミダス軍の増援到着
 第6ターン、イルミダス軍は防御態勢に移行し、全軍を空港に集結させます。と、レジスタンス側も、隠蔽状態で空港に忍び寄ります。ともに大量のユニットがスタックを作り、一発触発の状態となります。
 第7ターン、膠着状態の隙を突き、レジスタンス側は密かにクイーン・エメラルダス号を地球から出発させ、トカーガ星に向かわせます。そして、このターンに、ついにハーロックがトチローと接触しましたが・・・。
T7 空港のにらみ合い
 第8ターン、イルミダス軍は間髪を入れず、全軍でレストランを襲撃。あまりの兵力差に、ハーロックとトチローは投降し、捕虜になります。また、総指揮官ゼーダはクイーン・エメラルダス号を追って、スターザット号を発進させます。
T8 ハーロックを捕虜にするが・・・
 一方のレジスタンス側は、マーヤを先頭に決起した兵士がレストランに雪崩れ込みます。激しい白兵戦が起こり、イルミダス軍の制圧車は全滅。レジスタンス側も7ヒットを受けますが、戦いに勝利します。
T8 レジスタンスの猛攻
 同じ頃、クイーン・エメラルダス号はトカーガ星に到着し、エメラルダスが生き残っていたミラを保護します。
T8 エメラルダス、トカーガ到着
 第9ターン、全兵力を失ったイルミダス軍は、ゾロが捕虜を連行しながら、郊外へ逃げます。レジスタンス側は、兵力を分散させ、これを追撃します。
 一方で、地球を目指すクイーン・エメラルダス号の前に、イルミダス本星艦隊が迫ります。このままでは、+6攻撃を受けると判断したエメラルダスは、灼熱のプロミネント星系へ。猛烈な熱さで2ダメージを受けたものの、追っ手を振り切ることに成功します。
T9
 第10ターン、イルミダス本星から制圧車の増援が到着し、指揮官ゾロは再び、空港に立てこもります。追撃を優先したため、レジスタンス側は兵力が整わず、またも膠着かと思われましたが・・・ここで、クイーン・エメラルダス号が地球に到着!トカーガ最後の女性であるミラを連れ帰ったエメラルダスに、ゾロとミーメが感謝し、イルミダス軍を離れmレジスタンス側へ。所を変えたゾロは、レジスタンス兵を指揮して、敵の制圧車の半数を撃破します。
T10 エメラルダス号、地球に帰還
T10 空港での激しい戦闘
 第11ターン、この危機に、総司令官ゾロは地球へ舞い戻り、空港を死守します。レジスタンス側も、2ターンをかけて兵力を整え、最後の決戦に挑みます。
T11 両軍が空港に集結
 迎えた第13ターン、イルミダス軍とレジスタンス側の総兵力が、空港を舞台に壮絶な戦闘へ。指揮を執るのは、総司令官ゼーダと艦艇を率いるエメラルダス。結果は・・・レジスタンス側が60%の兵力を失うも、乾坤一擲の攻撃でイルミダス軍を指揮官共々、殲滅!これにより、捕らえられていたハーロックとトチローが解放され、レジスタンス側が決定的な有利を奪還しました。
T13 激戦!
 ここに至り、イルミダス軍の勝利は不可能となり、レジスタンスの勝利となりました。
終了時
 圧政を引く征服者にレジスタンス側が抵抗し、英雄の登場とともに、形勢を逆転して様が描かれています。リプレイアビリティは高いのですが、カードの振れ幅が大きく、それ次第といったところもあります。が、元から展開を楽しむゲームと割り切れば、それらしさが味わえ、ある意味、「史実」に忠実なアイテムでしょう。
 なお、独特のルールが多い割に、例示が十分でないため、以下のような解釈で進めました。
・レジスタンス側は、「自由アルカディアの声」及びイルミダス軍増援時に、イルミダス 軍がパイルした戦闘カードを受け取る。が、パイルしたカードが不足する場合は、イル ミダス軍の山札から、引けるものとする。
・両陣営は、手持ちの戦闘カードは、任意で選択して使用できるものとする。
・捕虜になったレジスタンス側のキャラは、地球外に連行されることはない。