今月のソロプレイ第8弾は、モスクワ攻防戦を描く最新の「激闘!タイフーン電撃戦」(GJ)です。フルマップ1枚、ユニット数250個と見た目は普通の作戦級ですが、プレイ時間は優に8時間を越える超本格派です。
 基本システムは、傑作「激闘!マンシュタイン軍集団」(GJ)のチット・プル・システムです。所属部隊ごとではなく、司令部ユニットから4へクス以内の全ユニットが活性化するため、司令部の集中と電撃戦、あるいは機動防御がシンプルなルールで楽しめます。
 ゲームの展開としては、お約束の前半の大包囲と突破、泥濘と凍結の中の前進、降雪後のソ連軍の大反攻となっています。特にポイントとなるのが、第1-2ターンで、ここでどれだけ多くのソ連軍を補給切れ除去ができるかによって、展開は大きく異なります。
 また、モスクワ戦を描いたゲームでは、珍しく、ツーラとモスクワへ突入しやすくなっています(その後の維持はかなり厳しいですが)。
 プレイ時間が膨大なため、おいそれと繰り返しはできませんが、数回の練習プレイを経て、ソロ演習と行きます。
T0
 第1ターン、このターンはソ連軍は奇襲の影響で、一切の行動ができず(チットなし)、ドイツ軍の独壇場となります。途中で補給チットが出たものの、グデーリアン・チットの割り込みでこれをキャンセル。結果、第3装甲軍と第4装甲軍の連携が決まり、巨大なポケットが形成されます。ソ連軍の第16軍、第20軍、第24軍が包囲され、全てがステップロスに。
T1 中央部の攻撃
T1 壮大なポケット成功!
 一方、南方では、第2装甲軍の主力がブリヤンスクを奪取します。また、分遣隊が、早くもクルスクを攻略します。
T1 南部の攻勢
 第2ターン、ドイツ軍は増援チットで、すかさず、クルスク周辺を強化します。と、この直後に、サプライ!これにより、包囲下のソ連軍3個軍(36ユニット!)が全滅します。補給切れで除去されたユニットは、後の増援にできないため、大きなアドヴァンテージになります。また、せめて時間稼ぎにと入れていた第16軍・第20軍のチットが、無駄になってしまいます。
T2 補給切れで大殲滅
 怒濤のドイツ軍は、中央及び南部で突進を続け、オリョールとキーロフを攻略し、ヴィヤジマを包囲下におきます。ソ連軍は、先のチット不足から展開が遅れ、第22軍・第29軍の撤退がやっとです。
T2
 第3ターン、ロシアの大地を泥濘が包み込み、ドイツ軍の使用チット数が4に減少します。それでも、ドイツ軍は平押しで戦線を押し上げ、あるいは間隙から浸透し、要衝カルーガを攻略し、モスクワまで7へクスに迫ります。また、ヴィヤジマ北方を迂回し、第32軍を包囲下にします。
T3
 突き進むなら今と、ドイツ軍は少ないリソースをモスクワに迫る第4装甲軍に振り向けます。これが奏功し、2手番連続で第4装甲軍の機動に。前ターンに空けて置いた突破口を突進し、モジャイスクを攻略。そのまま、モスクワ攻撃を実行します(まだ、10月!)。
T4 モジャイスク突破
T4 モスクワ戦、開始
 ソ連軍はかろうじてこれを堪え忍び、大量の増援を緊急展開し、オスターシャコフからルジェフ経由でモスクワまでの防衛線を引き直します。
T4
 第5ターン、敵の防衛体制が不十分なうちにと、ドイツ軍はここを先途にモスクワへの猛攻を掛けます。第4装甲軍の総力を挙げた攻撃により、ついに市街地に突入!(先頭はDas Reich自動車化師団)さらに、もう1へクスも占領して、勝利条件の一部を満たします。
T5 モスクワ突入
 一方、リソースを回せず、展開が遅れていた第2装甲軍もオカ川を渡河し、ツーラの包囲に成功します。
T5
 第6ターン、天候は凍結に。このターン、包囲下にあったツーラが陥落し、ドイツ軍は早くも防御態勢に移行します。モスクワ市街地に歩兵を入れ、装甲師団を機動防御に備えて、予備に回します。
 また、スタック防御の長大な戦線を敷くとともに、一部では攻勢に出て、敵を包囲攻撃し、反撃を牽制します。
 ソ連軍は、大量の増援で戦線を強化しながら、反攻に向けて、ツーラ東方に部隊の展開を始めます。
T6
 第7ターンは、両軍とも戦術的な攻撃のみで、戦線はほぼ膠着状態に。
T7
 第8ターン、いよいよ、ロシアの厳冬が到来します。このターンから、ソ連軍のZOC進入・離脱移動力が+1に減り、かつ戦闘時にはソ連軍有利に2シフトに。いよいよ、東部に集結したソ連軍が反攻に移りますが、ドイツ軍の戦線も厚く、若干の後退をするのみに止まります。
T8
 第9ターン、ソ連軍の反攻が本格化します。東部及び北西部で、司令部を集中した反復攻撃を実施。敵の防御も堅いので、ソ連軍にも少なからずの損害が出ますが、強襲により徐々にドイツ軍も損耗します。
T9
 第10ターン、東部に敵の予備を惹き付けたところで、親衛赤軍をモスクワ前面に投入し、大反攻に出ます。薄くなっていたドイツ軍の防衛線はこれに耐えきれず、ついにモスクワからの撤退を開始します。
 一方、北西部でも3個司令部と大量の増援を投入して、オスターシャコフ・ヴェルキエルーキ鉄道沿いにラッシュをかけます。
 残り2ターンの時点で、ドイツ軍の占領都市は8つに減り、最終の勝利条件ギリギリになります。
T10
 第11ターン、大戦果は北西部で上がりました。攻撃-増援-攻撃の理想的なローテーションが決まり、ヴェルキエルーキに肉迫。3個狙撃兵師団に司令部までつぎ込んだ3:1攻撃の結果は・・・RR!ここが陥落し、 ついにドイツ軍の勝利都市数を7まで減少させました。
T11 ヴィルキエ・ルキエ陥落
 また、中央部でも重層的な攻撃をかけ、モスクワ川沿いまで第4装甲軍を撤退させます。
T11
 最終第12ターン、ドイツ軍にはもはや都市を取り返す力はなく、増援と機械化予備で突破口に薄い戦線を引くのがやっと。北西部のソ連軍は怒濤の進撃を続け、スモレンスクを狙える位置まで前進します。と、ここでゲームエンド。
T12
生きて帰らず
 結果は、圧倒的にドイツ軍有利だったはずが、最後はソ連軍の勝利に。序盤で空前の3個軍を包囲で失い、かつてない早期にモスクワに突入され、きわめて厳しい状況に。反撃戦力も十分とは言えなかったのですが、連続チットにも恵まれ、怒濤の冬季攻勢により、都市数を削減できたのが、大きかったです。
 まさに、独ソ戦最大の舞台をうまく切り取った名作でしょう。あまりにもプレイ時間が長いので、二の足を踏む方もあるかと思いますが、この展開こそ、SLGamerの本懐です。ゲーマーの高齢化とともにライト級全盛の昨今ですが、年に一度くらい、ハードアイテムを突き詰めてもいいかも・・・。と、いうわけで、対戦者を募集中です(ただし、例会2回分で、笑い)。