今月のソロプレイ第7弾は、この時期ぴったりの冬季戦「モスクワ'41」(CMJ)です。ドイツ戦車軍団システムを使用したタイフーン作戦アイテムで、極めて高いプレイアビリティを誇ります。例によって、十分なデヴェロップがされており、バランスも上々です。
 基本は、移動-戦闘です。戦闘は戦闘比で解決し、2:1で攻撃側が有利となります。後退したユニットが混乱状態(移動・戦闘不能)になるのは同システムの特徴ですが、モーメンタムを表すために回復ポイントを導入し、前半はドイツ軍有利に、後半はソ連軍有利に回復できるようになっています。
 また、初めて補給の概念が導入され、補給切れになると混乱状態に、さらに次ターンも補給切れだと除去されます。
  特別ルールとしては、ソ連軍のみ強制反攻ルールがあります。ターン終了時に反撃チットを引き、「スターリンの反撃命令」が出ると、次ターンはソ連軍が先手となり、一定ユニット数の反撃を行わなければなりません(足りない分は、VPを献上します)。その後にドイツ軍ターンとなるので、次ターンと合わせると、ドイツ軍は計算のできるダブルムーブとなります。
 勝利条件は、モスクワにドイツ軍が突入すればその瞬間にサドンデスですが、めったに起こりません。それ以外は指定都市と町の占領によるVPとドイツ軍損害により決定します。
 秀逸なのは、各都市/町のVPが不明で、ゲーム終了時にVPチットを確認します。VPは2-6点と差が大きく、ゲーム中はどれだけ勝っているのかが両軍とも不明です。平均は4.3点なので、期待値としては5都市をとれば、ドイツ軍勝利の20点を超える可能性が高くなります。撃破された装甲師団/自動車化師団1ユニットにつき、-1Vとなるので、損害如何によって勝敗ラインが変動します。
 ちなみに、マップ南端にはヴォロネジがあり、これを獲るとVPは2倍になります。が、ソ連軍の増援が登場するマップ端が近く、それなりの兵力をつぎ込まないと占領は難しいです。
 両軍はフリーセットアップを行い、ゲーム開始です。なお、第1ターンのみは、特別ルールで、ドイツ軍が二度の移動-戦闘を行えます。
 第1ターンの第1フェイズ、ドイツ軍は可能な限り敵ユニットを除去するため、装甲師団2個と自動車化師団1個、歩兵師団1個を組み合わせた攻撃チームを編成します。これだと、敵歩兵の戦力が4以下ならば6:1(2/3の確率で敵を除去)となり、最大の7戦力でも4:1(1/3の確率で敵を除去)となります。アントライドの結果、6:1が4つ、5:1が1つ、4:1が6つ、3:1が2つとなります。1カ所のみC(攻撃失敗、膠着)でしたが、EXを含め、12ユニットの撃破に成功します。
T1D1
 第2フェイズは、敵の第二戦線への攻撃となり、混乱状態の敵の自動壊滅を含め、さらに12ユニットを撃破します。
T1D2
 ソ連軍は増援を加え、なんとか北部から中央部で敵の戦略移動を狭める配置をします。南部は壊滅ユニットが多すぎて、戦線を張れず。唯一、包囲可能な装甲師団を攻撃し、EXでこれを撃破します(ドイツ軍のVP-1点)。
T1S 反撃で装甲師団を包囲撃滅
T1S終了時
 第2ターン、ドイツ軍は北部から中央部で正面攻撃で敵を撃破する一方、南部では敵歩兵集団を包囲します。別働の装甲部隊でクルスクを占領し、2個がヴォロネジを目指し、戦略移動を行います。
T2D
 対するソ連軍は、再び、増援で前線を繕いながら、後方に残された歩兵で反撃を成功させ、これを親衛赤軍に昇格させます。また、南部の包囲網にはブリヤンスクから登場した増援で、補給をつなぎます。
T2S反撃
 と、ここで引いた反攻チットは「スターリンの反撃命令」!第3ターン、先攻となったソ連軍は包囲下の部隊を中心に反撃を行い、先の攻撃で混乱状態になった敵への攻撃とEXで、2個歩兵師団を除去します。さらに包囲可能な自動車化1個師団を殲滅します。
T3S
 が、ドイツ軍の逆襲も凄まじいものでした。第3ターンの後攻攻撃で戦線に穴を開けると、第4ターンのダブルムーブで敵を包囲攻撃します。結果、北部のソ連軍は軒並み包囲下となり、中央部では前線が完全消滅します。
T3D
T4D北部
 ソ連軍は反撃で北部の連絡線は回復したものの、中央部ではカリーニン要塞線に沿って薄い戦線を張るのがやっとです。
T4終了時
 第5ターン、高い機動力を持つドイツ軍は、モジャイスク近郊の親衛赤軍を撃破し、一時的にモスクワへの街道を占拠します。また、ツーラ側面に回り込んだ部隊が東端の敵を撃破します。北部では、2個の敵を包囲殲滅し、同時にカリーニン側面を攻撃をして、圧力をかけます。
T5D
 ソ連軍は、カリーニンはもはや守れないと、これを放棄。6ユニットに増加した増援を必死に投入し、なんとか戦線を張り直します。
T5S
T5
 第6ターン、ドイツ軍は北・西・南からモスクワに圧力をかけ、前進をします。ここで、装甲1個師団が突出し、モスクワまであと2へクスに迫ります。
T6D
 一方、ヴォロネジ方面では敵が増援を回せないのをいいことに、装甲部隊で攻撃をかけ、ヴォロネジを占領し、さらに先制攻撃をし続けて、敵の反撃を封じます。
T6D南部
 ソ連軍はモスクワ市街から直接、増援を登場させ、必死の防衛線を引きます。 
T6S
 第7ターン、歩兵が追いついてきたドイツ軍は、装甲師団と連携し、モスクワ防衛線と北部戦線に正面攻撃をかけます。攻撃は成功し、モスクワまであと1へクスに迫ります。
T7D
 ソ連軍は、なりふり構わず、部隊を投じて、主防衛線を維持します。一方で、ヴォロネジ方面ではイニシアチブを取り替えさんと、なけなしの増援を投じて反撃を実施しますが、残念ながら成功せず。唯一の朗報は、スターリノゴルスクから登場した狙撃兵で、隙を突いてクルスクを奪還したことか。
T7S
T7Sヴォロネジ戦線
 第8ターン、ドイツ軍は歩兵師団を交えて、正面攻撃を強化し、モスクワ市街地攻撃の準備を整えます。が、北部は5:1攻撃がDRとなってしまったため、戦線突破は不可能になります。ヴォロネジ戦線では、ドイツ軍が再反撃に転じて、戦線を押し込みます。
T8D
 このままでは、モスクワ陥落はほぼ必至。ソ連軍は戦車師団及び親衛赤軍、狙撃兵を投じて、最前線の装甲2個師団に逆襲をかけます。これが成功すれば、脅威を多少なりとも減少できたのですが・・・2:1攻撃の結果はEX。装甲師団1個を屠り、敵VPは減ったもののモスクワ攻撃拠点は死守されます。
T8S モスクワ前面の反攻
 最終第9ターン、ドイツ軍は満を持して2へクスからのモスクワを攻撃。戦闘比は6:1で、ここを守る狙撃兵部隊を見事、殲滅!戦闘後前進でついにモスクワに入城したドイツ軍の勝利となりました。
T9Dモスクワ強襲
 最終ターンまでもつれ込む激戦でした。ちなみに、これが墜ちなかったらVP判定でしたが、クルスク、オリョール、カリーニン、ツーラ(再奪還)、ヴォロネジ(VP2倍)、クリン(町で1/2VP)と実質6都市以上を占領。が、装甲部隊の損害も-7VP(7個師団壊滅)で、確認したら20VPに届かず。危ないところでした。
 ソ連軍としては、ヴォロネジ奪還のため、増援を投入し続けたのが裏目に出た形ですが、モスクワ防衛もギリギリの「崩壊」だったわけで、結果論でしょうね。
 雪や泥の影響が感じられず(逆に雪が降ると凍結して、ドイツ軍機械化部隊の機動力が上がる?!)、モスクワ冬季戦らしさが少ない点が不満ですが、シンプルな「ドイツ装甲軍団」の特徴を維持することで、わずか2時間で決着がつくプレイアビリティは特筆ものでしょう。史実では届かなかったヴォロネジ戦線があることでヴァリエーションが拡大し、また、アントライドや「スターリンの反撃命令」のランダム性により、競技性の高さはまさに中黒デザインです。是非、対戦したいものです。