今月のソロプレイ第四弾は、80周年記念のバルバロッサ作戦を描く「激闘!スモレンスク電撃戦」(GJ)です。フルマップ1枚、ユニット数250個と普通の作戦級ですが、司令部活性化のチットドリブンです。
 基本システムは、傑作「激闘!マンシュタイン軍集団」(GJ)と同様で、司令部ユニットから4へクス以内の全ユニットが活性化します。同システムの特徴で、司令部の集中による劇的な突破戦闘が、シンプルなルールで描かれます。
 ゲームの展開としては、事前攻撃で穴を開けたソ連軍戦線から、ドイツ軍の機械化部隊が突破。包囲下で補給切れにできれば、前線のソ連軍3個軍は2ターンで消滅します。ソ連軍はこれを防ごうと、機械化部隊や司令部まで投入して、後方突破(補給線の確保)を狙います。いずれ、3個軍は壊滅するでしょうが、どこまで時間稼ぎをできるかが、その後の戦況を大きく左右します。以後は、ミンスク、ビテブスク、スモレンスクと戦場が東に移り、ソ連軍の増援とチット次第で、ドイツ軍が東方または南方への突破か、ソ連軍が踏みとどまるかという展開となります。
 第0ターン、奇襲を受けたソ連軍に、第2及び第3装甲軍集団の部隊が攻撃(のみ)を行います。第3装甲軍集団はdrに恵まれ、唯一の3:1攻撃を除き、敵の除去に成功します。南部の第2装甲軍集団では、包囲下の4:1攻撃がまさかの効果なしになりますが、それ以外は戦闘後前による包囲による攻撃で、やはり2ユニットを除去します。
T0 攻撃
T0
  そして、いよいよ、第1ターンがスタートします。始めのチットはソ連軍第3軍でしたが、このまま、退却をさせるわけにはいかないので、グデーリアン・チットでキャンセルし、ドイツ軍の第2装甲集団を活性化します。事前に開いた突破口から機械化部隊が浸透し、ソ連軍第4軍を蹂躙します。同時に、一部の部隊を北上させ、ソ連軍の後方遮断を狙います。第2か第3装甲集団のチットが来れば、包囲網が完成するところでしたが・・・残念ながら、ここで補給判定となり、ソ連軍は消耗せず。
 その後、第9軍、第3装甲集団と続き、包囲網を完成しますが、一歩遅く。ドイツ軍は通常攻撃で敵を撃退し、ブレストとウィルナを占領します。
 ソ連軍も3軍のチットが来て、東方への脱出を試みますが、ZOCに阻まれ、連絡線はつながりません。
T1
 第2ターン、ソ連軍は第4軍チットの代わりに、Reserveを入れ、連絡線の確保を試みます。すると、立てて続けにReserveと2個軍のチットが来て、目論み通り、東方へ連絡線接続に成功します。が、次が第3装甲集団チットとなり、再び、包囲下に。同時に主力は突進して、ミンスクの第13軍を攻撃します。
T2 3Pz、ミンスクへ
 包囲網が形成されているうちに、ドイツ軍としては補給チット(補給切れ判定)が欲しかったのですが、これがなかなか来ず。やむなく、通常攻撃で敵を除去していきます。
 結局、補給チットは一番最後となり、ここで包囲下のソ連軍が消耗します。ドイツ軍はミンスクを占領し、ソ連軍はドニエプル河の防衛線形成に向けて、部隊を集結します。
T2
 第3ターン、ドイツ軍は第3装甲集団を突進させ、ドビナ河畔のボロツクを電撃占領します。その後、ソ連軍のチットが続き、連絡線の再設定まであと一歩まで行きますが、ここで補給判定!包囲下のソ連軍は、ついに全滅します。
T3 補給通じず
 これで、ドイツ軍による東への突進が可能に。第4軍に代わって選択しておいたOKHチットを使って行動済みのHQを前進させ、そのHQを使って部隊を活性化する作戦で、効率よく部隊運用を行います。北方では湿地帯への攻撃でビテブスクへ圧力をかけます。結果、後方に残った第4軍の歩兵を除き、ほとんどの部隊がドニエプル河畔へ辿り着きます。ソ連軍も薄いながらも戦線を形成し、後方から中央部と南部に増援が向かいつつあります。
T3 ポロツク強襲
T3
 第4ターン、装甲集団ばかりか歩兵司令部も前線に到着しているため、ドイツ軍の怒濤の連打が起こります。第9軍に始まり、敵のチットをキャンセルして第2装甲集団、OKH、さらに第3装甲集団と、4連続のドイツ軍チットの北部攻勢により、ヴェルキ・ルキエとビテブスクが陥落します。
T4 ヴィテブスク陥落
T4 北部での攻勢
 ソ連軍もなんとか増援を送り込んで戦線を維持しようとしますが、中央部でも連打により突破が発生します。そこから浸透した機械化部隊により包囲された第19軍の一部と第20軍が壊滅し、スモレンスクが南北から包囲されます。
T4 怒濤の連打
 第5ターン、ここでドイツ軍は真東への突進を第3装甲集団に委ね、2回の攻撃でスモレンスクを奪取し、司令部を失った第19軍を圧迫します。その南部を第2装甲集団が併走し、投入された増援ごと、次々と敵を撃破していきます。
T5 スモレンスク強襲
T5 そのまま、モスクワ正面軍を圧迫
 ソ連軍はやむなく、南に展開していた第16軍の一部を転用しますが、連携の取れたドイツ軍の前に被害を増やすだけとなります。
 第5ターンが終了した時点で、ヴィヤジマ周辺のソ連軍の数個師団を除き、ほぼ中央部は一掃され、ドイツ軍の東方への突破は確定的になります。 
T5
 第6ターン、ソ連軍の増援チットが来たものの、グデーリアン・チットであえなくキャンセルされ、ヴィヤジマ・ポケットが壊滅し、東端の補給源が占拠されます。これにより、ソ連軍の特別増援を含む全増援が投入不可に。
T6 ヴィヤジマ攻略と東端への到達
 勢いに乗るドイツ軍は、第3装甲集団でルジェフを攻略し、第2装甲軍でブリヤンスクに迫ります。また、部隊を引き抜かれた盤部の戦線に対し、第2軍が攻撃をかけ、クリチェフ南方で突破口を開きます。
 ここで、第6ターンが終了し、ドイツ軍はこの時点で115点を獲得します。今後、特別増援を投入しても、押し返すことは不可能ということで、終了としました。
T6
  まさに傑作「激闘マン」システムの真骨頂で、ドイツ軍の電撃戦が見事に再現できます。ただし、OKHチットを使うと、要となるHQの活性化があまりに効率よくなり、今回のように史実を越える戦果となりがちです。よって、もりつちさんがブログで提案されていたように、選択ルールのOKHチットでは「部隊のみ活性化でき、司令部はできない」と制限するといいかも。
 ちなみに、事前のソロ演習で、OKHチットを使用しなかったところ、見事にドニエプル河戦線で敵の侵攻を停止し、3個司令部を投入した反撃で装甲2個を含む5個師団を除去するという展開も(もっとも調子に乗って中央ばかりを厚くしたところ、北部に2個装甲集団HQを投入したドイツ軍の集中攻撃で、リャザン経由でヴィヤジマと東方へクスが占領されました)。
 ソ連軍も隙を作れず、敵の意図を読み、的確な兵力を投入する(一度と投入したら、転用はほぼ効かない)作戦眼が必要です。そういった意味では、様々な展開があり、システムの自由度が生きていると感じます。6ターンシナリオで4時間、9ターンなら6時間コースですが、久々に楽しくやり応えのあるバルバロッサ作戦です。