今月のソロプレイ第1弾は、最新のWGHBに2in1で付いている「TANKSβ」から、シナリオA「赤軍の逆襲」です。発表されている「TANKS+」(CMJ)から、戦車戦に特化したアイテムになっています。
基本システムは、準備射撃-移動-前進射撃と極めてシンプルです。射撃も命中判定-撃破判定のみで、気軽に撃ち合いを楽しめます。が、勝利するためには、両軍の性能差を熟知し、理にかなった作戦を立てる必要があります。
このシナリオでは、4両のドイツ軍に対し、2倍の8両のソ連軍が登場します。ドイツ軍は極めて高い命中率と適度な装甲貫徹力を持ちます。12へクスの距離でも命中率は6割で、T34なら正面でも4割で撃破できます。よって、可能な限り、開けた地形で待ち受け、移動中の敵(の側面)を狙って臨機射撃で撃破することを狙います。
一方、ソ連軍は砲の貫通力はほぼ互角なものの、命中率は雲泥の差で、中長距離なら6-8倍(!)の開きがあります。よって、ソ連軍としては地形を利用しながら敵に忍び寄り、近距離になったところで一斉に展開し、数を生かした射撃戦を行うことになります。
第1ターン、ドイツ軍は北端近くの平地に前進し、射界を広く取ります。ソ連軍は、装甲の厚いKVのみは正面から前進し、他は地形を利用しながら、視界外へ。
第2ターン、前進する右翼のT34に対し、ドイツ軍が臨機射撃を行います。遠距離により命中率は20%以下でしたが、3号戦車の1発が命中。が、貫通力が落ちていたため、撃破ならず。ソ連軍は、全力で前進を続けます。
ソ連軍はなおも前進しますが、右翼のT34が側面を見せたところで、3号戦車が再び、臨機射撃!1発が命中し、T34の履帯を破壊し、移動不能にします。また、大胆にも高速で中央付近を突進するにSU76に対し、4号戦車が臨機射撃をしますが、これは外れます。
第6ターン、4-6へクスの近中距離での射撃戦は、ドイツ軍が先制します。森に陣取る敵に対し、3号と4号戦車が正確な射撃を撃ち込み、T34とSu76の各1両を撃破します。
第7ターン、勝負を付けたいドイツ軍は、3号戦車でSu76を攻撃し、これを撃破!あと、1両破壊で勝利まで、たどり着きます。最も接近しているKVに向かって4号スタックが射撃し、2発を命中させます。撃破の確率は、6割以上ありましたが・・・ああ、分厚い装甲に弾かれ、跳弾となります。
後がなくなったソ連軍は、T34とKVの4両で、森に籠もる4号戦車を攻撃します。命中率は27%でしたが、気迫に勝るイワンの射撃が命中!さらに4割の壁を突破して、2両を撃破!この瞬間、ソ連軍の勝利が確定しました。
これまでWWⅡの戦車戦アイテムでは、ツクダのタンク・コンバット・シリーズやHJの「戦車戦」、CMJの「ワールド・タンク・バトル」等がありましたが、どちらかというと性能差によって撃破が決まることが多く、単純に撃ち合いを楽しむ、あるいは最善手がわかりやすい傾向にありました。が、「TANKS」では命中と撃破の幅が大きいため、「いつ、射撃をするか」(あるいは、「敢えてしないか」)が重要なポイントになっていて、戦術的思考を要求されます。
もともと、レックが制作しただけあって、単なるカタログスペックの競合でない戦車戦がプレイできます。基本がシンプルな分、追加車輌やルール、シナリオが製作しやすく、CMJ誌で西部戦線から中東戦争、WWⅠまで幅広くヴァリエーションがあります。そういった意味では、今でも通用する、時代を先取りしたアイテムだったのかもしれませんね~。
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