2019年の日本シリーズは、パリーグCSを勝ち上がった埼玉西武ライオンズとセリーグCSを勝ち上がった読売ジャイアンツの戦いです。規定により、奇数年はパの本拠地メットライフドームでスタートします。
  第1戦は、10月19日で、先発は澤村(グレードA)対ニール(グレードB)のエース対決です。先制したのは西武で、四球の森を置いて、主砲山川が豪快なツーランホームランを叩き込みます。
 が、その直後の2回表、巨人はサードのエラーで出塁した阿部を、ゲレーロの単打、田中のタイムリーで1点を返します。4回には、ツーベースと進塁打で3塁に進んだ阿部を置いて、ニールが痛恨の暴投で、同点としてしまいます。

田中
 迎えた7回、ゲレーロが値千金の勝ち越しソロで、逆転に成功します。
ゲレーロ
 8回には、代打重信のタイムリーで突き放し、そのまま、澤村が投げ抜いて、ゲームセット。澤村は先制されたものの、その後は尻上がりに調子を上げ、7回以降はパーフェクトで8奪三振(!)というすばらしいピッチングでした。
重信
  第2戦の先発は、山口(グレードB)対今井(グレードD)です。この日、先制したのは巨人で、2回表に絶好調阿部を2塁において、伏兵田中がタイムリーを放ちます。
 3回までランナーを出すものの点が入らない西武でしたが、5回裏、自慢の重量打線が爆発します。主砲山川が2試合連続のソロで同点にすると、外崎が四球、栗山がヒットで続き、9番金子が逆転タイムリー。直後に、秋山がスリーランを放ち、5対1と大きく勝ち越します。さらに、6回には「どすこい」山川が2打席連続のソロ!
秋山
山川
 7回には、四球でランナーをため、外崎が3ランHRと試合を決定づけ、8回には源田にもソロが出て、大量10点に。
 巨人は6回に重信のタイムリーで1点を返すものの、西武先発今井の完投を許し、試合終了。これで対戦成績は、1勝1敗となります。
今井
 移動日を挟んで東京ドームに舞台を移した第三戦は、まれに見る接戦になります。十亀(グレードD)対菅野(グレードC)でスタートした試合は、両投手が要所を押さえ、4回まで零行進となります。
 勝利投手の権利が絡んだ5回裏、巨人は十亀を攻め、田中のツーベース、小林のタイムリー、1番に還って丸のツーランで3点を先制します。
丸
 6回表、西武は森の犠牲フライで1点差にしますが、中継ぎ陣に抑えられ、最終回に。巨人の守護神中川が登板し、2三振でこのまま終了かと思われましたが・・・ツーアウトから中村の四球、源田のツーベース、代打熊代のタイムリーで、同点に追いつきます。
熊代
 その後は、増田や大竹の抑えの投入で、12回まで点を許さず。西武増田が12回裏を三者連続三振で締め、引き分けとなりました。
増田
 完全な五分で迎えた第四戦は、高橋(グレードD)対メルセデス(グレードC)の対決になります。1回裏、4番に座った阿部がタイムリーで先制します。
 5回、西武は4番山川がシーズン4本目となるツーランを放ち、見事に逆転します。
山川その2
 ここから両軍は、平井にヒース、デラロサに鍵谷、戸根の中継ぎ陣を投入し、6回まで2対1のまま。
 転機は7回裏でした。四球の小林に代わった巨人増田が盗塁を決め、ノーアウト2塁とします。1死後、1番丸がタイムリーで同点にし、代打大城が逆転ツーベースを放ちます。そして、止めは4番阿部のツーランHR!
阿部
 西武もグレードAの戸根を攻め、中村の2点タイムリーで1点差にしますが、前日の殊勲者熊代が三振に倒れ、5対4でゲームセット。巨人が2勝目を上げます。
 第5戦は、ローテから再び、ニール(グレードB)対澤村(グレードA)のエース対決です。ゲームは、グレード通り、1点を積み重ねる投手戦になります。
 1回裏、2番陽岱鋼が先制のソロを放ちます。しばらくは零行進が続き、6回、主軸の坂本がソロホームランで2点差にします。
陽岱鋼
 8回裏、疲れが見えたニールを攻め、阿部・岡本の連続ヒットの後、代打炭谷がタイムリーを放ち、ダメ押しに。
 西武は、単打を出すものの、後続が続かず、無得点。終わってみれば、散発2安打で13三振という、澤村の一人舞台で完封勝利を許しました。これで対戦成績は、3勝1敗1分けとなり、巨人が優勝への王手を掛けます。
澤村
 ここで再び、移動日を挟み、埼玉に戻った第6戦は、山口(グレードB)と今井の(グレードD)で開始。意地を見せたい西武は、1回裏に秋山のヒット、源田のツーベースの後、ゲレーロのエラーで先制します。続く2回、もう一人の主砲「おかわり」中村がソロホームランで2点目を取ります。巨人は3回表に好調陽岱鋼のタイムリーで1点を返します。
中村
 試合が大きく動いたのは、中盤でした。4回裏、西武は中村の四球に始まり、熊代のツーベース、木村のタイムリーで2点を追加すると、1番秋山のアーチで6点目をゲットします。続く、5回は四球の二人を置いて、8番木村がスリーランで勝負あり。
木村
 巨人も6回に代打亀井の2点タイムリーを放ちますが、時すでに遅し。10対3で今井の二勝目を許し、対戦成績を巨人の3勝2敗1分けとします。
 このまま、西武が追いつくか、巨人が逃げ切るか。第7戦の先発は、菅野(グレードC)対佐野(グレードD)です。2回表、巨人は阿部のソロホームランと石川のタイムリーで2点を取ると、西武はその裏、外崎の2ランで同点と一歩も譲らず。
外崎2
 が、3回、小林が四球の後、陽岱鋼、坂本のシングル、阿部の死球、岡本の犠飛で、3点を取ります。4回には、陽がツーベースで加点し、6対2に。
 西武は外崎が2打席連続ホームランで6対3とするも、佐野から代わった中継ぎ陣を攻め、坂本の2点タイムリーツーベースや石川、若林の連続ホームランなどで、11点目を取ります。
坂本
 
石川
 菅野が5回で勝利投手の権利を得た後、セットアッパー戸根が3回を零封し、最終回は守護神中川が締めてゲームセット。この瞬間、読売ジャイアンツが4勝2敗1分で、2019年日本選手権シリーズの優勝を決めました。
 MVPは巨人の阿部で、打率4割4分4厘、本塁打2本、5打点と、この年に引退するベテランが最後に大輪の花を咲かせました。3割7分9厘を打った3番坂本とのコンビでチャンスを物にしました。次点は澤村で、2試合連続の完投、防御率1.00、奪三振率14(!)と大活躍でした。これ以外にも、巨人は田中、重信、大城、石川が要所でタイムリーやホームランを放つなどの地道な加点が奏功しました。
 一方、敢闘賞は西武の山川で、打率は2割1分4厘ながら、本塁打4本、6打点とMVPの阿部を凌駕する打点でした。それ以外にも森が5割(!)、外崎、秋山、源田が2ホーマーなどホームラン数では圧倒するものの、投手陣の層の薄さが響きました。