正月休みが明けたら、なかなか、アップできそうにないので、今月のソロプレイを行きます。「幕末維新始末」(GJ)です。発売されたのは2年前ですが、かなり以前にできあがっていたらしく、CDSではなく、選択カードイベント形式です。デザイナーズ・ノートにもあるように「明治維新」(翔企画)に対するオマージュで、同作の拡大版といった位置づけです。
 このゲームの肝は、原則、各ターンには一手しかできないこと。このため、毎ターン、しっかりと作戦を考え、カード選択から、部隊の移動、開戦か政事攻勢かの判断まで、事前に組み立てる必要があります。ただし、強制カード(外国人殺傷事件や外交折衝)や支持での振れ(1/6で必敗)、戦闘における主導権、敵の出方などの不確定要素も多く、最善手を尽くしてもひっくり返ることも。ゲーム展開が同じになることは、ほぼありません。
 かといって、行き当たりばったりでは、まず、勝てません。現ターンは勿論、次ターンやその先まで見越して作戦計画を立てる。様々な不確定要素を勘案して、最善の一手を打つ。そして、最後はdrに賭ける。形は小さいですが、この選択の重さが堪らない(予想外のdrも堪らない)。絶妙なアンバランスさ、とでも言いましょうか。早速、ソロ演習です。
 まず、セットアップですが、初回のカードは「勅命降下」(2回の移動)と「宮廷工作」(カードの奪取または朝廷支持dr+3)となります。
 第1ターン、カード選択フェイズでは、佐幕側は「宮廷工作」をゲットします。倒幕側もいずれかを選びたかったのですが、ここで強制カード「外国人殺傷事件」が起こり、手札を取れず。せめてもと、佐幕派の政権点を-1します。
  作戦フェイズでは、両陣営とも足場固めに。佐幕派は板倉勝静+2ユニットを摂播におくり、2VPのここを確保します。倒幕派は、サドンデスの阻止と優秀な兵力の確保のため、肥前に山縣狂介と桂小五郎+長州藩兵を送り、味方に付けます。

T1
 第2ターン、佐幕側は「勅命降下」をゲット、倒幕派は「公議輿論」をプレイし、ぞれぞれ、北越と土州を自陣営に引き入れます。
 佐幕派は、摂播を平定した板倉隊を、優秀な兵力源の紀州に送り、ここを味方にします。一方、倒幕派は京での支持獲得を諦め、西郷吉之助と大久保一蔵を芸備と因州に派遣します。
T2
 第3ターン、佐幕派は「列藩同盟」で会津を引き入れます。倒幕派は京の政治的中心の徳川慶喜の暗殺を試みますが、こちらは失敗に。
 倒幕派は、主力の6スタックを肥後に送り、ここを平定。同時に、山縣を薩摩に送り、兵の移動に備えます。一方の佐幕派は、同様に兵力を回収するため、松平容保を北陸に派遣します。
T3
 第4ターン、佐幕派は「軍制改革」で幕府兵2ユニットを伝習歩兵に転換します。倒幕派は、またも強制イベント「外交折衝」を引き、佐幕派の政権点獲得をアシストしてしまうことに。
 佐幕派は、紀州で兵を蓄えた板倉を北畿に派遣し、これを平定します。一方、倒幕派はまだ時間があると踏んで、予讃に大久保を送って、味方に付けます。
T4
 だいぶ兵力も集まり、数ターン以内の薩長の上洛が見えてきた第5ターン、激震が走ります。佐幕派が「社会不安蔓延」(いずれかのエリアの支配を無効にし、支持獲得をやり直す)をプレイし、なんと肥前を幕府支持に変えてしまいます。この直後に2ターン連続の「外交折衝」!肥前が幕府についてしまったため、佐幕派が3倍のVPを獲得し、サドンデス勝利となってしまいました。
T5 サドンデス負け
 今回は、まさにカード引きによって、勝負がついてしまいましたが、油断すると、これがあるんですよね~。倒幕派としては、ある程度、まとまった兵力で上洛したいのですが、流れによってはこんなことも。
 第一戦があっという間に終わったので、第二戦に突入します。今度は、支持獲得drが荒れに荒れて、両陣営とも予期せぬ展開に。
 佐幕派は、「人事改革」(自陣営のキャラをランダム引き)で得た河井継之助を摂播に投入しますが、drが届かず、支持を得られず。ならばと、第2ターンに河合+慶喜の最強コンビで再び、摂播に向かいますが、ああ、dr「1」で連続失敗。第3ターンに三度目の正直で、やっとここを平定します。
 一方の倒幕派も、山縣・桂ペアが肥前を平定したのはよかったのですが、あの大西郷が芸備と地元の薩摩で、まさかの支持獲得に失敗。
T4
 その分、「公議輿論」(支持のない雄藩を支持下に)、「列藩同盟」(支持のないエリアを支持下に)、「外交折衝」がよく回ったので、両陣営ともそこそこ基盤となるエリアの支持獲得には、成功します。
T5
  第6ターン、いよいよ、兵力蓄積なった薩長軍が上洛を開始します。山縣・桂率いる8ユニットが摂播へ。対する幕府軍は、河合・慶喜の6ユニット。dr修整は、政権点補正も有り、やや佐幕派が有利。第一次政治決戦の行方は・・・佐幕派の勝利となりました。
T6 摂播の政治的攻防
 第7ターン、紀州兵も加えた薩長軍が再び、摂播へ。北畿にいた小笠原隊も加わり、今度dr修整は、イーブン。一歩も引けないdrの結果は、またも佐幕派の勝利に。
T7
 第8ターン、兵力で上回りながらも優位に立てない倒幕派に焦りが。正面突破が無理なら、搦め手でと、西郷率いる薩摩・土佐兵が北畿に上陸します。が、ここでも、drが「1」で失敗。せごどんが三連続で失敗し、大西郷じゃなくて、負西郷じゃん!
T8
 第9ターン、健闘しながらも援軍がない佐幕派は、慶喜を尾州に、河合を幕府軍主力のいる総武に派遣し、援軍の準備を進めます。一方の倒幕派は、三度目の正直とばかりに、摂播と北畿に大軍を投入し、政治的圧力をかけます。そして、運命の支持獲得フェイズに。まず、京都で佐幕派が圧倒的影響力がありながら、dr「1」で失敗(ここで来るか!)続いて、摂番で倒幕派がついに支持を獲得!北畿の制定にも成功し、畿内は倒幕派に鎮圧されます。これにより、畿内の佐幕派兵力が一掃されます。
T9 倒幕派の大攻勢
 第10ターン、一転して劣勢になった佐幕派は、慶喜を加越に派遣し、兵力の補充と北陸路の封鎖を行います。対する倒幕派は、長州の大軍を京市内に進行させ、宮廷を制圧します。
T9
 第11ターン、「外交折衝」と「外国人殺傷事件」が連続し、横浜が外国軍に接収されるなど、佐幕派の権威は地に落ちます。と、ここで倒幕派の「クーデター」!!京都を抑えた薩長軍を諸外国が承認し、新政権が樹立されます。
 新政権軍は、後方の憂いを取り除かんと、桂隊を因州に送り、西郷隊を尾州に進行させます。幕府軍は、このままジリ貧になるよりはと、河合隊を北畿に上陸させ、反撃に出ます。結果は、幕府軍に北機を奪還されるも、新政府軍が尾州と因州を獲得し、地歩を固めます。
T10
 第12ターン、北機を再奪還せんと桂隊が反転し、河合隊と対峙します。その一方で、甲信にいた板倉隊が駿河湾経由で海上移動し、摂播に上陸をかけます。dr修整では幕府軍が不利ですが、両方をとれれば状況を一変できる可能性が・・・しかし、drは無情にも薩長に微笑みます。これにより、幕府軍の主力はほぼ壊滅し、河合も敗走中に怪我が悪化し、命を落とします。
T12
 第13ターン、流れは一気に新政府側に。「列藩同盟」で駿遠を抑えた薩摩軍は西郷を総武に突入させます。相手は、史実通り、勝海舟になりましたが、江戸が火の海になることを嫌って和睦が成立し、新政府軍が占領します。一方、なんとかサドンデスを避けたい佐幕派は北陸の慶喜が蝦夷へ進行し、支持を訴えましたが・・・ああ、なんと松前藩の出した答えは、薩長政権の承認でした。
T13
 第14ターン、「外国人殺傷事件」で政権点を-1するも、大勢に影響なし。薩長軍は甲信に進行し、これを平定。幕府軍は、戦力を補強のため、動かず。
T14
 第15ターンを迎え、ここで「外交折衝」に。今度は、新政府側のVPが幕府側の3倍となったため、薩長軍のサドンデス勝利になりました。よくよく考えると、政権点を失うのがもったいないと、両陣営とも「開戦」せずに幕末を乗り切ったわけで。激しく長い内戦にならなかったあたり、ある意味、史実に近いですね~。