今月のソロプレイ第5弾は、「電撃戦1939」(CMJ)からソ連軍介入の仮想戦シナリオ「トハチェフスキの介入」です。同じ設定としてはシナリオ「ソ連軍、ポーランド側に立つ」がありますが、こちらのシナリオでは史実で粛正されたトハチェフスキが健在であり、介入軍は最高レベルの軍事力を持っています。通常のソ連軍兵力に加え、後方予備やトハチェフスキ直率の打撃軍が加わります。さらに、機械化部隊による縦深突破戦術を身につけた ソ連軍の機械化部隊は、ドイツ軍同様に機動攻撃ができることになります。

T0


 勝利条件は、ポーランド・ソ連合同軍が、分割線西側の都市・町のいずれかを保持していれば、勝利となります。現実的な目標としては、首都Warsaw、Konigsberg、Lublinの保持または奪還となることでしょう。反面、ドイツ軍としては、電撃戦を駆使して、迅速に勝利条件の都市・町を占領し、スタック防御でソ連軍の侵攻を食い止めることを目指します。

 第1ターン、ドイツ軍はポーランドへの侵攻を開始します。が、特別ルールにより、いつものごとく、次ターンの電撃戦に向けての準備となります。


T1D
 これに対し、ポーランド軍は、ソ連軍の到来まで可能な限り時間を稼ぐことを目標に、部隊の撤退を行います。
T1P
 第2ターン、ドイツ軍の電撃戦が、容赦なく、ポーランド軍を襲うはずでしたが・・・ここで、早くもソ連空軍が介入!装甲のフルスタックに交通妨害を行います。結果、主力の動きを牽制されたドイツ軍は、やや緩慢な動きとなります。それでもPoznan突出部に対し、東西北部から機動攻撃と浸透を仕掛け、2/3の部隊を撃破・被包囲します。

 同時に、ちょうど空白だったLublinに対し、空挺部隊とグライダーが空挺降下を行い、これを占拠します。

T2D


 続く、ポーランド・ソ連軍ターンに、トハチェフスキに率いられた大量のソ連軍が、Minsk及びKiev軍管区から出撃し、ポーランド救済のため、国境を越えます。
T2S  ソ連軍の最大介入
 大きな打撃を受けたポーランド軍ですが、「ソ連軍が助けに来るぞ!」を合い言葉に部隊を再編成し、Visula川沿いに戦線を引きます。同時に、Lublinの空挺及びグライダー部隊に対し、反撃を実施し、同市を奪還します。
T2P
 第3ターン、ソ連軍動く、の報に衝撃を受けながらも、迅速なポーランド軍の殲滅を狙うドイツ軍は、機動力を存分に生かして、Visula川戦線を強襲します。ルフトヴァッフェの乱舞するポーランドの中央部で、河川越しの戦闘を仕掛け、4カ所で渡河に成功します。後方のポケットの掃討と合わせて、のべ14ユニットを壊滅させます。
T3D Visula河防衛線を突破
 ポーランド軍は、戦線を後退させながらも、決死の思いでWarsaw-Lublinラインを維持します。ソ連軍も最大戦速で進行し、先駆隊がNieman川及びKaunas近郊に辿り着きます。
T3PS ソ連軍到着まで可能な限り敵を食い止める
 第4ターン、ソ連軍のきわめて有効な交通妨害を受けながらも、ドイツ軍は前ターンに包囲した敵部隊を攻撃し、そのほとんどを撃破します。
T4D 激闘!
 すでに1/3程度の戦力となったポーランド軍は、薄いながらもWarsawからの補給路を確保して、Bug川沿いに戦線を延長します。

 と、ここで、ソ連軍の先鋒隊がBug川近郊に到着。早速、反撃を開始し、スクリーンを張っていたドイツ軍騎兵旅団を一撃で撃破します。南方でも、ドイツ空軍の交通妨害によって、若干、遅れながらも、快速の機械化部隊がBug川上流域に辿り着きます。


T4PS ソ連軍がBug側に到着
 第5ターン、ソ連軍との接触が始まり時間のないドイツ軍は、装甲による機動攻撃と後方浸透によって、敵戦線を分断し、間一髪、Warsawの孤立化に成功します。同時に、後方に残ったLodsとLublinを包囲強襲し、前者に損害を与え、後者を陥落させます。また、北方では、Hela要塞に二度目の強襲を行い、これを無事に占拠します。

T5D 一手早く、ワルシャワを孤立化

 ほとんどの野戦部隊を失いつつあるポーランド軍が、都市または要塞に立て籠もる一方、ソ連軍は前衛部隊による組織的攻撃を開始します。ドイツ軍顔負けの機動攻撃で戦線をこじ開けて、2スタックを包囲すると、一つを殲滅、もう一つを撃破します。この猛攻で、ソ連軍は包囲下のWarsawに4へクスまで辿り着きます。

T5S ソ連軍、戦闘介入

 第6ターン、ソ連軍の前進を止めるべく、半数以上の部隊を送って、前線を強化すると、ドイツ軍はポーランド西側の制圧を続行します。部隊が少なくなっているので、3カ所が限度でしたが、北部の逃げ遅れた敵の歩兵師団と、要衝LodsとMlawa要塞に包囲攻撃をかけ、敵を消耗させます。
T6D 前線でソ連軍を食い止めながら、後方の掃討
 ドイツ軍による制圧を阻みたいソ連軍は、ルフトヴァッフェの妨害を受けながらも、Mlawa南北で攻撃をかけ、一時的に連絡を取ることに成功します。
T6PS ソ連軍の猛攻、LWの航空支援
 第7ターン、Mlawa要塞の支配をもぎ取るため、ドイツ軍は可能な限りに部隊をかき集め、8:1の戦闘比を成り立たせます。この自動的勝利により、Mlawa要塞が陥落。また、前ターンから攻防戦が続いていたLodsも、ルフトヴァッフェの近接支援により、占領することに成功します。
T7D Warsaw包囲
 残されたポーランド側の勝利条件地点は、WarsawとModlin要塞のみ。ここで一気に流れを決めるべく、Warsawを完全包囲下においたドイツ軍は、恐怖の都市爆撃-シーサイド作戦を実施します。逃げ場のない首都で、猛烈な爆撃を受けた市民と防衛部隊に、絶望感が広がります。
T7 Op SS
 首都の危機に、ソ連軍は後方から追いついた歩兵とともに、全域で総花的な攻撃をかけます。1:1から3:1までの7カ所の猛攻により、自軍の6損害に対し、敵に9損害(後退により実質は6損害)を与え、最前線の部隊はWarsawまで3へクスに迫ります。

 同時に、この首都包囲網を突破せんと、市内の防衛部隊とModlin要塞の守備隊が、乾坤一擲の反撃を行います。戦闘比は4:1でしたが、結果は、1ステップロスのみで、包囲環は破れず。ここにWarsawの運命は決まりました。


T7S 前線の激闘
 第8ターン、Warsawは降伏し、残ったModlin要塞に対して、ドイツ軍の矛先が向けられます。5:1の攻撃の結果は、1/2(要塞効果で1/1)で、1部隊が消耗します。

T8D Modlin攻撃もポーランド軍が決死の防衛
 ソ連軍は、ルフトヴァッフェとソ連空軍が乱舞する前線を、全力で攻撃し、ソ連軍5損害:ドイツ軍10損害(!)を与えます。耐えかねたドイツ軍は、1へクスの後退をし、損害を軽減します。

T8PS 激しい消耗戦の中、Warsaw陥落
 第9ターン、行動の自由を得たWarsaw包囲部隊も、ポーランド軍最後の拠点-Modlin要塞に到着し、8:1攻撃で自動除去に。これにより、全ての勝利条件地点がドイツ軍の手に落ちます。

T9D Modlin陥落
 国土西部のポーランド軍は全滅し、ソ連軍の救援は届かず。ならば、Warsaw、Konigsberg、Lublinのいずれかを奪還せんと、猛烈な攻撃を継続し、第9及び第10ターンに、ソ連軍10損害:ドイツ軍18損害(実質13損害)を与えます。が、さすがにソ連軍の消耗も嵩み、約半数の部隊がステップロスに。

T9S
 このまま、膠着かと思われた第12ターン、ソ連軍は最後の切り札-空挺部隊を投入します。目標は、Lublin南部とKonigsberg東方。これにより3個スタックを包囲し、うち2つに、6:1と7:1の攻撃を実行します。結果、ソ連軍の損害0で、敵に4ステップの打撃を与えることに成功します。

T12S 空挺降下
 が、これにより、後方都市の安全が確保できたドイツ軍は、全部隊を前線に投入すると同時に、危険な空挺部隊を攻撃して、これを除去します。
T13D 空挺を殲滅
 万策尽きた感のあるソ連軍はなおも2ターンに渉って、攻勢を続けますが、戦力の低下とdrの不運により、ドイツ軍3損害に対し、自軍が10損害を受け、戦力をさらに消耗します。

T14S
 第15ターン、ほとんどの部隊がステップロスしたソ連軍に対し、ドイツ軍が逆襲を開始します。浸透戦術で前線をすり抜けたドイツ軍機械化部隊が、ソ連軍の補給線を絶ち、4個軍団を撃滅し、2個軍団を包囲下におきます。

これにより、南部及び中央部の戦線が崩壊し、ソ連軍はついに前線部隊を後退させます。この瞬間、ドイツ軍の勝利が確定しました。

T15D


 その後もドイツ軍は反撃を続け、南部から敵を圧迫。Brest要塞で唯一生き残ったポーランド軍との死闘を経て、Rozan要塞東でソ連軍戦線を崩壊させたところで、ゲーム終了に。ポーランドの勝利条件地点を全て制圧したドイツ軍の勝利でした。


T19D
終了時
 全シナリオ中、もっとも緊迫した戦いでしたが、それでもドイツ軍は強かった!ポーランドとソ連という東側の強力な陸軍国家に対し、数では劣りながら、これを撃退。まさに新戦術-電撃戦の優秀さが際立っていました。

 オリジナルの本シナリオでは、まさに史実通りで、ゲームバランスは目も当てられませんが、CMJ誌が追加したヴァリアントは、かなり面白かったです。if設定もOKという方ならば、十分に楽しめるのではないでしょうか?