今月のソロプレイ第4弾は、ポーランド戦役を題材とした「電撃戦1939」(CMJ)から、仮想戦シナリオ「ポーランド人が想定したポーランド戦役」です。
史実では、ドイツ軍の電撃戦のデビューとなったわけですが、このシナリオでは、ドイツが戦略そのものを開発できなかったことになっています。まず、装甲師団が登場しません(電撃戦のためのツールであり、編成されていない想定です)。その他の機械化部隊は登場するものの、一切、浸透やオーバーランができず、移動力の大きな歩兵扱いです。また、空飛ぶ砲兵と言えるルフトヴァッフェもなく。装甲を集中し、近接航空支援で戦線を突破し、敵の後方システムを破壊するのが、電撃戦の要諦ですから、こういった処理がされています。
いわゆるポーランド軍が想定していた第一次対戦型の兵力のぶつけ合いになるわけです。果たして、展開はどうか?
第1ターンは特別ルールのため、基本的に従来の展開と同じです。ドイツ軍は無駄な攻撃を控え、敵を包囲できる3カ所でのみ、攻勢をかけます。結果、ポーランド軍6ユニットが包囲拘束されます。
大きく変わったのは、ポーランド軍の対応です。装甲によるZOC to ZOCの浸透がないため、ポーランド軍は北部の突出部こそ後退させたものの、他は後方から部隊をつぎ込んでハイスタックを作り、可能な限り前線を維持します。
第2ターン、こうなると、ソ連と互角の勝負を繰り広げたことのあるポーランド軍の強さが発揮されます。ドイツ軍はフルスタックを組んでポーランド軍を力攻しますが、そこそこdrに恵まれたにもかかわらず、ほとんど戦線は動かず。消耗回避のため、作戦的な後退はあるものの、一行に戦線の厚みは減らず。唯一、Gydnia攻防戦で敵を一撃で屠れたため、早期にHela要塞が陥落したのが、救いです。
第4ターン以降、強襲に強襲を重ねるドイツ軍ですが、Mlawa-Modlin-Lods-Krakowの堅陣で迎え撃つポーラン軍を全く抜けず。損害は与えるもの、後方からの補充で、すぐさま増強され、不毛な消耗戦に巻き込まれます。ああ、電撃戦の戦略を持たないドイツ軍は、こんなにも苦労するのか!
やっと戦局が動いたのは、第9ターンでした。正面攻撃は下策と認識したドイツ軍は、高速の機械化部隊を最西部に投入して薄い戦線を叩き続けます。ポーラン軍は北部の予備を投入して対処しようとしますが、徐々に戦線が広がったことで、兵力密度を維持できず、第10ターンについに西部の部隊が後退を開始します。
いったんは、Bug河の戦線で防御行動を行いますが、3ターンに及ぶドイツ軍の猛攻で、ついに崩壊します。
第13ターン、ここまでの鬱憤を晴らすように、ドイツ軍は逃げる敵を追撃します。中央では、まず、Warsawへの関門のLodsを包囲攻撃し、2ターンでこれを占領します。また、補給切れで動きが鈍ったポーランド軍を、ドイツ軍の快速部隊が捕捉し、第16ターンまでにLwow方面を平定します。しかし、ドイツ軍に残された時間は、後4ターンしかありません。

なんとか、攻勢正面を増やさんと、北部のModlin要塞を機械化部隊が急襲しますが、こちらも後1ステップが抜けず。
第19ターンが終わった時点で、Mlawa、Rozan、Modlin、Warsaw、Brestの5要塞が健在で、後1ターンで全て攻略することは不可能となり、ポーランド軍の勝利で終了しました。
精鋭ドイツ軍が、後一歩まで行くものの、結局、ポーランドの攻略はならず。先の第二次露波戦争もそうでしたが、通常の戦争であれば、ポーランド軍は決して大国に引けを取りません。逆説的に言えば、史実でわずか2週間でポーランド戦役の大勢を決めたドイツ軍の電撃戦がいかに優秀だったかが、わかりました。
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