最後に、中黒さんから「テストプレイをお願いできますか」とお声がかかりまして。次の「このシミュゲ」候補の「金門島上陸作戦」です。ちょうど70年前の台湾紛争を扱った作戦級で、人民解放軍による金門島北西部への上陸作戦と台湾軍による反撃を描きます。

 基本は、スタックごとの活性化で、移動-戦闘が行えます。ただし、師団チットを使用すると、全ユニットを投入できます。この時、兵站ポイントがあれば、一度、使用済みとなったユニットを再び活性化することも可能です。戦闘は2:1がイーブンで、攻撃側・防御側・双方に影響が出る結果を判定します。ヒットを受けた側は2へクスの後退(及び混乱-非活性化)となります。それを避けたい場合は、1d6して戦闘力以下を出せば、死守に成功します(士気チェック)が、失敗すると除去となります。
 よって、基本は包囲して、死守を強要し、敵を除去していくことになります。また、VP拠点や砲兵観測地点には直接攻撃をかけ、この奪取を狙っていきます。
 特別ルールとしては、台湾軍には空爆が、人民解放軍には砲撃があり、任意の1ユニットを混乱にできます。また、人民解放軍には、砲撃の強化や共同攻撃可能、海上輸送ポイントの増強など、戦術チットが3枚有り、ダミーと合わせて6枚から3枚を引きます。どれも効果は大きいですが、使用の度に1VPを失います。ちなみに今回のチットは、ダミー2枚と共同攻撃可能でした。

 今回は、圧倒的な戦力の人民解放軍をmitsuが、少数精鋭の台湾軍を中黒氏が担当します。

 第1ターン、まずは人民解放軍の上陸から開始となります。人民解放軍は海上輸送20ポイントを持っていて、最高はこの数までのユニットが上陸できます。ただし、ターン途中の回復に兵站ポイントが必要なため、こちらにも割り振る必要があります(1海上輸送ポイントで2兵站ポイントを輸送可)。今回は、第82師団の精鋭10ユニットを上陸させ、残りは兵站ポイントとします。

 先手の人民解放軍は、上陸で包囲した北西海岸の中央の1個大隊を殲滅します。が、台湾海峡の突端の部隊は見事に士気チェックに成功し、踏みとどまります。台湾軍は、後方から虎の子の戦車大隊を呼び寄せ、反撃準備をします。

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 第2ターン、人民解放軍は増援の2個師団を上陸させると、海岸部の掃討を行います。これに対し台湾軍は歩戦のコンバインドアームズで、猛烈な反撃を行います。攻撃をすると混乱により戦力が半減するので、そこに反撃が起こり、さらに再反撃が・・・と戦闘は激化し、両軍とも徐々に部隊が損耗します。

 焦点となったのは、北西部の要衝-林厝でした。このVP地点を巡り、激しい攻防戦となります。台湾軍は戦車大隊まで投入して防衛線を強化しますが、人民解放軍は周辺の陣地に波状攻撃をかけ、これを包囲します。

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 最終の第3ターン、人民解放軍は満を持して、林厝に師団規模の包囲攻撃を実施(戦術チット)。最後まで残った戦車大隊が士気チェックに失敗し、林厝が陥落。以後、台湾軍は数回の奪回作戦を行いますが、状況は厳しく、反撃は失敗。そのまま、+1点で人民解放軍の勝利となりました。

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 お手軽なミニゲームかと思いきや、どうしてどうして。海上輸送ポイントの使用量に始まり、上陸地点と上陸部隊の編成、攻撃と反撃の判断、後退か士気チェックかの選択等、非常に選択の幅が広いです。若干、特別ルールは多めですが、その分、選択肢が広がり、かつ、ランダム引きの戦術チットも合わせて、展開は、毎回、大きく変わります。よい意味で悩みが多く、さすが、中黒デザイン!
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 なお、影響が少なかったので記述していませんが、人民解放軍の海上輸送ポイントは台湾海軍の反撃などで、毎ターン、2d6ずつ減ります。また、台湾空軍も毎ターンにdrして、天候によっては出撃しないことも。テーマの珍しさだけでなく、きっちりと金門島攻防戦を学びたい方にも、お勧めでしょう。