続いて、moritaさん持ち込みの中世の会戦級「サラディン」(SHAKOS)からアルフスの戦いです。十字軍率いる獅子王リチャードとムスリム軍を率いるサラディンの会戦を描きます。
このゲームの凄いところは、会戦級として機動等の要素をバッサリ切り落として、戦闘の駆け引きのみに焦点を当てているところです。確かに当時の戦いでは、布陣が終われば、あとは攻撃・防御の指示と予備の投入くらいしかできないはずで。
マップには、布陣済みのセットアップエリアがあり、そこに兵力トークンを置いていきます。行動は部隊ごとのカードプレイになります。この時、命令トークンを任意数分、消費して、突撃や戦線維持、射撃、防御などの作戦を実行します。が、命令トークンは常に不足気味で、思うような展開を行いにくく、かつ、戦闘で損害が増えるとあっという間に、命令数が減っていきます。そうなると、オーダーを受け取れない部隊が出てきて、勝手に非統制の突撃を始めたり、潰走(脱走!)してしまうことも。
第1ターン、両軍はオーダーを満遍なく配って、戦闘を制御します。この状態でサラディン軍は弓による攻撃を仕掛け、drもよく、十字軍に損害を与えます。このままでは、消耗戦に巻き込まれると判断した十字軍は、リチャード率いる本隊を中央右翼のAla隊に突撃させ、戦力を削ります。
第2ターン、早くもオーダーは不足し始めます。サラディン軍は数を生かした寄せを行い、敵味方に同等の損害を与えます。十字軍はやむなく非統制下の突撃を実施しますが、これが思いのほか上手くいき、サラディン軍の命令数がさらに減ることに。
第3ターン、損害の増加とともに、両軍ともオーダーの絶対数が減少。となると、限られたリソースで何をするか。サラディン軍は寄せを続けて消耗戦を仕掛けますが、2部隊にオーダーが届かず、脱走が発生する事態に。一方の十字軍も非統制下の突撃でさらに損害を増しますが、唯一、統制できるリチャード王の突撃でAla隊に大損害を与えます。
いやー、面白かった!原則、機動はなく、戦闘オーダーによる駆け引きのみですが、そのおかげで戦術的思考に没頭でき。かつ、放っておいたら、損害が増加するシステムのため、貴重なオーダーが減ることで、どこにリソースを回すべきか、さらに悩みが深くなり。
また、弓による射撃に優れ、数は多いが融通が利かないサラディン軍と、士気の高さから潰走はしにくくも、放っておくと勝手に突撃を始める(!)十字軍の特徴もよく出ています。
簡単で、しかも1時間程度で終われるようにデヴェロップされていて、フィギュアならぬトークンもよし。ともすれば、ほぼ意味の少ない機動と兵力の押し合いになる会戦級を、ここまで面白くできるとは!
このシステムを使えば、戦国時代の合戦級も再現可能。moritaさんは、銀英伝でも行けると考えていましたし、まだまだ、SLGには様々な可能性がありそうです。