今月のソロプレイ第2弾は、「モスクワ'41」の続編に当たる「レッド・タイフーン」(CMJ)です。「ドイツ装甲軍団」シリーズの4作目に当たる本作ですが、システムの根本が変化しています。移動-戦闘-回復の手順は原システムのままですが、軍ごとに移動及び戦闘のそれぞれで、アクション・ポイントを消費します。当然、ポイントには限りがあり、どこに重点をおいて攻勢をかけるのか、あるいは移動で敵の後退を強いるのか、大局的な視点と決断が求められます。
序盤は、ソ連軍が7ポイントで3方面軍半が行動できますが、途中から6ポイントに減少します。対するドイツ軍は序盤はわずか4ポイントで満足な後退さえできませんが、徐々にポイントは上昇し、最後はソ連軍と並ぶ6ポイントになります。ドイツ軍機械化部隊の優秀さを表すルールとして、移動命令を受けた装甲師団は無条件で攻撃が行えます。機械化移動による道路移動力2倍とこの移動・戦闘ルールにより、ドイツ軍装甲部隊による機動防御が可能になっています。もっとも、ソ連軍には敵の高い質を覆せる大兵力があります。
第1ターン、ソ連軍は北西方面軍、カリーニン方面軍、西部方面軍左翼を機動させ、攻撃を行います。狙いは、延翼による戦線の拡大とそれによるドイツ軍戦線の弱体化(と後退の強要)です。つい、強力な第1突撃軍を中心とした正面攻撃をしたくなりますが、CRTが流動型であることとシステム上、予備があれば突破はできないため、このゲームでは下策です。リプレイにあるとおり、「側面を押し込めば、(主戦線は)自然と後退する」という間接アプローチが有効です。
序盤は、ドイツ軍が可能な限りのスタックをしていることから、戦闘比は4:1が最高で、以下、4カ所の攻撃を行います。2:1の2カ所でAR、それ以外もDEはなく、DRとなります。が、第9軍の戦区で唯一、後方予備のなかった敵スタックを後退させたことで、戦闘後前進で隣にいた歩兵2個スタックを包囲します。
第2ターン、再び、北西方面軍とカリーニン方面軍を活性化させたソ連軍は、拡大した北部戦線全域で攻撃をかけます。結果、包囲した3:1攻撃と5:1攻撃でDEとし、残りはDRで、敵の戦線が不規則後退により弱体化します。鉄道に向けた突進と平押しの2:1攻撃は、ARとAL(攻撃側のみ1ユニットロス)となります。一方、南部では西部方面軍左翼が薄い戦線を強襲し、3:1の包囲攻撃がCとなるもの、2カ所でDR3とDR4を出し、騎兵による戦闘後前進でスピニチを占領します。
第3ターン、ソ連軍の攻勢は激しさを増します。北部では長躯、ホルムを占領すると、ヴェルキ・ルキエ方面に先駆隊が突進し、3:1攻撃でDR2として、戦線を延翼します。そこからルジャフ付近まで6カ所で総花的攻撃を行い、包囲下の1ユニットを撃破し、残りの半数をDRとします。
南部では、ソ連軍が戦線の間隙から突進し、戦線を拡大するとともに、2カ所で包囲攻撃を成功させ、2ユニットを除去します。もとよりユニット数が少ないため、ドイツ軍は装甲師団や自動車化師団も投入して、戦線を再構築せざるをえず。ただ、敵の突破口が狭いため、この側面に反撃を行い、敵の前進を牽制しようとしましたが・・・5:1でまさかのEXとなり、数少ない機動予備がさらに減少することに。
第4ターン、ソ連軍の攻勢はさらに熾烈に。再び、ヴェルキ・ルキエ近郊からルジャフ付近まで全域で攻撃をかけ、1ユニットを除去し、3カ所をDRとして、圧力を強めます。
南方では西部方面軍左翼によるガチンコの殴り合いで、正面攻撃で1個装甲師団をDEとし、包囲下の1ユニットも除去、一時的にスパス・デメンスクも占領します。
ここで、ソ連軍はとっておきの空挺部隊を、ヴィヤジマ近郊に降下させます。これにより、第9軍及び第4装甲軍の戦線は、全て孤立状態となります。また、このターンから登場するパルチザンは、南西部の6の森林に登場します。
また、敵が孤立状態となっている中央付近では、はじめて西部方面軍右翼が攻勢に出て、2カ所で戦線を押し上げます。
そして、最大の戦果は南部で挙がりました。前ターンに反撃に出てきたドイツ装甲部隊に対し、可能な限りの兵力をかき集め、6:1攻撃を仕掛けます。drにも恵まれ、機械化2個師団が壊滅します。
前面に強力なソ連軍、後背に連絡路を遮断する空挺部隊と、ドイツ軍はかなり危機的な状況に陥ります。決して潤沢とはいえないアクション・ポイントをかき集め、第4軍の歩兵で敵の空挺部隊を包囲し、これを除去します。
また、南方では包囲下に置かれた1個装甲師団が、外部の歩兵との連係攻撃で、なんとか脱出に成功します。同時に、敵の集中するスパス・デメンスク周辺を避け、兵力の少ないその南方で牽制攻撃を仕掛け、これを成功させます。
北部では、ヴェルキ・ルキエの奪還を目指し、やっと到着した装甲師団で敵の側面に攻撃をかけ、後退させます。
両軍がともに攻撃と反撃を繰り返す激しい戦いの中、第6ターンはさらなる混戦に。北部では、ヴェルキ・ルキエ近郊で反撃に出たドイツ軍に対し、ソ連軍は後方から部隊を送り込んで再反撃に転じ、側面を支えている1個歩兵師団を殲滅します。北部中央付近では予備もおけないギリギリの敵戦線に対し、ネリドヴォ攻略の勢いのまま、ベーリィを目指してラッシュを掛けます。
ドイツ軍の限定反撃を受けた南部ですが、兵力状況は自軍が有利と判断したソ連軍は、敵の牽制には目もくれず、逃げ遅れた装甲師団を包囲殲滅し、要衝ブリヤンスクへの道を開きます。また、さらなる西方への前進のため、側面に食い込んでいる歩兵師団を最高比率の攻撃で後退させます。
第7ターン、完全に主導権をものにしたソ連軍は、北部の2個軍と西部方面軍左翼にアクション・ポイントを集中し、大攻勢に出ます。いまや主攻勢となった南部で、パルチザンを投入してスモレンスクを占領。さらに、要衝ロスラウリにいた装甲師団を包囲殲滅。最後は、ブリアンスク前面の自動車化師団も粉砕するという、ゲーム中最大の戦果となります。
ドイツ軍は装甲師団の集中攻撃で、北部ヴェルキ・ルキエの近郊で包囲された歩兵師団を救出します。が、北部中央付近の突破口は埋まらず、ムチェンスクからビリヤンスクまで薄い戦線を引くのがやっと。
第8ターン、北部で塞がれなかった突破口から、ソ連軍の快速部隊が突進し、4カ所でドイツ軍を包囲します。全てを3:1以上としたことで、逃げ場を失った4個師団(装甲1個師団を含む)が壊滅し、もはや戦線構築は不可能に。
南部でも、ロスラウリを落とした3個軍団がスモレンスクの包囲体制をとります。ブリヤンスク方面では、最後の装甲師団を包囲殲滅し、正面からの2:1攻撃を敢行します。これが決まっていれば、ブリヤンスクの失陥は確実でしたが、第2装甲軍の歩兵が踏みとどまります(戦闘結果はC)。
ドイツ軍は効果的な戦線構築を放棄し、次ターンに敵の移動を阻害する遅滞戦術に切り替えます。これにより、ヴィテブスクの攻略は不可能になります。唯一の反撃は、スモレンスクに立てこもるパルチザンで、包囲によりこれを除去します。
まず、要衝スモレンスクの装甲師団に包囲攻撃をかけ、これを撃破し、南部市街地を占領します。続いて、北部のドイツ軍の防衛拠点ルジェフに1:1攻撃を掛けますが、さすがにこれはARに。
最後は、南部2カ所での猛攻で、ムチェンスクを奪取します。さらに重要拠点ブリヤンスクを2:1で強襲します。これが決まれば、ほぼ勝負は確実でしたが、今や歩兵だけとなった第2装甲軍が粘りを見せ、ここを死守します。ソ連軍ターンが終わった時点で、VPは3点差に。
栄光のドイツ国防軍は、あり得る全戦力をかき集めると、反撃に出ます。スモレンスクを奪還できれば逆転勝利で、ヴェリシとスパス・デメンスクの奪取ならば同点で規定によりドイツ軍の勝利でしたが・・・全てが2:1以下という厳しい攻勢条件を覆せず、ARに。この瞬間、ソ連軍の勝利が確定しました。