歴史・戦史研究「ちはら会」Drei

この会は、主にシミュレーションという手法を用いて、歴史・戦史を楽しもうという、有志の集まりです。興味ある時代をテーマに選び、図上演習(シミュレーションゲーム)を通して、文献研究では得られない「動きのある歴史」を見つめます。 「ちはら会」では、現在、会員を募集しています。年齢や資格等を問わず、興味のある方ならば、どなたでも参加できます。関心のある方は、下記にご連絡ください。 Eアドレス. chiharakai@apost.plala.or.jp (代表.mitsu)

2021年11月

 今月のソロプレイ第9弾は、幕末維新アイテムから「最後のサムライ-西南戦争-」WGJ)です。その名の通り、西南戦争全体を描いたキャンペーンで、少数精鋭の薩摩軍とそれに同調する各地の旧士族と数で圧倒する明治政府軍との戦いです。
 周年アイテムではないのですが、会津戊辰戦争つながりで「八重の桜」を見ていて。ちょうど、西南戦争で佐川官衛兵と西郷隆盛が討ち死にしたところでして(影響、受けすぎ、笑い)。
T0
 さて、ゲーム解説ですが、マップはポイント・トゥ・ポイントで、九州全域を描きます。システムは、デッキ購入型のカードドリブンで、デザイナーの砂漠のキタキツネ氏がCMJ誌で発表した「マンシュタインの切り札」や「ノルマンディの切り札」と同様です。
 展開としては、薩摩軍が史実通り北上して、熊本を占拠。その後、熊本城攻めをするのか、さらに北上して九州北部の制圧を狙うのか、長崎、大分等の港湾の占領を目指すのか、主に3つの選択肢があります。政府軍としては熊本城を維持しながら、田原坂付近で防御し、援軍を待つという作戦が主になります。ある程度、兵力が揃えば、購入した敵前上陸カードで揺さぶりをかける手も。
 実際、数回のソロ演習をしてみましたが・・・普通のdrだと、薩摩軍がかなりつらい。熊本はまでは取れるものの、城を攻めるには時間とカード、そして一定の損害を覚悟しなければなりません。迅速に北上すれば田原坂は取れるでしょうが、その先で複数の政府軍に展開され、反撃で一進一退の攻防になりがちです(まさに史実通り)。もう一つが海上輸送を用いた長崎等の強襲ですが、敵に迎撃カード(川村純義)があれば自動失敗で、そうでなくても上陸戦闘に勝利しなければなりません。史実と同じなら、占領地点のVP差で毎ターン、薩摩軍は1点ずつを失い、第6ターン終了時に敗北となります。
 一方の政府軍はVPで大きな差を付けられないように、圧倒的な兵力動員で戦線を膠着させれば、あとは時間が味方します。中盤以降に正面からの押し戻しや海上輸送による電撃的な九州南部制圧で勝利できます。
 そこで、今回の薩摩軍は、可能な限り迅速に北部突破を図る作戦をとります。どうせ、ジリ貧になるのなら、兵力差が付く前に勝負をかけようというものです。
 まず、セットアップは、薩摩軍が主力を全て前面に展開します。政府軍はこれを見て、突破対策に田原坂に第14連隊を展開し、ここを封鎖する配置をします。唯一、選べる第1ターンの作戦カードは、敵の強襲上陸を防ぐための「川村純義」にします。
 第1ターン、薩摩軍のカードは3枚が購入系という不作に(逆に次のターンには、高作戦ポイントが来るわけですが)。まずは、このターンに確実に落とさなければならない熊本攻めを行います。ここで戦闘drがはじけ、守備していた第13連隊を殲滅し、薩摩軍には損害なしとなります。
T1 作戦カード
T1 熊本攻め
 政府軍は小倉の第1旅団を戦略移動させ、南関(田原坂)を固めます。補充により、これを完全戦力にします。
T1
 第2ターン、一気呵成に北上を狙う薩摩軍は、植木と山鹿にスタックを進めると、集中攻撃を行います。元陸軍少将篠原国幹の突撃により、政府軍に7ダメージ(!)を与え、大潰走させます。
T2 田原坂越え
 政府軍は通常なら反撃を行うところですが、あまりの消耗ぶりにめどが立たず。やむなく後方から援軍を投入して、前線を固めるのみに。
T2
 勝負を決めたのは、第3ターンでした。前線部隊を入れ替えて兵力を補強した薩摩軍は、久留米を攻撃。ここで攻撃が成功し、敵に4ダメージを与え、敗退させます。薩摩軍は無傷で、これを手に入れます。
T3 久留米攻略
 後方から兵力を投入し、必死に立て直しを図る政府軍を尻目に、薩摩軍は今度は長崎へ強襲上陸。川村純義(上陸の自動失敗)はなく、見事に守備隊を撃破し、ここを占領します。
T3 長崎強襲上陸!
 これにより、政府軍のVPは4点に低下し、薩摩軍の7点と大きな差が付きます。政府軍の士気は一気に半減(3に低下)します。
T3
 第4ターン、なんとしても、久留米を奪還しなければならない政府軍でしたが、先手を取ったのは薩摩軍でした。南関と久留米の2カ所から佐賀に強襲をかけ、これを占領してしまいます。政府軍が奪還のための兵力を展開している隙に、薩摩軍は党薩隊(佐賀隊)を動員しこれを固めてしまいます。
 やむなく、政府軍は久留米への正面攻撃に切り替えます。6戦力を集めた政府軍は5戦力の薩摩軍に優位に立ちますが、drが冴えず、ともに2ダメージずつの相討ちに。
 もはや、時間がない政府軍は最後の希望を託して、第4フェイズに二度目の久留米奪回戦を仕掛けましたが・・・ああ、これも2ダメージずつの相討ちに。
 この結果、VP地点を取り戻すことのできなかった政府軍の士気が崩壊し、薩摩軍のサドンデスとなりました。
T4
 なんとソロ演習を通じて、初の薩摩軍勝利となりました。通常は基本展開に書いたように、中盤からジリ貧になって敗北というのがほとんどなんですが、今回は薩摩軍の戦闘drが走りに走り、政府軍の反撃を許さない展開に。また、タイミングよく、長崎の攻略にも成功し、VPで大差を付けて2ターンで政府軍を崩壊させたのが大きかったです。
 政府軍としては、第1ターンに強襲上陸に備えた「川村純義」が使えず、キープしたところ、引けなかった1枚が「大久保利通」になってしまい。最大の動員カード「山縣有朋」を第3ターン以降に引けなかったことも、地味に響きました。
 ともあれ、本来であればCDSは対戦アイテムですので、みなさんの挑戦をお待ちしています。

 今年も制限はありますが、大幅に入場数が増えたゲムマに行ってきました。が、700mを越える入場待ちの長い列が。12時半には並び始めたものの、入れたのは2時前に。入場料が上がって、滞在化可能時間の2/5が空費されるとは、明らかに運営上の問題でしょう。時間(お金)を返せ、とならない日本人って、偉いな~。
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 ともあれ、やっと入ったあとは、数少ないSLG関連ブースへ一直線。まず、取り置きをお願いしていたBonsai Gamesへ。その並びにあった、さいたまオフラインやYSGA、私掠船(kawaさんの出店)、ジブセイルスを廻り。
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 碇シンジくんのように「買っちゃダメだ、買っちゃダメだ」と唱えていたものの、ついつい、各ブースで購入することに。これも、きっとコロナが悪い?!
 最近、記事の寄稿をしている中黒さんや千葉会に続き情勢談義の軍神さん、YSGAのみなさんとお話しできたのが、よかったです。
 こちらは、アジアンゲーマーの田村さんが制作・頒布していた「首都圏ウォーゲームサークル案内」。なんと、零細地方例会のちはら会も紹介いただき。間違ってたくさんの人が来て、密になったらどうしよう(うそ、笑い)。
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 それにしても、え~ゲームやTDFもなく、SLG関連の出店がかなり少なかったのが気がかりで。聞けば、コロナ対策で出店料が4倍(!)になり、出られたところも新作は多くなく。早く、コロナ禍が完全に終熄しますように。
 イメージは、自粛意識もむなしく(?)買いあさった戦利品。しっかり、成仏させなければ・・・。

Bonsai Games
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 今月のソロプレイ第8弾は、モスクワ攻防戦を描く最新の「激闘!タイフーン電撃戦」(GJ)です。フルマップ1枚、ユニット数250個と見た目は普通の作戦級ですが、プレイ時間は優に8時間を越える超本格派です。
 基本システムは、傑作「激闘!マンシュタイン軍集団」(GJ)のチット・プル・システムです。所属部隊ごとではなく、司令部ユニットから4へクス以内の全ユニットが活性化するため、司令部の集中と電撃戦、あるいは機動防御がシンプルなルールで楽しめます。
 ゲームの展開としては、お約束の前半の大包囲と突破、泥濘と凍結の中の前進、降雪後のソ連軍の大反攻となっています。特にポイントとなるのが、第1-2ターンで、ここでどれだけ多くのソ連軍を補給切れ除去ができるかによって、展開は大きく異なります。
 また、モスクワ戦を描いたゲームでは、珍しく、ツーラとモスクワへ突入しやすくなっています(その後の維持はかなり厳しいですが)。
 プレイ時間が膨大なため、おいそれと繰り返しはできませんが、数回の練習プレイを経て、ソロ演習と行きます。
T0
 第1ターン、このターンはソ連軍は奇襲の影響で、一切の行動ができず(チットなし)、ドイツ軍の独壇場となります。途中で補給チットが出たものの、グデーリアン・チットの割り込みでこれをキャンセル。結果、第3装甲軍と第4装甲軍の連携が決まり、巨大なポケットが形成されます。ソ連軍の第16軍、第20軍、第24軍が包囲され、全てがステップロスに。
T1 中央部の攻撃
T1 壮大なポケット成功!
 一方、南方では、第2装甲軍の主力がブリヤンスクを奪取します。また、分遣隊が、早くもクルスクを攻略します。
T1 南部の攻勢
 第2ターン、ドイツ軍は増援チットで、すかさず、クルスク周辺を強化します。と、この直後に、サプライ!これにより、包囲下のソ連軍3個軍(36ユニット!)が全滅します。補給切れで除去されたユニットは、後の増援にできないため、大きなアドヴァンテージになります。また、せめて時間稼ぎにと入れていた第16軍・第20軍のチットが、無駄になってしまいます。
T2 補給切れで大殲滅
 怒濤のドイツ軍は、中央及び南部で突進を続け、オリョールとキーロフを攻略し、ヴィヤジマを包囲下におきます。ソ連軍は、先のチット不足から展開が遅れ、第22軍・第29軍の撤退がやっとです。
T2
 第3ターン、ロシアの大地を泥濘が包み込み、ドイツ軍の使用チット数が4に減少します。それでも、ドイツ軍は平押しで戦線を押し上げ、あるいは間隙から浸透し、要衝カルーガを攻略し、モスクワまで7へクスに迫ります。また、ヴィヤジマ北方を迂回し、第32軍を包囲下にします。
T3
 突き進むなら今と、ドイツ軍は少ないリソースをモスクワに迫る第4装甲軍に振り向けます。これが奏功し、2手番連続で第4装甲軍の機動に。前ターンに空けて置いた突破口を突進し、モジャイスクを攻略。そのまま、モスクワ攻撃を実行します(まだ、10月!)。
T4 モジャイスク突破
T4 モスクワ戦、開始
 ソ連軍はかろうじてこれを堪え忍び、大量の増援を緊急展開し、オスターシャコフからルジェフ経由でモスクワまでの防衛線を引き直します。
T4
 第5ターン、敵の防衛体制が不十分なうちにと、ドイツ軍はここを先途にモスクワへの猛攻を掛けます。第4装甲軍の総力を挙げた攻撃により、ついに市街地に突入!(先頭はDas Reich自動車化師団)さらに、もう1へクスも占領して、勝利条件の一部を満たします。
T5 モスクワ突入
 一方、リソースを回せず、展開が遅れていた第2装甲軍もオカ川を渡河し、ツーラの包囲に成功します。
T5
 第6ターン、天候は凍結に。このターン、包囲下にあったツーラが陥落し、ドイツ軍は早くも防御態勢に移行します。モスクワ市街地に歩兵を入れ、装甲師団を機動防御に備えて、予備に回します。
 また、スタック防御の長大な戦線を敷くとともに、一部では攻勢に出て、敵を包囲攻撃し、反撃を牽制します。
 ソ連軍は、大量の増援で戦線を強化しながら、反攻に向けて、ツーラ東方に部隊の展開を始めます。
T6
 第7ターンは、両軍とも戦術的な攻撃のみで、戦線はほぼ膠着状態に。
T7
 第8ターン、いよいよ、ロシアの厳冬が到来します。このターンから、ソ連軍のZOC進入・離脱移動力が+1に減り、かつ戦闘時にはソ連軍有利に2シフトに。いよいよ、東部に集結したソ連軍が反攻に移りますが、ドイツ軍の戦線も厚く、若干の後退をするのみに止まります。
T8
 第9ターン、ソ連軍の反攻が本格化します。東部及び北西部で、司令部を集中した反復攻撃を実施。敵の防御も堅いので、ソ連軍にも少なからずの損害が出ますが、強襲により徐々にドイツ軍も損耗します。
T9
 第10ターン、東部に敵の予備を惹き付けたところで、親衛赤軍をモスクワ前面に投入し、大反攻に出ます。薄くなっていたドイツ軍の防衛線はこれに耐えきれず、ついにモスクワからの撤退を開始します。
 一方、北西部でも3個司令部と大量の増援を投入して、オスターシャコフ・ヴェルキエルーキ鉄道沿いにラッシュをかけます。
 残り2ターンの時点で、ドイツ軍の占領都市は8つに減り、最終の勝利条件ギリギリになります。
T10
 第11ターン、大戦果は北西部で上がりました。攻撃-増援-攻撃の理想的なローテーションが決まり、ヴェルキエルーキに肉迫。3個狙撃兵師団に司令部までつぎ込んだ3:1攻撃の結果は・・・RR!ここが陥落し、 ついにドイツ軍の勝利都市数を7まで減少させました。
T11 ヴィルキエ・ルキエ陥落
 また、中央部でも重層的な攻撃をかけ、モスクワ川沿いまで第4装甲軍を撤退させます。
T11
 最終第12ターン、ドイツ軍にはもはや都市を取り返す力はなく、増援と機械化予備で突破口に薄い戦線を引くのがやっと。北西部のソ連軍は怒濤の進撃を続け、スモレンスクを狙える位置まで前進します。と、ここでゲームエンド。
T12
生きて帰らず
 結果は、圧倒的にドイツ軍有利だったはずが、最後はソ連軍の勝利に。序盤で空前の3個軍を包囲で失い、かつてない早期にモスクワに突入され、きわめて厳しい状況に。反撃戦力も十分とは言えなかったのですが、連続チットにも恵まれ、怒濤の冬季攻勢により、都市数を削減できたのが、大きかったです。
 まさに、独ソ戦最大の舞台をうまく切り取った名作でしょう。あまりにもプレイ時間が長いので、二の足を踏む方もあるかと思いますが、この展開こそ、SLGamerの本懐です。ゲーマーの高齢化とともにライト級全盛の昨今ですが、年に一度くらい、ハードアイテムを突き詰めてもいいかも・・・。と、いうわけで、対戦者を募集中です(ただし、例会2回分で、笑い)。

 今月のソロプレイ第7弾は、この時期ぴったりの冬季戦「モスクワ'41」(CMJ)です。ドイツ戦車軍団システムを使用したタイフーン作戦アイテムで、極めて高いプレイアビリティを誇ります。例によって、十分なデヴェロップがされており、バランスも上々です。
 基本は、移動-戦闘です。戦闘は戦闘比で解決し、2:1で攻撃側が有利となります。後退したユニットが混乱状態(移動・戦闘不能)になるのは同システムの特徴ですが、モーメンタムを表すために回復ポイントを導入し、前半はドイツ軍有利に、後半はソ連軍有利に回復できるようになっています。
 また、初めて補給の概念が導入され、補給切れになると混乱状態に、さらに次ターンも補給切れだと除去されます。
  特別ルールとしては、ソ連軍のみ強制反攻ルールがあります。ターン終了時に反撃チットを引き、「スターリンの反撃命令」が出ると、次ターンはソ連軍が先手となり、一定ユニット数の反撃を行わなければなりません(足りない分は、VPを献上します)。その後にドイツ軍ターンとなるので、次ターンと合わせると、ドイツ軍は計算のできるダブルムーブとなります。
 勝利条件は、モスクワにドイツ軍が突入すればその瞬間にサドンデスですが、めったに起こりません。それ以外は指定都市と町の占領によるVPとドイツ軍損害により決定します。
 秀逸なのは、各都市/町のVPが不明で、ゲーム終了時にVPチットを確認します。VPは2-6点と差が大きく、ゲーム中はどれだけ勝っているのかが両軍とも不明です。平均は4.3点なので、期待値としては5都市をとれば、ドイツ軍勝利の20点を超える可能性が高くなります。撃破された装甲師団/自動車化師団1ユニットにつき、-1Vとなるので、損害如何によって勝敗ラインが変動します。
 ちなみに、マップ南端にはヴォロネジがあり、これを獲るとVPは2倍になります。が、ソ連軍の増援が登場するマップ端が近く、それなりの兵力をつぎ込まないと占領は難しいです。
 両軍はフリーセットアップを行い、ゲーム開始です。なお、第1ターンのみは、特別ルールで、ドイツ軍が二度の移動-戦闘を行えます。
 第1ターンの第1フェイズ、ドイツ軍は可能な限り敵ユニットを除去するため、装甲師団2個と自動車化師団1個、歩兵師団1個を組み合わせた攻撃チームを編成します。これだと、敵歩兵の戦力が4以下ならば6:1(2/3の確率で敵を除去)となり、最大の7戦力でも4:1(1/3の確率で敵を除去)となります。アントライドの結果、6:1が4つ、5:1が1つ、4:1が6つ、3:1が2つとなります。1カ所のみC(攻撃失敗、膠着)でしたが、EXを含め、12ユニットの撃破に成功します。
T1D1
 第2フェイズは、敵の第二戦線への攻撃となり、混乱状態の敵の自動壊滅を含め、さらに12ユニットを撃破します。
T1D2
 ソ連軍は増援を加え、なんとか北部から中央部で敵の戦略移動を狭める配置をします。南部は壊滅ユニットが多すぎて、戦線を張れず。唯一、包囲可能な装甲師団を攻撃し、EXでこれを撃破します(ドイツ軍のVP-1点)。
T1S 反撃で装甲師団を包囲撃滅
T1S終了時
 第2ターン、ドイツ軍は北部から中央部で正面攻撃で敵を撃破する一方、南部では敵歩兵集団を包囲します。別働の装甲部隊でクルスクを占領し、2個がヴォロネジを目指し、戦略移動を行います。
T2D
 対するソ連軍は、再び、増援で前線を繕いながら、後方に残された歩兵で反撃を成功させ、これを親衛赤軍に昇格させます。また、南部の包囲網にはブリヤンスクから登場した増援で、補給をつなぎます。
T2S反撃
 と、ここで引いた反攻チットは「スターリンの反撃命令」!第3ターン、先攻となったソ連軍は包囲下の部隊を中心に反撃を行い、先の攻撃で混乱状態になった敵への攻撃とEXで、2個歩兵師団を除去します。さらに包囲可能な自動車化1個師団を殲滅します。
T3S
 が、ドイツ軍の逆襲も凄まじいものでした。第3ターンの後攻攻撃で戦線に穴を開けると、第4ターンのダブルムーブで敵を包囲攻撃します。結果、北部のソ連軍は軒並み包囲下となり、中央部では前線が完全消滅します。
T3D
T4D北部
 ソ連軍は反撃で北部の連絡線は回復したものの、中央部ではカリーニン要塞線に沿って薄い戦線を張るのがやっとです。
T4終了時
 第5ターン、高い機動力を持つドイツ軍は、モジャイスク近郊の親衛赤軍を撃破し、一時的にモスクワへの街道を占拠します。また、ツーラ側面に回り込んだ部隊が東端の敵を撃破します。北部では、2個の敵を包囲殲滅し、同時にカリーニン側面を攻撃をして、圧力をかけます。
T5D
 ソ連軍は、カリーニンはもはや守れないと、これを放棄。6ユニットに増加した増援を必死に投入し、なんとか戦線を張り直します。
T5S
T5
 第6ターン、ドイツ軍は北・西・南からモスクワに圧力をかけ、前進をします。ここで、装甲1個師団が突出し、モスクワまであと2へクスに迫ります。
T6D
 一方、ヴォロネジ方面では敵が増援を回せないのをいいことに、装甲部隊で攻撃をかけ、ヴォロネジを占領し、さらに先制攻撃をし続けて、敵の反撃を封じます。
T6D南部
 ソ連軍はモスクワ市街から直接、増援を登場させ、必死の防衛線を引きます。 
T6S
 第7ターン、歩兵が追いついてきたドイツ軍は、装甲師団と連携し、モスクワ防衛線と北部戦線に正面攻撃をかけます。攻撃は成功し、モスクワまであと1へクスに迫ります。
T7D
 ソ連軍は、なりふり構わず、部隊を投じて、主防衛線を維持します。一方で、ヴォロネジ方面ではイニシアチブを取り替えさんと、なけなしの増援を投じて反撃を実施しますが、残念ながら成功せず。唯一の朗報は、スターリノゴルスクから登場した狙撃兵で、隙を突いてクルスクを奪還したことか。
T7S
T7Sヴォロネジ戦線
 第8ターン、ドイツ軍は歩兵師団を交えて、正面攻撃を強化し、モスクワ市街地攻撃の準備を整えます。が、北部は5:1攻撃がDRとなってしまったため、戦線突破は不可能になります。ヴォロネジ戦線では、ドイツ軍が再反撃に転じて、戦線を押し込みます。
T8D
 このままでは、モスクワ陥落はほぼ必至。ソ連軍は戦車師団及び親衛赤軍、狙撃兵を投じて、最前線の装甲2個師団に逆襲をかけます。これが成功すれば、脅威を多少なりとも減少できたのですが・・・2:1攻撃の結果はEX。装甲師団1個を屠り、敵VPは減ったもののモスクワ攻撃拠点は死守されます。
T8S モスクワ前面の反攻
 最終第9ターン、ドイツ軍は満を持して2へクスからのモスクワを攻撃。戦闘比は6:1で、ここを守る狙撃兵部隊を見事、殲滅!戦闘後前進でついにモスクワに入城したドイツ軍の勝利となりました。
T9Dモスクワ強襲
 最終ターンまでもつれ込む激戦でした。ちなみに、これが墜ちなかったらVP判定でしたが、クルスク、オリョール、カリーニン、ツーラ(再奪還)、ヴォロネジ(VP2倍)、クリン(町で1/2VP)と実質6都市以上を占領。が、装甲部隊の損害も-7VP(7個師団壊滅)で、確認したら20VPに届かず。危ないところでした。
 ソ連軍としては、ヴォロネジ奪還のため、増援を投入し続けたのが裏目に出た形ですが、モスクワ防衛もギリギリの「崩壊」だったわけで、結果論でしょうね。
 雪や泥の影響が感じられず(逆に雪が降ると凍結して、ドイツ軍機械化部隊の機動力が上がる?!)、モスクワ冬季戦らしさが少ない点が不満ですが、シンプルな「ドイツ装甲軍団」の特徴を維持することで、わずか2時間で決着がつくプレイアビリティは特筆ものでしょう。史実では届かなかったヴォロネジ戦線があることでヴァリエーションが拡大し、また、アントライドや「スターリンの反撃命令」のランダム性により、競技性の高さはまさに中黒デザインです。是非、対戦したいものです。

 今月のソロプレイ第6弾は、季刊Tactics誌の付録となった「モスクワ総進撃」です。ユニットは軍団規模で、マップはクウォーターサイズの自作ゲームです。
 システムは、ドイツ軍が移動-戦闘-機械化移動-機械化戦闘ダブルインパルスで、ソ連軍が移動-戦闘です。最後に補給フェイズがあり、マップ端から続く鉄道に3へクス以内で連絡線が引けないと、補給切れになります。補給切れだと移動はできるものの戦闘は不可で、続けて補給切れになると除去されます。
 また、包囲戦を表現するため、WWⅡの作戦級にしては珍しく、強ZOCを持っています。機動力に勝るドイツ軍は、第1インパルスで戦線に穴を開け、第2インパルで敵後方の連絡線を遮断し、強ZOCで拘束して補給切れによる敵の除去を狙います。
 戦闘はベーシックな戦闘比ですが、4:1でDEは33%、EXが16%、DRが50%です。最大比の6:1だと、66%がDEで、33%がDRです。1:1以下だとAEがあり、2:1以上にはEXがあります。先に述べた強ZOCのため、後退狙いの1:1以下攻撃もあります。また、ドイツ軍のみ、2ステップがあり、EXでも優位に立ちます。
 マップの設定はよく練られていて、モスクワ近郊の防御に適した森林地帯、ツーラ周辺から南方の平原、北部の森と川による防衛線などにより、それなりに史実に近い展開になります。 
 また、天候の規定もあり、泥濘と積雪では、鉄道以外の消費移動力が2倍となります。ソ連軍の補充も後半ほど有利になっています。
 これがたった3ページ(!)でルール化されていて、シンプルで必要な内容を盛り込む手腕は素晴らしい!デザイナーは伏見素行氏です。数回のソロ演習を経て、本戦に。
 第1ターン、ドイツ軍は可能な限り効率よく敵を撃滅するよう、戦車と歩兵を巧みに組み合わせて戦闘を仕掛けます。北の6:1はDRで取り逃がしますが、中央では歩戦共同で4:1攻撃を掛け、EXで敵を除去し、1個装甲軍団が飛び出します。
 南方では、6:1と包囲下攻撃を組み合わせ、5カ所全ての攻撃で敵を除去します。
T1D1
 第二次攻撃では、北方で敵が後退・壊滅した箇所から、戦闘後前進で突進した装甲軍団が6:1攻撃を掛け、さらに2ユニットを除去します。完全な突破口が開いた南方では、あえて攻撃をせず、機動のみで敵歩兵の連絡線を遮断します。
T1D2
 続く、ソ連軍ターン、前線での抵抗は無意味と、生き残ったソ連軍は一気にモスクワ方面に後退します。1ユニットのみがスモレンスクを無血占領し、補給下で立てこもりますが、それ以外の拘束された6部隊は、全て補給切れになります。
T1S
 第2ターン、ドイツ軍は装甲軍団を持ってさらに突進し、カリーニン西方の敵を後退させます。が、続く、機械化インパルスで、森林に立てこもる狙撃兵に3:1攻撃を掛けますが、ARではじき返されます。
T2D1
 一方、南方ではオリョールへの3:1攻撃がDEとなり、これを占領。そのまま、3個装甲軍団がツーラを強襲し、ここも占領します。
 ソ連軍は、増援をつぎ込んで全戦線を強化します。ターン終了時に、前ターンに補給切れになった6個ユニットが壊滅します。
T2S
 第3ターン、ロシアの大地は泥濘に。鉄道沿い以外、満足な機動ができない状況ですが、前線に到着していた装甲師団で、ドイツ軍は攻勢を継続します。北部では3:1攻撃が成功し、再び、カリーニンを占拠します。中央部では森林に籠もる敵を、2:1ながらDRとします。
 また、スモレンスクに籠もっていた狙撃兵を、やっと除去します。
 第二次移動で間隙から装甲軍団が突入し、北部で1個狙撃兵軍を包囲攻撃で除去します。
T3D1
T3D2
 ソ連軍は、後方から部隊を前進させ、北部では二重戦線を、中央ではスタックによる防御網を構築します。
 敵がわずか3個装甲軍団で守っている南部では、相打ち上等で2:1の反撃をしましたが、残念ながらARに。
T3S
 第4ターン、なおも泥濘が続き、ドイツ軍は泥をかき分けながら。北方で集中攻撃を掛けます。が、6:1にもかかわらず、DRに。ただし、部隊が後退したことで戦線がいびつになります。ここへ第二次攻撃を掛け、2:1ながらEXで後方の騎兵を除去すると、戦闘後前進で狙撃兵軍を包囲し、これを撃破します。 
T4D1
T4D2
 南方では、後方から駆けつけた装甲軍団と共同でツーラ近郊の敵を攻撃し、これを後退させます。
 北方を突破されたソ連軍は、増援をもってヴォルガ川沿いに戦線を引き直します。が、前線の部隊は拘束されているため、密度は薄くならざるを得ず。また、南方ではツーラ奪還を目指して2:1攻撃を掛けますが、またもARとなります。
T4S 増援をつぎ込んで
 第5ターン、路面は凍結となり、再び、機動戦が可能になります。後方から歩兵も追いつき始めたドイツ軍は、北方とモスクワ前面に戦力を集中し、強襲を掛けます。モスクワ南西こそARとなったものの、北の4:1攻撃2カ所では、DEとEXで前線に穴が開きます。 
T5D1
 ここから装甲軍団が浸透し、北部の増援登場へクスを占領。ヴォルガ川沿いで抵抗する2個スタックを包囲攻撃(2:1)で除去します。そして、モスクワ郊外を守るわずか1戦力の狙撃兵を5:1でDEとし、戦闘後前進により、ついに赤い首都を占領します。
T5D2
  南方では、ツーラ近くの増援登場へクスに攻撃を掛け、これも占領します。
 この時点で、ドイツ軍のVPは14点ちなり、サドンデス勝利条件を満たします。
 ソ連軍には、もはや、モスクワ奪還以外にサドンデスを防ぐ手はなし。増援をかき集めると、奇跡を信じて1:1攻撃を行いますが・・・ああ、無情にもAR。この瞬間、ドイツ軍の勝利が確定しました。
T5S モスクワ奪還に掛けるしか・・・
 今回は、ドイツ軍の電撃的な勝利となりましたが、兵力の投入バランスと戦闘結果によっては、モスクワどころか、その遙か前面でがっちり止められたり、南方で猛反撃を食らって5個を越える装甲師団が壊滅したりしたこともありました。まだ、両軍とも勝つチャンスがあり、かつ、史実的にもさもありなんという展開になるあたりは、十分なデヴェロップが窺えます。初めに触れましたが、それをたった3ページで納める見事な手腕!なかなか評判を聞かない本作ですが、もっと評価されていいですね~。
T5 ゲーム終了
 なお、このソロプレイで、アイテム最大数を誇るWWⅡ東部戦線ジャンルのプレイ率が4割を突破しました。こちらもご覧ください。

 今月のソロプレイ第5弾は、最新のタイフーン作戦アイテムである「モスクワ攻防戦」(学研)です。歴史群像の付録となった歴史ファン向けのSLGで、その数は公称36000部発行と、影響力は極めて大です。
T0
 基本は、ドイツ軍が戦闘-移動-戦闘というもので、ソ連軍は移動-戦闘と、ドイツ軍有利になっています。ただし、降雪となる第7ターン以降はこれが入れ替わり、主導権の転換を表しています。
 基本は移動力の分だけ、移動でき、ZOC停止。地形効果は、湿地が3、森が2、河越えが+1とシンプルです。
 戦闘はメイアタックで、最大比率の6:1でもDEは1/2の確率です。障碍地形は防御力を+し、大都市は+2となります。損害の受け方は、ドイツ軍とソ連軍では異なっています。ドイツ軍は1個装甲軍+1個歩兵軍の損害チャートが有り、これが最大数8になるまでは損害を受けません。いっぱいになると、今度は退却でヒット数を満たすことになります。一方のソ連軍は、はじめから退却のみで損害を充当します。ただし、大都市で守備しているソ連軍は、1ヒットのみは無効にできます。
 数回の練習プレイの後に、ソロ演習となります。
 第1ターン、ドイツ軍は装甲軍団の高火力を持って、攻撃をかけます。ソ連軍のアントライドが比較的高く、北から4カ所の攻撃では1カ所でDEとなり、1カ所が1/1、2カ所がD1となります。
T1D1
 第2攻撃では、戦力をさらに集中し、2カ所で6:1を、1カ所で4:1としますが、drに恵まれず、敵の退却のみとなります。
T1D2
 ソ連軍は特別ルールで動けないため、包囲された部隊が消耗上等の1:1反撃をかけましたが、1カ所でD1を出して、第2装甲軍+第2軍に1ヒットを与えます。
T1S
 第2ターン、中央部で装甲2個軍団が隣接していた歩兵軍に4:1攻撃をかけますが、これは1/1とドイツ軍にも損害が出ます。
T2D1
 戦線をこじ開けた第2装甲軍が飛び出し、やっと電撃戦らしくなります。第2戦闘で3:1の正面攻撃では1/1と痛い目に遭いますが、3:1の包囲攻撃と6:1でDEを出し、2個軍を撃破します。
T2D2
 ソ連軍は逃げ遅れた部隊で足止めと反撃を行った他は、整然と戦線を形成しながら、後退します。
T2S
 第3ターン、ドイツ軍は機動力を生かして敵に接敵し、猛攻を加えます。逃げ遅れと展開が遅れた2個軍を包囲して、これを殲滅します。その他では退却が多かったのですが、最も確率の低い4:1でまさかのDEが出て、前進を果たします。
T3D2
 が、ソ連軍にも続々と増援が来て、カリーニンからツーラまでの半円防御線を引きます。
T3S
 第4ターン、ドイツ軍は正面強襲を続け、DEこそ、1カ所でしたが、多くの部隊を後退させ、VP地点のカルーガ、ルジェフ、スピニチを占領します。
T4D
 第5ターンは、ドイツ軍のdrが冴え、5カ所の攻撃で3軍をDEにします。が、要衝ツーラへの攻撃は、D1が大都市効果で無効になり、弾かれます。
T5D
 一方、ソ連軍も冬期反攻に向けて、敵の損害を増やすべく、増援を投入して、3カ所で反撃を行い、D1を一つ与えます。この時点でドイツ軍の損害数は以下の通りです。
 第3装甲軍・第9軍-4損害
 第4装甲軍・第4軍-3損害
 第2装甲軍・第2--3損害
T5S
 第6ターン、ドイツ軍は最後の計画的攻勢を行います。まず、VP地点のカリーニンに4:1攻撃をかけ、これを奪取します。また、反撃で突出した歩兵軍を包囲殲滅し、また、1個軍を正面からの6:1でDEにします。が、焦点のツーラは、激しい抵抗を見せ、またも落ちず。
T6D
 ソ連軍は、反撃の前哨戦として、兵力の薄い南部2カ所で攻撃を行い、ともにD1として、第2装甲軍・第2軍の累積損害を5に上昇させます。
T6S
 第7ターン、イニシアチブが入れ替わり、ソ連軍が先手で冬期反攻が開始されます。まず、前ターンに接敵していた部隊が6カ所で攻撃をかけ、全てでドイツ軍にダメージを与えます。結果、第2装甲軍・第2軍は一切の攻撃が不可能に。
T7S
 続く、第2攻撃も熾烈で7カ所の攻撃の全てに成功し、1カ所では奇跡のDEを出します。
T7S2
 ドイツ軍も残った第3装甲軍と第4装甲軍で意地の反撃を行い、1個軍を撃破します。
T7D
 第8ターン、ソ連軍の第1攻撃は2カ所で成功し、第3装甲軍・第9軍も攻勢不可能になります。
T8S1
 第2攻撃は8カ所での総花的攻撃になり、半数がD2と包囲下のDEとなり、戦線は大きく後退します。この時点で、保持したツーラをはじめ、カリーニンとクルスクを奪還しますが、今だ、ドイツ軍は勝利条件の4VP都市を確保しています。
T8S2
 最終第9ターン、ソ連軍が奪取できる可能性があるのはカルーガのみ。そのためには第1戦闘で前衛の装甲軍団を排除しなければなりません。砲兵もつぎ込んで3:1の戦闘は、1/3の確率でこれを排除できましたが・・・結果は、D1。この時点でカルーガへの接敵は不可能となり、押されながらもドイツ軍の勝利となりました。
T9S1
 初期にソ連軍に高戦力が多かったり、ドイツ軍の戦闘drが優れず、モスクワ攻撃は全くできませんでしたが、ドイツ軍が無理せず、防御態勢に移れば、ほぼ戦術的勝利は間違いないと思います。デザイナー推奨の砲兵2シフトがあっても、です。
 改定案としては、ツーラの得点を2にすると、今回の展開なら引き分けにはなるかと思います。また、ソ連軍が普通に守れば、モスクワ攻撃はかなり至難の業(かつ危険が伴う)ですが、例えば隣接だけでも+1点などすれば、ドイツ軍が(史実通り、強引に)モスクワを目指す動機にはなるかと。
 とはいえ、慣れたSLGamerだから、そこまで突き詰めるわけで。多くの「歴史群像」のユーザーはそこまで行かずとも、モスクワ戦の雰囲気を味わえれば、十分なんでしょうね。まあ、これを契機に、幾ばくかの歴史ファンが、シミュレーションに転んでくれれば、ラッキーなんですが・・・。

 この日の最後は、このところ、連続プレイしている「トワイライト・ストラグル日本語版」(GMT)です。陣営は、アメリカ(mitsu)対ソ連邦(kawa)です。
DSC01368
 第一戦は、「トルーマン・ドクトリン」と「ルーマニア国王退位」と、お互いに敵イベントのヘッドラインでスタート。アメリカは「ナセル」でエジプトを失うものの、欧州では主要国を押さえて、イーブンに。イタリア(!)でのクーデターによる軍事行動ボーナス等で、6点の優勢とします。 
T1
 第2ターン、欧州は混沌のままでしたが、中東でエジプトを奪い返すと、ここで「地域得点中東」。イランとリビアも支配していたため、一気にVPは13点に。ソ連邦はアジアと欧州で「地域得点」しますが、支配はほぼイーブンの状態でVPは動かず。
T2
 第3ターン、かなりイベントを消費していたため、捨てカードがリシャッフルに。ここで再び、アメリカに「地域得点中東」!さらに敵の手番に「核攻撃から身を守ろう」が出て(宇宙に飛ばせず)、そのまま、20点ぴったりでサドンデス勝利となりました。
T3 イベントで寄り切る
 第二戦、序盤は、アメリカにとってかなり苦しい展開に。第1ターン、手元のカードは真っ赤か!宇宙開発で1枚は飛ばしたものの、やりたくもない「コメコン」や「ルーマニア国王退位」「社会主義政権」のラッシュ。そこへ、ソ連邦が「ド・ゴール主義のフランス」を仕掛け、「日米安保条約」と引き換えに、イタリアでクーデターを起こすなど、西ドイツを除いて、共産主義勢力が欧州を席巻します。得点カードがあったら、かなり危なかったかも・・・。
T1
 第2ターン、ならば、中東・アジアで勝負と、アメリカはこちらに傾注します。イランに始まり、パキンスタン・インド・ビルマ・ラオス/カンボジアまで、逆ドミノ倒しを実行。ソ連邦は「チャイナ・カード」を発動し、台湾まで影響を広げたところで「地域得点アジア」。それでも、西側の勢いが増さり、アメリカに+4VPとなります。
T2
 第3ターン、アメリカはヘッドラインで「CIA」!ソ連の手札が丸裸になり、今度はアメリカに有利なイベントばかり。全ての手が読めるので、欧州の支配を切り崩したところで得点にし、得失点差はほぼイーブンに。中東支配も離さなかったので、ソ連邦は泣く泣く「地域得点中東」をプレイ。これで、アメリカのVPは11点まで上昇します。
T3
 第4ターン、時代は中盤戦に。ここまでの反動か、アメリカに有利なカードが連続し、中東とアジアはほぼ安泰に。ここで、「地域得点東南アジア」をプレイし、一気に8点を奪います。このまま、サドンデスかと思われましたが。ソ連邦が「私はいかにしてそれが杞憂と知ったか」「U2偵察機撃墜事件」の上に、「国連介入」(!)で3VPを奪い返し、踏みとどまります。それでも、ターン終了時のVPは、アメリカの18点まで行きます。
T4
 第5ターン、一発目のカードで「ニクソン訪中」をプレイ。これにより、VPが20点を越え、連続勝利となりました。
T5 ニクソン訪中!
T5
 やっぱり、「黄昏」は面白い!決して楽なことはありませんが、カード巡りを信じて、いかに敵の影響を抑え、自分の有利な状況を作り続けるか、知恵を絞ります。第2戦の序盤のようにかなり苦しいこともありますが、敵に察知されないよう、「先に嫌なことからやろうかな」とブラフをかけたり(実際にはほとんど嫌なことしかなかったんですが、笑い)、さりげなく敵支配を切り崩して得点に持ち込むなどの駆け引きが、実に楽しい!これで対戦が5戦となったので、できれば10番勝負までやってみたいです。

 午後になって、Tommyさんとエンジョウさんが到着したので、6人で「アメーバ・ウォー」(AH)をプレイしました。自分がインストしましたが、多人数プレイは初めてで。実は、エンジョウさんとタナックさんが昔にやりこんでいたようで、おかげで作戦指南があって、スムーズな進行になりました。陣営は、以下の通りです。
赤紫(mitsu)・赤(エンジョウ)・ピンク(BIBI)・青(kawa)・紫(タナック)・緑(Tommy)
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 序盤、各陣営は右回り(紳士協定!)に従って、生産地点の確保に走ります。なぜか、赤(エンジョウ)が制圧drで勝てずに、かなりの戦力を消耗します。赤紫(mitsu)もカードの「アメーバ攻撃」で占領した生産地点を一時的に失ったり、ピンク(BIBI)と青(kawa)も若干、制圧に手こずったりしましたが、中盤にはほぼ全てのアメーバを除去します。
協力プレイでアメーバ狩り
 後はいつ、誰がサエストロと周囲を押さえるか?ここでイニシアチブを取ったのは、赤紫(mitsu)で、あえて数値の高いカードで先手を取ると、前線後方に待機していたアルマダ(20隻以上)で侵攻を開始します。直前に、「最終兵器の暴走」が重なったので、これで他の勢力の太陽星系を削り、抵抗が減ったルートを驀進します。最終決戦は、アメーバの居座るサエストロ。戦闘dr-1も十分な数で波状攻撃をかけ、第三波でこれを攻略し、勝利しました。
mitsuアルマダの勝利!
 後から聞いたら、これが「正しい戦略」だそうで。経験者がいると、いろいろとスムーズでしたね~。
 なお、帰宅後、ルールを確認したら、「アメーバの増殖」でミスがありました。増殖の星系が決まると、周囲6へクスが全て無条件攻撃を受けていました。が、実際はdrして、惑星数以下の各星系が攻撃を受けることになっていました。次回があれば、修整します。

 この日の緒戦は、初参加のfhoさんを入れて、タナックさんとmitsuで、傑作ファンタジーマルチの「スモールワールド」(Days of Wonder)です。fhoさんはほぼ同世代ですが、例会参加やここでの対戦も初めてということで。ルールを一部、省略して、追加属性抜きの種族のみとします(種族の基本数に+5戦力としました。
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T4
 序盤、ハーフリング(タナック)、トロール(fho)、エルフ(mitsu)で狭い世界に侵入します。先に種族を入れ替えたタナックさんが、海からのトリトン効果で殴り込みをかけますが、トロールの遺跡が堅いので、必然とエルフの旧領土を荒らすことに。代わりにアマゾネス(mitsu)がトロール攻めを狙いますが、グール(fho)が登場したため、先にそちらを叩きに行きます。
T4
 そこへソーサラー(タナック)が登場するも、皆、衰退したり、スタックしたりしていたため、うまみがなく、最後にヒューマン(タナック)に切り替えて、農地を取ってエンド。ジャイアント(mitsu)は丘を下って周囲を制定するも、衰退種族が軒並み刈られ、得点は伸びず。最後に数の暴力ラットマン(fho)が席巻し、相当の追い上げをしました。終わってみれば、ヒューマンで守り切ったタナックさんが勝利でした。自分は得意の(?)インスト負けでした(苦笑い)。
T10

☆タナック(ハーフリング-トリトン-ソーサラー-ヒューマン)82点
 fho(トロール-グール-ラットマン)78点
    mitsu(エルフーアマゾネスージャイアント)70点

 次に、メンバーをBIBIさんに入れ替えて、拡張キット「スカイアイランド」ヴァージョンでプレイします。
 序盤、地下世界のラットマン(BIBI)が、地下通路を通って、スカイランドまで進出します。それを外交家(!)のグール(タナック)で壁を作って、制限。空飛ぶエルフ(mitsu)が空挺攻撃を仕掛け、三つ巴に。
 第3ターンに、一斉に衰退すると、恐喝する嵐の巨人(タナック)で山岳に雷を落としまくって、天空の2島をゲット。そうはさせじと、砲手のスカベンジャー(BIBI)が地上階の1/3を砲撃でむしり取り、階段を上って、天空を砲撃。トロール(mitsu)は我関せずとせっせと領土を守ります。
T4
 第7ターン前後に、それぞれが消耗すると、領土争いはラストステージへ。数が頼りの
野営するエスカルゴ(mitsu)が防御しながら領土を再拡大します。が、ターン始めの得点のため、2ターン程度では回収できず。そこをこれまた、数の暴力-狂乱した(!)案山子(BIBI)がガシガシと攻め、drもよく、領地拡大に成功します。が、もっとも楽しんだのは、飛行船に乗ったアマゾネス(タナック)でして。5隻ある飛行船で各地に奇襲をかけ、制圧。1/2の確率で墜落することを逆手にとって「焦土作戦じゃー!」(端から墜落前提!)と各地を荒らし回り、満足したよう(笑い)。
火を噴く飛行船!
T10
 結果的には、ゲーム慣れしたBIBIさんが10点越えで勝利しました。

☆BIBI(地下世界のラットマン-砲手のスカベンジャー-狂乱した案山子)106点
 タナック(外交家のグール、恐喝する嵐の巨人-飛行船に乗ったアマゾネス)97点
 mitsu(空飛ぶエルフ-値切屋のトロール-野営するエスカルゴ)85点

 コロナ禍も沈静化を迎え、季候もよく素晴らしい秋空の下、第197回ちはら会が開かれました。いつもの常連さんに、遠路はるばるタナックさんと新規のfhoさんの6名が参集し、ファンタジーからSF級、戦国史、現代政治闘争まで、6アイテムを楽しみました。これからも、仲間とのゲームの日々が続きますように・・・。
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 先日にプレイされたアイテムと戦績は、以下の通りです。

スモールワールド(Days of Wonder)
 ☆タナック・fho・mitsu
スモールワールド+スカイアイランド(Days of Wonder)
 ☆BIBI・タナック・mitsu
アメーバ・ウォー(AH)6人プレイ
 ☆赤紫(mitsu)・赤(エンジョウ)・ピンク(BIBI)・青(kawa)・紫(タナック)・緑(Tommy)
ロール・フォー・ザ・ギャラクシー(HJ)2戦
  ☆分離主義者コロニー(BIBI)・損傷異星種族工場(エンジョウ)・滅び行く世界(Tommy)
  ☆滅び行く世界(BIBI)・オールドアース(エンジョウ)・失われた地球植民地(Tommy)
川中島(CMJ) ☆武田軍(エンジョウ)対上杉軍(Tommy)★
トワイライト・ストラグル日本語版(GMT)2戦
 ☆アメリカ(mitsu)対ソ連邦(kawa)
 ☆アメリカ(mitsu)対ソ連邦(kawa)

 イメージは、BIBIさん持ち込みの「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」。ダイスゲームとなったおかげで、リソース管理がわかりやすく、かつ、時間的にも短縮されるという、一石二鳥の進化形です。対戦経験を生かして、BIBIさんが二連勝でした。
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 こちらは、時間調整で取り組んだWGHBの「川中島」。ランダムに引くイベントカードが敵陣営のものが多く、「川中島なら、反対だよ」と声が。何戦かして慣れると、十分に川中島らしくなるのですが、緒戦だと、ああ、思えることも。
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 コロナ禍が落ち着いたばかりですが、気がつけば年の瀬が迫って参りました。感染者数も底を打ったようで、徐々に反転攻勢の兆しが・・・。なんとか、低水準を維持し、例会が続けられますように。12月の例会のお知らせです。今回は、いつもの上旬ではなく、19日となりますので、ご注意を。

[日時]12月19日(日)10:00-20:00
[会場]おゆみ野公民館 第2会議室
[住所]千葉市緑区おゆみ野中央2丁目7-6
[アクセス]
 京成電鉄千原線「学園前駅」または「おゆみ野駅」から徒歩10分
または、JR鎌取駅発小湊鉄道バスでおゆみ野中央二丁目バス停降り、徒歩1分(20~30分おき)
[参加費]無料
[持ち物]ゲームとゆとりと常識
 
 前回、プレイした「スモールワールド」(Days of Wonder)+「スカイアイランド」が面白かったので、再び。

SWスカイアイランド
 こちらは、前回にプレイできなかった「GUNDAM THE GAME 哀・戦士編」(アークライト)。年の瀬に、最終シナリオを行きたい。
GUNDAM t G 哀戦士編

 こちらも、コロナ沈静化の祈りを込めて、「PANDEMIC」(HJ)。最もハードなレベル3でクリアできるか?

PANDEMIC
 最近、ソロ演習をした「タイタン・ストライク」(T誌付録)と「田原坂の戦い」(WGHB)。希望があれば、持ち込みます。
T7 EEC、突撃開始
T1SA1
 最後に次回以降の予定を。このまま、コロナが落ち着きますように。

  1月8日(土)10:00-20:00 おゆみ野公民館:第2講習室
  2月5日(土)10:00-20:00 おゆみ野公民館:第2会議室

 今月のソロプレイ第4弾は、「タイタン・ストライク」(T誌)から、シナリオ3「大会戦」です。
 このシナリオは、両軍の全ての部隊が登場し、タイタンの大地で激しい戦闘を繰り広げます。
 両陣営の特徴は、絶妙に調整されています。HEAは2門の榴弾砲があり、(洞窟外の)全ての敵を一方的に攻撃できます。これで敵の対空砲を撃破できれば、一方的な空爆が可能になります。また、敵に比べ、地上部隊の長距離射撃能力が高いのも、有利です。よって、HEAはアンモニア洪水を起こして地域を分断し、渡河点を押さえながら、榴弾砲を撃ち続ける作戦が有効です。
 一方のEECは、兵器の劣勢を数で補います。地上兵力の根幹であるTECVはドローンと合わせて、敵より4機多く、長距離侵攻能力のあるホッパーも2機多くなっています。よって、EECは可能な限り肉迫し、数を生かして接近戦で敵を圧倒する作戦となります。
 第1ターン、EW戦ですが、HEAが-1、EECが±0とEECが若干有利です。ここで貴重な航空戦力を消耗できないEECはスキマーを投入せず、HEAのみが空襲を行います。標的は、アンモニア海の堤防!敵の対空砲火がないため、全力を持って爆撃を敢行し、一撃で堤防を決壊させます。
T1
TITAN クラーケン湖
 第2ターン、投入ユニット数は、HEAが6ユニットで、EECは2ユニットと差が出ます。HEAは前ターンの対空レーザーに、SSM、歩兵を投入し、強固な対空陣地を作り上げます。そこへ榴弾砲を迎え入れ、一方的な砲撃態勢を敷きます。
T2 対空・砲撃陣地を完成
T2
 第3ターン、EW戦でHEAが+1と優位に立ちます。当然、空中戦を目論みますが、不利なEECがこれを回避。制空権を取ったHEAがスキマーの爆撃と榴弾砲の長距離射撃で台地に駆け上がっていたTECVをオーバーキルし、最初の戦果を上げます。EECは移動フェイズに、やっと対空部隊を登場させます。
T3 長距離砲撃と爆撃で最初の戦果
T3
 第4ターン、両軍はあえてスキマーを投入せず、兵力の集結を待ちます。EECは北東の台地に集合し、HEAはそこを射程内に納めるべく、対空・砲撃部隊を前方に進めます。一方で側面迂回で、アンモニア洪水の前に、2個のTECVを乾海を渡らせます。
T4
 第5ターン、EW戦はEECが±0として、HEA-2に有利に立ちます。HEAがスキマーを温存したため、EECが単独で敵の対空・砲撃陣地に襲撃をかけます。強力な対空砲火に相当な損害を覚悟したものの、幸いにもSSK1機の犠牲で、敵の榴弾砲1門を撃破することに成功します。一方のHEAも長距離砲撃で、敵のレーザー対空砲を破壊します。
T5 ともに集中した砲爆撃
 第6ターン、EW戦は-3と-2のほぼ互角に。先の空襲時にSSK1機を失っていたため、空戦力ではEECが不利でしたが、なおも空爆を模索するEECは空戦を選択します。初の空中戦は、マイナス修正が強かったため、効果なしに。さすがに対空砲火の洗礼は厳しいため、EECは爆撃を断念します。HEAのみが攻撃及び支援スキマー、榴弾砲で、敵の対空火器を狙いましたが、台地による地形修整により、奇跡的に損害なしに。
 タイタンの大地でも、地上戦が火蓋を切ります。迂回したHEAのTECV隊を、EECのホッパーが迎撃し、接近戦に。が、こちらもdrに恵まれず、膠着状態に。
T6 TECV対Hopper
 第7ターン、空中戦力でも優位に立つHEAは、またも全スキマーを投入して、砲撃と合わせた爆撃を行います。対空砲火でFSK1機を撃破されるも、集中攻撃で敵のレーザー対空砲を全滅させます。
T7 スキマーが2門目の対空レーザーを破壊
 SSMが残っているものの、EECが対空の傘を失うのは、時間の問題に。ならば、猶予はなし!台地上で機会を窺っていたEECの地上部隊が、一斉に前進を開始します。
T7 EEC、突撃開始
 第8ターン、戦力的に再び拮抗した両軍のスキマー隊は、ともに様子見に。前進してきたEEC部隊に、アンモニア海対岸からHEAの防御射撃と砲撃が降り注ぎ、EECのホバー自走砲2台とホッパーが撃破されます。HEAも反撃により、TECV1両を失います。
T8 長距離射撃戦
 そして、速度を上げたEEC部隊は、一斉にアンモニア海の渡河を開始します。一方、北西部でのTECV隊とホッパー隊の戦闘は、HEAのホッパーも介入し、消耗戦となります。
T8 EEC、アンモニア海を渡河開始
 第9ターン、ここが勝負所と、両軍はスキマーを投入して、激しい空中戦を実施します。これにより、共に1機ずつを失います。
 迎えた射撃フェイズに、海を漂う無防備な敵に対し、EECは射撃と砲撃、攻撃スキマーによる爆撃を見舞います。これにより、EECのTECVとホバー自走砲が破壊されるも、対空砲火で攻撃スキマーが撃墜され、反撃によりHEAもTECV2両を失います。
T9 渡河中のEEVと対岸のHEAが激しい射撃戦
 移動フェイズに、生き残ったEECは、上陸に成功します。部隊数で5:8となったHEAは、海岸地帯を守り切れないと判断し、中央の上陸堡に戦力を集中します。が、局地的に数で勝っていたにもかかわらず、近接戦闘では共に1機ずつを失う、消耗戦に。
T9 渡河成功!
 第10ターン、もはや、消耗し尽くしていた両軍のスキマーは、最後の空中戦に。結果、HEAのスキマーは全滅し、EECも戦闘スキマー1機を残すのみに。
  地上戦では、EECが物量を生かして、射撃と突撃を繰り返し、HEAの守備隊を圧倒します。危険を感じたHEAの対空・砲撃部隊は、砲撃をしながら、後方へ待避をします。
T10
 第11ターン、ついにHEAの前線地上部隊はホッパーを残して全滅します。兵力で優位に立つEECのドローン隊が、対空・砲撃部隊に接近します。
T11 HEAのTECV全滅
 第12ターン、最後の長距離砲撃で、HEAの榴弾砲が敵のドローン1機を破壊します。と、これ以上の戦闘は無意味と、対空・砲撃部隊は全て撤収し、ホッパー2機が北方に突破します。敵がいなくなったため、EECのTECV/ドローン隊も、南方へ突破し、ゲーム終了となりました。
T12 最後の砲撃・・・そして終了
 VP計算をしたところ、
【HEA】130点(敵の撃破124点、ホッパーの突破6点)
【EEC】120点(敵の撃破108点、TECV/ドローンの突破12点)
と、若干、HEAが勝りましたが、判定では引き分けになりました。
 今回は、序盤のHEAが有利な体勢を敷いたことで、敵の撃破でリードしました。中盤はEECが決死のアンモニア海渡河と近接突撃で追い上げて、引き分けになりました。仮にEW戦でHEAが有利に立つと、スキマーによる攻撃と榴弾による長距離砲撃で、一方的に叩かれることもあるので、今回は機を見た突撃でEECが奮闘したと、評価してよいでしょう。
 いずれにしろ、これで全シナリオを制覇しました。デザイナーのPhil Kosnet氏は、SFギミックがあふれるアイテムが得意なようで、「南極未来戦争」(SPI)も制作しているとか。これは、近いうちに、地底人と人類の戦いをせねばなるまい?!

 今月のソロプレイ第3弾は、「タイタン・ストライク」(T誌)から連戦で、シナリオ2「タイタン・プライム強襲作戦」です。
 このシナリオは、EECの強力な地上部隊が、HEAのタイタン・プライム司令部とその附属施設を襲撃するというものです。EECは数に物を言わせて、敵を圧倒し、終盤に司令部やパワーステーション等の占領を狙います。HEAは地上兵力は半数ですが、EWポイントは5:3と優勢であり、かつ、スキマー数は同等、さらに重歩兵は待ち伏せができます。
T0
 第1ターン、HEAは敵の足を止めるべく、全EW5ポイントを攻撃に使いますが、敵の周波数の特定ができず、効果はなし。一方のEECはEW3ポイントを防御に回し、かつ、スキマーは対空レーザー砲が登場するまで投入を控えます。
 よって、スキマーの攻撃はHEAのみに。目標は、アンモニア海に隣接する堤防!これを破壊すれば、大量のアンモニア洪水が乾海に流れ込み、敵のVP地点(採掘ステーション)を水没させ、かつ、敵の移動を制限できます。4機のスキマーが成層圏から舞い降りて爆撃をし、堤防に2ヒットを与えます(3ヒットで決壊)。
T1 HEAスキマーの堤防爆撃
 続く、移動フェイズに、東端からEECの部隊が登場し、一路、南西の敵司令部周辺に向かいます。
T1
 第2ターン、EW戦には動きなし。HEAはスキマーを温存するも、EECは長距離砲撃能力を持つ敵の榴弾砲にスキマー攻撃をかけます。対空砲火で戦闘スキマー1機が撃墜されるも、残りを集中して、榴弾砲を破壊します。この榴弾砲も先に射撃を実施して、進行してきた敵の対空レーザー砲1門を破壊します。
 移動フェイズでは、EECのホッパーがスキマー発着場付近にジャンプし、敵を牽制します。主力のTECV/ドローン部隊は全力で大地を駆け抜けます。ホバー自走砲は、後々の突入(ケーブルの切断)のために、地形効果の高い台地(メサ)に。一方のHEAは長距離射撃を生かせる台地の北東端にTECVを配置し。機動予備のホバー自走砲は、空爆を受けない洞窟内に待避させます。
T2
 第3ターン、両陣営は制空権を巡って、全スキマーを投入します。前ターンに戦闘スキマー1機を失っていたEEC陣営は空戦力で劣るものの、防御EWポイントによりdr自体は有利に(命中drは6以下)。対するHEAはここが勝負と、全てのEWポイントを1ずつバラして、5つの周波数に。これにより、敵の防御EWの一部を打ち消し、命中drは5以下に。EEC陣営が2回、HEA陣営が6回の航空戦闘の結果は・・・なんと、一方的にEECスキマーが全滅!生き残ったHEAのスキマーは、長距離攻撃フェイズに、爆撃の障害となる敵のレーザー砲を全滅させます。
T3 EECスキマー、全滅!
T3 レーザー砲、全滅
 このままでは、一方的に叩かれるのみ、と焦るEECは当初の計画をかなぐり捨てて、接近戦に持ち込むべく、全ユニットを突進させます。
T3
 第4ターン、完全に制空権を握ったHEAのスキマー隊は、メタンの大気を切り裂いて死の舞を踊ります。先のターンに、スキマー発着場を占領した敵のホッパーに対し、猛烈な爆撃を敢行し、これを全滅させます。さらに、1機が崩壊寸前だった大アンモニア海の堤防を攻撃し、これを決壊させます。緑色の奔流が乾海に流れ込み、EECの得点源だった採掘ステーションを呑み込みます。
T4 堤防決壊!
 EEC部隊は、数の優位がある内に乱戦に持ち込まんと、TECVとドローン、ホバー自走砲を敵防御地点に差し向けますが・・・。
T4 肉迫するTECV
 第5ターン、最も高い近接能力を持つホバー自走砲が、HEAのスキマーの集中攻撃により壊滅。さらに、TECVも台地上からの射撃により、1ユニットが撃破されます。EEC側は残りの車輌を突進させ、接近戦に持ち込みますが、お互いにdrが振るわず、膠着に。
T5 一方的な爆撃
 第6ターン、EECの爆撃と射撃が炸裂します。未だ、登攀途中だった敵TECV2機を防御射撃により、全滅させます。また、スキマー隊は誤爆を恐れず、近接支援を敢行し、台地上のTECV1機も破壊します。
T6 長距離射撃が一方的に命中
 第7ターン、接近戦が振るわないEECに対し、容赦なくHEAのスキマーが反復爆撃を継続します。これにより、2機のTECVが壊滅し、残りは1機のみに。その間に、洞窟内に進入したドローンは、爆撃を恐れて、抜け出せず。
T7 勢いに乗って接近戦も制する
 以後は、単なる残敵掃討戦でした。アンモニア洪水で孤立した敵の工兵を、スキマー隊が叩きに叩き、これも壊滅させます。せめてもと、EECのドローンがパワーステーションの占領を狙いますが、高速の機動予備のホバー自走砲と戦闘スキマーの攻撃を受けて、壊滅。生き残ったのは、洞窟内のドローン1機のみという状態でした。
T9 工兵狩り
 VP計算をしたところ、
【HEA】104点(ドローン1機を除く、敵の全地上ユニットと全スキマーを撃破)
【EEC】30点(洞窟突入)
と、トリプルスコアでした。今回は、第3ターンにEECのスキマー隊が全滅し、一方的にHEAに叩かれまくったのが、効きました。これが逆だったら、HEAはほとんどの施設を占拠されていたかもしれません。いずれにしろ、ミニゲーム故にユニット数自体が少ないので、振れ幅はやむなし。振れが大きい分、対戦なら、EW戦の読み合いやここ一番の戦闘drによって、盛り上がりそうですね~。 

 続いて、今月のソロプレイ第2弾は、「タイタン・ストライク」(T誌)シナリオ4「シュトルモビク」です。本来なら、シナリオ2ですが、このシナリオはT誌に掲載された追加シナリオで、スキマー戦闘に習熟するための設定になっています。
 対空部隊を含むEECの地上戦力を、HEAのスキマー隊が襲撃するというもので、電子戦が導入されています。HEAのEWポイントは5で、奇襲を受けるEECはランダムで3-5を決定します。電子戦で勝利すると、優勢の1ポイントにつき、敵のSSMと歩兵の対空レベルが1つ落ちるので、当初はもっぱらHEAがEW攻撃をかけます。思いのほか、対空砲の威力は強いため、敵の周波数を乗っ取った上で、スキマーを投入することにします。
  序盤、HEAは積極的に電子戦を仕掛けますが、1/6の確率に妨げられて、EW妨害はできず。ここがチャンスと、EECの地上部隊は反対側のマップ端を目指します。
T2
 HEAが敵の周波数を捕捉したのは、第4ターンでした。5ポイントのEWポイントを投入し、EECの3ポイントを圧倒します。結果、全ユニットの移動力は-2となり、SSMと歩兵の対空レベルは、2段階低下します。続く、アンチ・スカイフェイズで、対空射撃は軒並み外れ、影響を受けないレーザー砲までも当たらず。
T4 EECの周波数捕捉
 長距離射撃フェイズに、全4機のスキマーが逆落としに急降下爆撃を見舞います。動きの遅いレーザー砲とSSMが真っ先に狙われ(命中値+2)、2回の爆撃により、ともに撃破されます。
T4 LsrとSSMを撃破
 第5-6ターン、対空砲の傘を失ったEECに対し、HEAのスキマー隊が一方的な爆撃をかけます。盤端近くまで前進していたTECVスタックが狙われ、2ユニットが撃破され、1ユニットのみが、かろうじて脱出に成功します。 
T6 さらにTECV撃破
 第7ターン、地上部隊の危機にスクランブルをかけたEECのスキマーが到着し、初の空中戦が起こります。戦力差は圧倒的でしたが(ロックオン・チャートの戦力差が振り切り)、EW戦で奇跡的に優位に立ったEECが、全滅と引き換えに、敵の戦闘スキマー1機を撃破します。
T7  スカイコンバット
 空中戦を生き延びたHEAの3機のスキマーが、重歩兵に狙いを定め、集中攻撃でこれを撃破します。
T7 HIを撃破
 続く、第8ターン、さらなるスキマーの援軍を得たEECが果敢に、空中戦を挑みます。戦闘drも冴え、無損害でHEAの戦闘スキマー1機を撃破します。
T8 スカイコンバット
 HEAは残りの2機を集中し、最後の地上部隊の工兵に襲いかかります。さすがに支援スキマーと攻撃スキマーの共同攻撃は強力で、抵抗もむなしく、工兵は全滅します。
T8 最後のEngを撃破
 と、これにより、全ての地上部隊が消滅したため、ゲームは終了に。VP計算をしてみたところ・・・
【HEA】58VP(TECV1機を除く、敵の全地上ユニットとスキマー2機を撃破)
【EEC】24VP(敵のスキマー2機を撃破とTECV1機が突破)
と、HEAがダブルスコアで勝利しました。これは第4ターンに、HEAがEW戦で勝利し、早々に敵の対空兵器を撃破できたことが大きかったです。もし、EW戦に勝てなかったら、レベルAとBの強力な対空砲火をもろに受け、攻撃力がジリ貧になっていた可能性もありました(事前のソロでは、ほぼ一方的な対空射撃でEECが勝利)。よって、バランスはEW戦の読み合いと戦闘dr次第と、両軍にチャンスがあるようです。
 ちなみに、よくよく確認してみたら、シナリオ製作は若き日のTOROさんでして。この頃から、ルール改定やゲームバランスの調整をしていたのですね~。

 今月のソロプレイ第1弾は、「タイタン・ストライク」(T誌付録)S1「前哨戦」です。T誌が付録としたSFアイテムで、もとはSPI製のハードアイテムです。これについては、かみさんの「B級SF分科会」にわかりやすいゲーム紹介があるので、そちらをご覧ください。
タイタンストライク (rim.or.jp)
DSC01271
 事前に演習した印象では、ミニゲームの割にはギミックが多く、ゲーム上の運用もやや「癖」があり、通常のアイテム並と思った方がいいでしょう。移動での拘束が強力で(同一へクス内の強ZOC)、9移動力(!)で全ての敵を拘束できるHopperの活用がポイントです。戦闘自体は、ファイヤーパワーのため、シンプルですが、結果適用は同時なのに、射撃は交互実施となっていて、プレイアビリティを損ねています(よって、演習ではまとめてdrをして、結果を同時適用にしています)。
 このシナリオでは、EW戦は発生せず、純粋な機動戦力同士のぶつかり合いになります。
 TECV(タイタン環境適合戦闘車輌)×6、Hopper×5、Hvr(ホバー自走砲)×3
 両軍とも兵力は同じですが、ユニットの評価でHEA東アジア同盟が長距離射撃能力に優れています(EECヨーロッパ経済共同体が1火力に対し、HEAは2火力)。また、HopperはEECが近接戦闘能力で優位に立ちます。
 よって、EECは台地の地形効果を利用し、地表にいる敵を射撃で牽制します。そして、敵が接近したら突進をかけ、接近戦にもちこむ算段です。
 HEAは優位な射撃能力を生かして、できるだけ相互射撃ができるよう、まとまって行動するようにします。
 シナリオ特有の作戦としは、最大で敵撃破の2倍以上のVPが得られる「突破」がポイントになります。
 第1ターン、盤端から進入した両軍は、乾いた大地を突進します。
T1
 第2ターン、接触が近いため、Hopper同士が牽制しながら、さらなる接近をします。
T2
 第3ターン、接近したHopperが長距離射撃を行います。結果は、ともに1機ずつが混乱状態になります。
T3 Hopper同士の前哨戦
 続く、移動フェイズに先手を取ったのは、HEAでした。稼働中のホッパーが三段離跳躍で、敵のTECV主力に突入し、これを拘束します。対するEECも、Hopper1機を乾海越しにTECV主力に跳躍させ、お互いの主力を拘束します。EECは地上部隊を計画通り台地に上げ、防御修整を得ると、残りのHopperを敵Hopperスタックにぶつけます。
 近接戦闘フェイズは接近戦に優れたEECが有利でしたが、戦闘drが振るわず、ともに1機ずつを破壊するに止まります。
T3 近接戦闘
 第4ターン、激しい長距離射撃が交わされます。地形効果でEECが有利なはずでしたが、ここもHopper1機ずつが混乱したのみ。
T4 長距離射撃
 移動フェイズで、HEAの主力を拘束したEECが有利な体勢を作り、接近戦へ。が、ここでもdrが酷く、戦果はなし。逆に、HEAの猛烈な反撃で、一方的に損害を受け、貴重なHopper3機を失う羽目に。   
 第5ターン、このターンの長距離射撃は、今までが嘘のように命中弾が相次ぎます。EECが敵のホバー自走砲を撃破すれば、HEAも負けじと撃ち返し、ホバー自走砲と最後の敵Hopperを破壊します。
 と、これにより、掣肘する敵がいなくなったHEAのHopper隊は戦列をすり抜けて、東盤端へと突進します。そして、主力は敵が待ち受ける台地へ。が、駆け上がる斜面が思いのほか、きつく、2ユニットのTECVが崖下に止まります(2/3の確率の登攀チャックに失敗)。
 近接戦闘フェイズでは、数で有利に立つEECが敵のTECV1ユニットを撃破します。
T5 台地での戦闘とHopper突破
 第6ターン、EECは崖下でスタックしている敵TECVを狙い撃ち、1ユニットを撃破し、1ユニットを混乱状態にします。HEAの長距離射撃は、メサ(台地)の地形効果-2が効いて、戦果なし。
 移動フェイズには、HEAのHopper隊4ユニットが盤端からの突破を果たし、一気に24VPをもぎ取ります。一方、台地上では、両軍のホバー自走砲とTECVが乱戦を繰り広げ、ともに1機ずつが破壊となります。
 第7ターン、残った戦闘部隊は、全て台地上に。HEAのみが長距離射撃が行えるものの命中値は1のみで効果薄。接近戦だと命中値はイーブンのため、HEA3ユニットに対し、7ユニットを持つEECの数が物を言います。ここに来て、EECのdrが冴え、一気に敵2ユニットを撃破してしまいます。
T7
 第8ターン、もはや大勢は決し、HEAはいかに敵を拘束して、時間を稼ぐかに。EECは、フルスタックで敵を囲むと、拘束から逃れた2ユニットを突破へ向かわせます。
 第9ターン、ついにHEAは1ユニットのみに。第10ターン、先に離脱したEEC2ユニットが突破を果たし、4VPを獲得します。そして、最後まで抵抗したHEA部隊が全滅します。
T9
 第13ターン、全ての残敵を葬ったEEC部隊が、西端から突破し、ゲーム終了となりました。
T13
 最後にVP計算をしたところ、
【HEA】敵の撃破21点、突破24点 計45点
【EEC】敵の撃破30点、突破13点 計43点
と、わずか2点差だったため、引き分けとなりました。HEAは、序盤のHopper戦を制し、高得点の第7ターンまでに4機のHopperが突破できたことが大きかったです。EECは、台地の地形効果をうまく利用でき、敵Hopper以外を撃破できたことが、引き分けに持ち込めた要因でした。

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