歴史・戦史研究「ちはら会」Drei

この会は、主にシミュレーションという手法を用いて、歴史・戦史を楽しもうという、有志の集まりです。興味ある時代をテーマに選び、図上演習(シミュレーションゲーム)を通して、文献研究では得られない「動きのある歴史」を見つめます。 「ちはら会」では、現在、会員を募集しています。年齢や資格等を問わず、興味のある方ならば、どなたでも参加できます。関心のある方は、下記にご連絡ください。 Eアドレス. chiharakai@apost.plala.or.jp (代表.mitsu)

2019年06月

 今月のソロプレイは、最新のノルマンディ・キャンペーンの「JUNE-AUGUST '44」(CMJ)から前半部分の「JUNE'44」です。「JUNE-AUGUST '44」は、ノルマンディ戦ばかりデザインしているダニー・ホルトの作品です(バルジフリークのダニー・パーカーか?)。

 やや大きめのハーフマップに、師団を中心に、連隊や旅団を織り交ぜ、ノルマンディ戦役を描きます。基本は、連合軍-ドイツ軍の順に、移動・戦闘を行う、極めてシンプルなシステムです。これに、天候による空軍・海軍の制限(ドイツ軍は移動力制限もあり)、戦闘補給・補充ポイントのランダム性、イベントカードによる状況変化で、多様性を持たせています。

 また、ノルマンディ戦ゲームとしては地形効果がかなり厳しく、特に地形の過半を占めるボカージュは3移動力を消費する(機械化部隊でも2へクスのみ)など、兵力の投入に戦略眼が必要とされます。

 戦闘システムはメイアタックですが、攻撃側は1へクスからしか攻撃できないので、ドイツ軍の装甲師団がスタックすると、撃破するのは容易ではありません。また、戦闘判定はいわゆるファイヤーパワーで、戦力差分のコラムでそれぞれdrして結果を判定します。最大差の-7コラムでも20%の確率でヒットを与えられますが、逆に+7でも10%の確率で無損害があり得ます。また、ヒット数は基本的に1ステップで、+4以上ではじめて2ヒットがあり得ます(+7なら40%の確率)。

 展開は、連合軍が史実通りの上陸を行い、その後、VP都市を目指して前進します。この時、海岸砲台を撃ち漏らすと、上陸地点にドイツ軍部隊が突入し、VPを減点されます(1カ所に付き1VP減、かつ恒久的)。ドイツ軍はただ守るだけだと消耗戦に巻き込まれるので、装甲師団が集中するカーン方面等で限定反撃に出て、敵に出血を強います。イベントによっては、ドイツ軍の一部が移動不能になったり、連合軍の上陸や補充がなくなるなどがあるので、有り得る展開を考えながら、いかに戦線を維持するかがポイントです。

 それでは、6月6日から1ヶ月の激闘を、ソロプレイします。

 第1ターン(上陸ターン)、 連合軍の上陸は極めて酸鼻な展開になります。まず、イギリス軍戦区では、全ての海岸で上陸自体は成功したもの、スウォードとゴールド海岸で機甲旅団がステップロスを受けます。さらに、アメリカ軍戦区では、オマハ海岸で3ステップロスを受け1個師団が壊滅し、上陸に失敗。ユタ海岸でも敵の海岸防御を打ち破れず。ドイツ軍の予備移動で第352歩兵師団がオマハ海岸に突入し、1VPを献上する最悪の展開に。まさに、「血のオマハ」の再現です。


T1
 第2ターン、天候は追い打ちをかけるように嵐。ただし、イベントで「ドイツ軍の兵力不足」を実施し、敵にもプレッシャーを与えます。今度は、増援の歩兵を集中投入して、オマハ海岸(1へクスのみ)の上陸に成功します。が、ユタ海岸では+7の最高の戦力差にもかかわらず、攻撃に失敗。イギリス軍は、海岸要塞と足止め部隊を粉砕して、カーンに向かって前進します。ドイツ軍は増援を投入して、カーンからオマハ海岸までの戦線を構築します。また、コタンタン半島では、ユタからの展開を阻害する防衛線を引きます。

T2A
 第3ターン、天候は曇天に回復します。が、今度はドイツ軍が「連合軍船舶の転用」を使用し、このターンの上陸が差し止められます。連合軍は、海軍支援を投入して、やっとオマハ海岸とユタ海岸を占領します。連合軍の進撃が遅れているため、ドイツ軍はカーン方面で反撃に出て、オルヌ川南岸にいたイギリス軍第6空挺師団を攻撃し、2個連隊を撃破します。

T3A やっと、ユタに上陸
T3D 空挺師団が大損害
 第4ターン、両軍の戦区で上陸なった連合軍が、やっと本格的な攻撃を行います。イギリス軍戦区では、カーン北部市街地に陣取る第21装甲師団に最大17戦力で攻撃をかけ、これをステップロスさせます。が、ドイツ軍も増援を投入し、カーンに装甲スタックを作ると、側面にいた歩兵師団に反撃をかけ、2ステップロスを与えます。

T4D
 第5ターン、イギリス軍戦区にドイツ軍の主力が集結したため、反対のアメリカ軍戦区で攻勢に出ます。オマハとユタのそれぞれで攻撃を行い、ともに1ステップロスを与えます。ドイツ軍は、部隊を後退させ、地形を利用しながら戦線を維持します。
T5D

 第6ターン、晴天が訪れ、連合軍はマルベリーを設置すると、海陸空が一体となって総攻撃に出ます。ドイツ軍も「88mm砲の待ち伏せ」等を投入し、必死に抵抗します。結果は、ともに2ステップロスと激戦になります。



T6D
 第7ターンは、ドイツ軍が「過度の警戒」を使用し、連合軍の南進が止められます。ならば、北進は可能と、コタンタン半島で攻勢に出て、ドイツ軍に2ステップロスを与え、ヴァローニュを占領します。ドイツ軍はユタ方面の包囲網を解き、シェルブール要塞に撤退します。

T7D
 第8ターン、このターンのイベントは「連合軍パイロットの損失増加」。空軍を欠いた連合軍は5カ所で攻撃に出るも、全く戦果を上げられず、戦闘補給を消費したのみ。 

T8A
 第9ターン、後半戦に入った連合軍は、消耗戦上等となおも攻撃を続行します。わずか+2-3戦力差の攻撃でしたが、今度はdrが微笑み、ドイツ軍にのべ3ステップの損害を与えます。ただ、レッシーへの攻撃は失敗し、攻撃の主力の歩兵師団が消耗します。

T9D
 第10ターン、カーン方面で低戦力の攻撃を実施し、装甲師団に2ステップを与えます。が、シェルブールでは頑強な要塞により、攻略が進みません。


 第11ターン、いよいよ終盤、攻勢ラッシュに出たい連合軍でしたが、出鼻を挫く嵐。さらに「連合軍の兵力不足」もあり、イギリス軍戦区では、ともに1ステップロスの膠着状態に。


T11D
 第12ターン、今度はカードでの天候悪化に。空軍が使えず、低戦力差ばかりでしたが、数打ちゃ当たると、5カ所の攻撃により、それぞれ、4ステップロスの大消耗戦に。

T12D
 第13ターン、曇天の中、飛び立った空軍の支援を受けながら、やや持ち直した戦力差で攻撃し、ここ数ターンではじめてドイツ軍の損害が、連合軍を上回ります。

T13A
 第14ターン、降雨の中でも攻撃は続き、-3の戦力差でも1/1となるなど、連合軍の粘りに粘った攻撃が続きます。さすがのドイツ軍も消耗が響き、このターン、ついにカーン北部市街地を放棄します。

T14D
 第15ターン、もはや、勝利はおぼつかないものの、せめてもう1点と攻撃を続行しますが・・・最後の2ターンはdrに恵まれず、連合軍の6損害に対し、ドイツ軍は3損害で戦線を維持。


 第16ターン終了時の結果は、オマハ海岸突入の-1VPも響いて、わずかに3点と、連合軍の完敗でした。

CMJ誌にもありましたが、JUNE'44(CMJ)だけだと展開が限られて、drとランダムイベント勝負の感があります。まあ、キャンペーン用の練習と考えて、次に行きます。

T16A



 蒸し暑い日もありますが、耐えがたいほどではなく、梅雨が続いています。第174回ちはら会の予定が決まりましたので、お知らせします。
[日時]7月6日(土)10:00-20:00
[会場]おゆみ野公民館 2F 第2講習室
[住所]千葉市緑区おゆみ野中央2丁目7-6
[アクセス]
 京成電鉄千原線「学園前駅」または「おゆみ野駅」から徒歩10分
または、JR鎌取駅発小湊鉄道バスでおゆみ野中央二丁目バス停降り、徒歩1分(20~30分おき)
[参加費]無料
[持ち物]ゲームとゆとりと常識

 6月から夏にかけてと言えばノルマンディ戦から、師団規模キャンペーンの「June'44」(CMJ)です。移動-戦闘の手堅いシステムですが、イベントカードの導入や補給や戦闘支援ポイントのランダム性が高く、流動的な展開にしています。「ノルマンディの切り札」(CMJ)よりへクスが多く、いわゆる標準的な作戦級です。鋭意ソロプレイ中なので、ご希望があれば、ぜひ。
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 最後に、次回以降の予定です。
第175回ちはら会 8月24日(土)10:00-20:00 おゆみ野公民館 第2講習室
第176回ちはら会 9月7日(土)10:00-20:00 おゆみ野公民館 第2研修室

 続いて、ちはら会では評価の高い「官渡戦役」(CMJ) を、エンジョウさんと対戦しました。陣営は、エンジョウさんが希望で袁紹軍を、mitsuが曹操軍を担当します。

 第1戦、積極的に前に出た袁紹軍先鋒でしたが、曹操が強行軍を使って迎撃。drに恵まれ、いきなり、文醜を討ち取ります。

T1 文醜、討ち取り

 これで、動きの鈍った袁紹軍は、なかなか前進できず。機動で敵の領土を無力化しますが、曹操軍がすかさず、支配マーカーを置き直して、イタチごっこに。

T4 

 この間に袁紹軍の士気が低下し、逆転不可能ということで、曹操軍の勝利となりました。

 第2戦は、袁紹軍は同じ轍は踏まずと、袁紹と別働隊2隊が連動しながら、渡河します。曹操軍も機動戦で顔良隊を壊滅させますが、討ち取りまでは至らず。

T1 袁紹本隊が渡河

T3 顔良、死なず
 そうこうするうちに、江南で孫策が参戦します。唯一、対抗できる曹操本隊がこれを迎撃に行きますが、孫策は本拠に後退し、曹操を拘束し続けます。
T1 袁紹本隊が渡河

 と、ここで隙を突いて、淳于瓊が許に進攻します。わずか1戦力まで落ちていた于禁の守備隊は壊滅し、この瞬間、袁紹軍のサドンデス勝利となりました。う~ん、以前もDas Reichさんに同じ手を喰らった覚えが・・・つい、曹操の機動に夢中になり、手薄にしてしまうんですよね。

T7 隙を突いて、淳于瓊が許を落とす

 いずれにしろ、ゲームごとの偏りはあるものの、短時間で何度もプレイでき、トータルではいずれにも勝ち筋があるいいゲームです。

 マルチが終わったところで、「官渡戦役」(CMJ)に触発された「孔明北伐」(GJ)を、エンジョウさんと対戦しました。蜀軍(エンジョウ)対魏軍(mitsu)です。

 序盤、蜀軍はセオリー通り、南蛮を撃破して、孟獲を降伏させます。魏軍も隙を見て漢中に兵を繰り出しますが、超雲の活躍で浸透できず。

T1 蜀主力が南下

 が、第3ターンに蜀の主力が北上するタイミングで再び、張郃が漢中に進攻し、高い作戦能力で超雲を打ち破り、ここを占領します。

T3

 第4ターン、集結した蜀軍主力が狙ったのは、漢中奪回ではなく、アグレッシブに天水進攻でした。この危機に張郃率いる魏軍は3倍以上の兵を集中し、事なきを得ます。 

T4 北伐開始!

 その後も3ターンに渡って、諸葛亮の北進が続きますが、せっかくの計略が看破されたり、損害回復に時間がかかったりと、魏軍ががっちり守り続けます。

T7

 やはり山越えは分が悪いと判断した蜀軍は、第8ターンに漢中へと矛先を切り替えます。魏軍も多くの兵を差し向けますが、山越えもあって2倍がやっと。ここで魏延の先鋒戦と諸葛亮の合戦がdrが爆発し、魏軍が全滅します。

T8

 第9ターン、勢いのまま、蜀軍は魏興に進撃し、これを占領。孟達を蜀に投降します。が、魏軍はここで手薄になった漢中に、張郃を送り込みます。兵力は6対5とほぼ互角で打撃を与え合い、姜維が負傷するなど、最後は1兵力ずつの死闘に・・・結果は、鄧芝の奇跡的勝利でここを守り抜きます。

T9
 蜀軍はここが勝負と、第10ターンに9戦力を持って長安に出撃します。対する19戦力の魏軍を率いるのは、司馬懿仲達!ここで諸葛亮は、とっておきのカード「火計」を使用し、戦力差は7に。勢いに乗る諸葛亮の指揮は凄まじく、魏軍はさらに8戦力を失います。それでも最後は、司馬懿の反撃が成功し、蜀軍が全滅します。
T10

 あまりの損害に第11ターンは兵力回復に費やし、最終ターン、蜀軍は一転して陳倉に。と、ここで魏軍は「孟達の裏切り」を実行し、漢中を奪ってしまいます。これにより、蜀軍の勝利はなくなり、ゲームエンド。

 まあ、よほどのことがない限り、蜀の北進は成功しないのですが、カードの巡りによっては「もしや」と思わせる演出が効いています。次回はぜひ、蜀軍を担当したいものです。

 4人揃ったところで、とりあえずマルチと、ちはら会の定番「テラ・フォーミング・マーズ」(アークライト)を対戦しました。

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 序盤から植物生産に有利なエコライン(エンジョウ)が抜けだし、褒章を二つ手に入れます。そこに、プロジェクトと都市VPでフォボログ(BIBI)が追いすがり、褒章とTRで国際連合(mitsu)が追いかけます。

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 後半、ヘリオン(Tommy)がプロジェクトVPではトップに立ちますが、次々と緑化を推し進めるエコライン(エンジョウ)は止まらず、火星のほとんどの土地が開発されたところでゲームエンド。唯一、100点越えのエコライン(エンジョウ)の勝利となりました。
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 続いて、先回に発売された「PANZER WAFFE WESTERN FRONT」(CMJ)を、BIBIさんとTommyさんが、今度は6連戦しまして。

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 表題通り、ドイツ軍には重戦車と駆逐戦車が有り、その攻撃力・防御力は圧倒的です。さらに、ヤクトパンターとTIGERⅡは長距離攻撃力を持っており、初手で敵を撃破し、そのまま、勝利する確率が高いです。結果、二人の対戦では、5勝1敗とドイツ軍が圧勝しました。

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 これを見ていたmitsuが飛び入りし、最終戦でアメリカ軍を担当します。序盤こそ、ドイツ軍の長距離攻撃に苦しめられましたが、深雪と陣地構築で時間を稼ぎ、サンビットで膠着状態に持ち込みます。敵の薄い正面に戦車を累積し、一気に敵陣に突入。そのまま、少ない司令部カードを蹂躙して、勝利となりました。

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 ということで、アメリカ軍で勝つ方法は、序盤に防御カードが来ることとジャンケンに勝って先手を取ること(!)でした(運のしじゃー!)。

 ゲムマで手に入れたばかりの「PANZER WAFFE NORTH AFRICA」(CMJ)を持って、BIBIさんが来場しまして。早速、Tommyさんにインストプレイしていました。1ゲームで15分程度のプレイアビリティが効いて、二人でなんと5連戦。結果は、経験を生かしてBIBIさんが連勝するも、最後の一戦でTommyさんが勝利していました。

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 その後、mitsuとエンジョウさんがこれを借りて、さらに二戦に。両陣営とも司令部カードがなくなるほどの激戦になりましたが、mitsuが先に一撃を与えて勝利となりました。

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 初プレイのエンジョウさんは、初期の戦車のあまりの弱さに嘆いていましたが、わずかなカード枚数で、北アフリカらしさと奇跡のバランスが取れていることを絶賛していました。

 朝一でやってきたエンジョウさんを誘って、表題の「独ソ電撃戦(CMJ)リガ'41」をプレイしました。戦場の広さは同じですが、中央軍集団に比べ、戦力は圧倒的に少なく。

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 とりあえず、お試しでしたが・・・ソ連軍を担当したmitsuがセットアップの不備により、第1ターンに貴重な2個戦車師団を包囲されまして。
T2
 ただでさえ苦しい戦力事情では致命的で、「やり直しましょうか?」と水を向けてもらいましたが、試しなので行くところまで行きましょう、と継続。
 生き残った戦車師団で遅滞戦術を試みますが、ドイツ軍の機動力に翻弄され、盤端の都市を次々に占領されます。マップ外への突破こそ防ぎましたが、乾坤一擲の反撃が不発に終わり、リガが占領された時点で、勝ちはなくなりました。
T5
 結果的には惨敗でしたが、2個師団がきちんと生きていれば、また、アントライドが機能すれば(3-4戦力がほぼ未登場)、もうちょっといい勝負にはできたかも。ともあれ、少ない戦力故に考えることも多く、このヴァリアントだけでも楽しめそうです(ちょっとバランスは厳しいようですが)。
 マップを連結すると、ドイツ軍のオプションとソ連軍の悩みが倍加し、かなり面白そうです。ルールは全く変わっていないのに、戦場が拡大しただけで、これほどとは。中黒デザインは、デヴェロップでもキッレキレです。次回以降に、ぜひ、再戦したいものです。

 梅雨入り前の6月スタートの日曜日に、第173回ちはら会が開かれました。事前の参加表明が少なかったのですが、当日は頼りになる常連4人組で、三国志からWWⅡ、火星開発まで幅広くプレイされまして。15分程度で終わる「PANZER WAFFE」(CMJ)が、過去最高のヘビロテで、その数、なんと14戦!おかげで、SFマルチを入れても、延べ19戦という、過去最多級の例会になりました。

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 先日にプレイされたアイテムと戦績は、以下の通りです。

官渡戦役(CMJ)2戦
  袁紹軍(エンジョウ)対曹操軍(mitsu)〇
 〇袁紹軍(エンジョウ)対曹操軍(mitsu)
孔明北伐(GJ) 蜀軍(エンジョウ)対魏軍(mitsu)〇
独ソ電撃戦(CMJ)リガ'41 〇ドイツ軍(エンジョウ)対ソ連軍(mitsu)
PANZER WAFFE NORTH AFRICA(CMJ)7戦
 〇ドイツ軍(BIBI)対イギリス軍(Tommy)
  ドイツ軍(Tommy)対イギリス軍(BIBI)〇
  ドイツ軍(Tommy)対イギリス軍(BIBI)〇
  ドイツ軍(Tommy)対イギリス軍(BIBI)〇
 〇ドイツ軍(Tommy)対イギリス軍(BIBI)
 〇ドイツ軍(エンジョウ)対イギリス軍(mitsu)
 〇ドイツ軍(mitsu)対イギリス軍(エンジョウ)
PANZER WAFFE WESTERN FRONT(CMJ)7戦
 〇ドイツ軍(BIBI)対アメリカ軍(Tommy)
 〇ドイツ軍(BIBI)対アメリカ軍(Tommy)
  ドイツ軍(BIBI)対アメリカ軍(Tommy)〇
 〇ドイツ軍(BIBI)対アメリカ軍(Tommy)
 〇ドイツ軍(BIBI)対アメリカ軍(Tommy)
 〇ドイツ軍(Tommy)対アメリカ軍(BIBI)
  ドイツ軍(Tommy)対アメリカ軍(mitsu)〇
テラ・フォーミング・マーズ(アークライト)〇エンジョウ・mitsu・BIBI・Tommy

 今月のソロプレイは、「官渡戦役」(CMJ)にインスパイアされて、三国志の作戦級アイテム「孔明北伐」(GJ)です。その名の通り、三国志後期の諸葛亮孔明による魏侵攻作戦です。国力では呉と合わせても遙かに及ばない蜀が、漢中の高山地帯を越えて、魏の西部に出撃を繰り返します。結果的には、この一連の出兵が経済的に劣る蜀を一層、衰退させたといわれていますが、出師の表に刻まれた後漢再興の夢と相まって、ゲーマーの琴線を大いに刺激します。

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 マップはエリア式で、蜀から魏に侵攻するには、部隊数の制限がある山岳を必ず、通ります(逆も同様)。しかも、木牛流馬が出てくるまでは非補給扱いと、進攻側がかなり不利になっています。
 シークエンスは、人材-イベント-呉の参戦-蜀の移動-魏の移動-戦闘-生産-再配置です。1年1ターンと考えると、妥当なターン構成でしょう。
 特徴的なのは、移動が蜀-魏の順になっていることです。これにより、諸葛亮や姜維など相対的に質の高い蜀が先手を打って進攻し、(司馬懿登場までは)人材で劣る魏が物量を生かして対抗する図となります。
 戦闘はミニゲーム風の割にはかなり凝っていて、まず、先陣同士の先鋒戦(1ラウンド)が有り、ラウンド制限なしの合戦、その後に籠城部隊がいれば攻城戦が発生します。戦闘は基本的に統率数の2倍か兵力の少ない分のdrをして、6が出れば1ユニット除去になります。先鋒戦では、武勇の差が、合戦では采配の差をdrに加えることができます。部隊が全滅するか、撤退を宣言すると、1ラウンドの追撃と武将の討ち取りチェックが入ります。
 イベントはカードになっていて、曹丕死去(魏はこのターンの生産なし)や特定武将の裏切り、蛮族の協力や裏切り、諸葛亮/司馬懿の一時的な失脚、各種の戦術カードがあり、ゲーム展開のヴァリエーションを大いに広げてくれます。 
 ただ、GJでもかなり初期のアイテムということも有り、少し野暮ったい印象はあります。今ならよりスマートなCDSあたりになるのでしょうね。
 展開としては、南蛮の攻略を終えた蜀が、3000m級の山々を踏み越えて、魏の領土に繰り替えし、進攻します。孔明の采配は3と突出していますが、魏にも采配2の張郃がおり、また、部隊制限や魏の物量、後攻の有利があって、進攻の成功率は決して高くはありません。それでも、イベントの組み合わせやdrが偏りがあれば、なんとかなることも。ただし、後半に司馬懿が登場すると(統率値は孔明3を上回る4!)、まず、絶望的でしょう。

 それでは、ソロプレイに入ります。
 まず、開始前の魏のオプションですが、呉の外交値上げ(+4)と胡王の引き込みを行います。GJ誌にも書かれていたのですが、外交値上げはイベントよりも効率がよいので、ほぼマストの選択でしょう。かつ、前半に蜀の北伐を可能な限り遅らせるために、蛮族の1つを味方にしておきます。

T0

 第1ターン、人材は魏に夏候覇が、蜀は馬超は生き残り、馬忠が来ます。蜀にとっては最良の出だしです。これに脅威を覚えた魏は、早速、呉の外交を試みます。drはこちらも最善の4(!)が出て、蜀は4戦力を失います。
 このままでは南蛮進攻と北部の防御はかなり厳しかったので、蜀は早速、イベントカード「孟達の裏切り」を使用します。これにより、魏が南下をする可能性はほぼなくなりました。
 蜀は馬超と2戦力を武都に送り、超雲と馬謖を漢中に向けます。牂柯には諸葛亮と魏延を5戦力で進攻させます。魏延は裏切る可能性があるので、そうなったら確実に討ち取れる孔明と同行させるのがセオリーです。魏は、やむなく裏切り者の孟達を討つべく、曹真、張郃、夏候覇を魏興に送ります。
 魏興と牂柯で戦闘が発生しますが、結果はともに一方的になります。魏興では4戦力同士の戦闘でしたが、先鋒戦で張郃がいきなり2ヒットを与え、孟達軍が半減します。合戦では、孟達軍も善戦し、2ヒットを与えますが、総大将の曹真が2倍の戦力で圧倒し、孟達軍を全滅させます。孟達は戦死扱いとなり、上庸ボックスへ送られます。
 牂柯では、真逆の展開で、孟獲が先鋒戦を仕掛けますが、魏延が防御に徹し、損害なし。合戦では諸葛亮の采配+3が物をいい、孟獲軍を瞬殺します。
 第1ターンが終了した時点で、魏は魏興を回復し、蜀は想定通り、牂柯を制圧しました。

T1

 第2ターン、ここで馬超が死亡し、代わりに蜀に費褘が登場します。魏は、登用なしです。蜀は、諸葛亮の主力が4戦力を持って、雲南に進攻し、城に籠もる南蛮軍を一蹴して、孟獲を降伏させます。同時に、漢中を5戦力で固め、超雲を武都に向かわせます。

 これを見て魏は、魏興を奪回した兵力をもって、漢中に電撃的に進攻します。兵力的には5戦力対5戦力のイーブンでしたが、またも張郃が先鋒戦で2ヒットを与え、優位に立ちます。こうなると、馬謖・馬忠コンビには荷が重く、1戦力を除いて部隊を失い、剣閣に撤退します。その過程で、殿を勤めた馬謖が、討ち死にしてしまいます(「泣いて斬る」間もなく死亡)。

T2

 第3ターン、魏は馬謖の討ち取りによって、再び、上昇した外交値を使って、呉との外交を試みます。drはまたも最善の4(!)が出て、蜀は4戦力を失います。
 蜀はやむなく減少した戦力で、漢中奪回を試みます。諸葛亮直率とはいえ、わずか4戦力では、張郃の指揮する9戦力に対抗できず、1:4のキルレシオで全滅します。これにより、VPは魏の振り切り6点となります。

T3

 第4ターン、前ターンに8戦力の損害を受けた蜀は、諸葛亮を一時的に内政に廻し、戦力の回復に努めます。これを見た魏は、6戦力を持って要衝の地-武都に進攻します。迎え撃つは、蜀の至宝こと超雲子龍。先鋒戦で防御に徹する張郃に対し、蜀は超雲を先頭に突撃し、2ヒットを与えます。合戦では魏の作戦能力が上回りますが、超雲が2ラウンド目に3ヒットを与えて、ここを死守します。
T4 魏による武威進攻(第一次)

 第5ターン、国力を回復した蜀は、二度目の漢中奪回戦を仕掛けます。諸葛亮を筆頭に4将が険しい山岳地帯を越えて、漢中へ進攻します。これを迎撃したのは、またも張郃の指揮する9戦力です。結果は・・・補給切れのため、打撃力が半減した蜀軍は、諸葛亮の戦術を持ってしても劣勢を挽回できず、壊滅します。

T5 漢中奪回戦(第一次)

 第6ターン、蜀はまたも諸葛亮を内政に。孔明動けず、の報に接した魏は、このチャンスに7戦力を武都に送り込みます。迎え撃つ超雲の6戦力と激戦となりましたが・・・張郃の作戦能力が物をいい、ついに武都を奪取します。ここまで張郃は4勝(1敗)と、大車輪の活躍です。

T6 再び、魏の武威進攻(第二次)
T6

 第7ターン、緒戦の損害で宰相による内政整備も追いつかないことから、蜀は思い切って剣閣での籠城戦略をとります。勢いに乗る魏といえど、さすがに剣閣への進攻は時期尚早で、こちらも漢中と武都の防御に徹します。

 第8ターン、ついに司馬懿仲達が登場します。が、都にいるため、このターンの戦闘には参加できず。ならば、ここで占領された武都を奪還せんと、蜀が全兵力を持って反撃に出ます。蜀軍9戦力対魏軍11戦力の激闘は、姜維の伏兵(戦術カード)で幕を開けます。先手を打った姜維は先鋒戦で1ヒットを与え、戦力をほぼイーブンにします。さらに諸葛亮の作戦が光り、一方的に魏に4ヒットを与えます。こうなると逆転はほぼ難しいと、全滅する前に魏軍が撤退します。

T8 武威奪還戦(第三次)

 一方、剣閣では魏延が裏切りを試みましたが・・・諸葛亮により警句を受けていた馬忠がこれを討ち取り、事なきを得ます。

 第9ターン、武都を奪い返した蜀は、山岳地帯の要衝-漢中奪回戦に臨みます。魏軍は司馬懿仲達が指揮を執る12戦力で、蜀軍は諸葛亮率いる9戦力です。前ターンまでなら、蜀軍は補給切れでしたが、厳しい山岳路に効率よく補給を運ぶ木牛流馬により、補給下となります。

T9 第二次漢中戦

 まず、司馬懿は火計を仕掛けますが、諸葛亮は難なくこれを看破。そのまま、合戦に雪崩れ込みます。dr数では魏軍の方が有利でしたが、それを上回る諸葛亮の戦術能力により、なんと2ラウンドで魏軍が7ヒットを受けます。魏軍も蜀に3ヒットを与えますが、さらに2ヒットを受けたところで、やむなく撤退。第2ターン以降、魏の支配下にあった漢中を奪還します。2ターン連続で敗退した魏軍ですが、ここまで積極的に蜀領土を侵食したため、十分に時間稼ぎとなりました。

T9

 やっと、本来の領土を回復した蜀軍に残された時間は、あと3年。第10ターン、ついに出師の表を実現すべく、諸葛亮が天険を越え、6戦力を持って魏領に進攻します。同時に、イベントカードで胡王を懐柔し、武威へ突入させます。

 これに対し、魏軍は全力を持って迎撃に出ます。要衝陳倉には司馬懿が涼州兵を含む11戦力を集結させ、武威には敵の2倍の4戦力を投入します。その結果は・・・陳倉では、蜀軍の猛攻により、魏軍が5戦力まで半減するも、司馬懿の反撃で蜀軍は全滅します。武威では魏軍が圧勝し、損害なしで蛮族を蹴散らします。

T10 蜀による北伐開始

 第11ターン、状況は前ターンより悪化するも、諸葛亮は姜維、馬忠を伴って、7戦力で再び、陳倉へ。迎え撃つはまたも司馬懿の14戦力です。ここでは先鋒の働きが勝敗を分けました。蜀軍の姜維が4drをするもヒットなし。対する魏軍はここまでの功労者張郃が6drでなんと4ヒット!序盤戦だけで半数を失った蜀軍に勝機はなく、圧倒的多数の魏軍に攻撃を受けて全滅します。この大敗走の最中に、殿を勤めた馬忠が討ち死にしてしまいます。

T11 第二次陳倉戦

 最終12ターン、もはや蜀軍の勝利はありませんが、先帝への思慕に突き動かされた孔明は陳倉へ最後の出撃を行います。戦力的に余裕ができた魏軍は、陳倉に倍以上の16戦力を送るとともに、隙を突いて漢中侵攻軍を送ります。

 まず、漢中では孟獲がこれを迎え撃ちますが、張郃の戦術に翻弄され、全滅。南蛮王孟獲が命を落とします。続いて、陳倉決戦では、先鋒戦こそ、蜀軍が2ヒット(魏軍は1ヒット)と姜維が意地を見せましたが・・・司馬懿が新戦術を見舞って、諸葛亮の戦術的優位を覆します。結果は、蜀軍の全滅。さらに、退却中の姜維が討ち取られ、ジ・エンド。

T12 珍倉と漢中の戦い

 結果的には、ほぼ史実並みの魏の圧勝でした。Web上の評判でも、「バランス悪すぎ」、「なるようにしかならない」等が多いようです。が、実際の史実が「なるようにしかならなかった」わけで、そう思いながらも、戦闘のdrやイベントによってはもしかしたら・・・と思わせる演出は、極めて優れていると思います。言い方は難しいですが、勝敗のバランスはよくないですが(あえて史実チックにしている)、十分にデヴェロップされているため、プレイしていて大いに楽しさを感じることができます。ぜひ、対戦したいものです。

T12終了時


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