シミュレーションのジャンルは数あれど、スポーツをリアルに再現する、ジャンルがありました。スポーツ・シミュレーションです。

 以前から海外では、スポーツ・シミュレーションが一定の需要が有り、老舗アバロンヒルが野球、アメリカン・フットボール、レーシング、アイスホッケー、ボクシング、ゴルフなどを発売していました。日本にも訳付きで輸入されており、お持ちの方も多いかも。

 日本では圧倒的にプロ野球が多いですが、これはボード・シミュレーションが隆盛を誇った80年代に、最も人気があるスポーツだったからでしょう。もう10年後ならば、サッカーも加わっていたかもしれません。

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 それまでは野球盤とか、ゴルフとか、いわゆるパーティゲームがほとんどでした。そこに、シミュレーションの手法を取り入れ、史実(現実)をリアルに再現できるアイテムが登場したことで、ゲーマーや一部のスポーツ好きが食いつきまして。今なら、みな、電脳ゲームか、WEBゲームでしょうね。

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 今回、ジャンル別記事を年代ごとに更新してきたのですが、新たにこのジャンルを加えたいと思います。なお、B級アイテムに分類していた「プロレス」(ツクダ)ですが、このジャンルができたので、移籍します。


熱闘12球団ペナントレース(HJ)★
 日本の野球シミュレーションの嚆矢となった名作。AHの野球シミュレーションのシステムを、日本のプロ野球仕様に移植したもので、これがなかったら、果たしてスポーツ・シミュレーションが定着していたかどうか?
 それまで日本の野球ゲームは、投手と打者の1球ずつの対決を描いていましたが、このアイテムでは1打席ごとの結果を、drとチャートを見て判定するという新機軸でした。打者カードには、史実に基づく打撃結果が表現されており、ゴロや四球が多い、HRバッター、アヴェレージ・ヒッターなどの特徴が表現されていました。投手には力量を表すグレードがあり、優秀な選手はヒットの結果でも凡打にできたり、四球を減らしたり、逆によくHRを打たれたり、と玄人のツボを抑えた仕様で、高い人気を誇りました。
 1試合が30分程度で決着が付くので、学生時代にはサークルで全130試合(!)を再現した強者もいました。ちはら会でも、ワンディ・トーナメントや日本シリーズの再現をしたことがあります。
 HJ社は89年で発売終了しましたが、根強い人気があり、いまでも同人で発表され続けています。

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熱闘12球団ペナントレース キャンペーン・モジュール(HJ)★
 文字通り、「熱闘12球団ペナントレース」でキャンペーンをするための、エクスパンションキット。Tactics誌上に寄せられた追加ルール集を整理して、発売したものです。
 自分もこれを使って、セリーグのみ、60試合までソロ演習(!)したことがあります(さすがにソロではこれが限界でした)。引退したら、ちはら会で一度チーム戦をやってみたいですね~。

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ウィニング・ショット(HJ)
 それでも、打者対投手の一球一球の対決がしたい、という要望があったようで、文字通り、投手が投げ、打者が打つというスタイルのアイテムです。ただ、「Power Baseball」(エポック)と差別を図りたかったのか、ストレートとかカーブ等の球種を使わず、A~Fの球種カードとストライクとボールのコースカードを組み合わせると言った、誰得?の抽象化がされていて。ジャイアンツとライオンズをモチーフにした二球団のカードにも選手名がないため、思い入れがわかず。デザイナーズノートには「真の意味での野球を楽しむ」とありますが・・・習熟したくても、ソロに向かないプロット。この抽象化の先にたどり着ける強者は、果たしているのか?


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The BIG 野球(HJ)★
 「熱闘12球団ペナントレース」(HJ)のモデルチェンジを狙って、HJ社が発売した1打席ごとのペナントレースアイテム。それまでは、打者のみがdrして、結果を判定していましたが、これではまず、投手の結果を出し、それに合わせて打者がdrする形に変更されました。
 この方がリアルなのは勿論ですが、結果的に手間(時間)が2倍になり、賛否が分かれました(自分は好きでしたけど)。
 時代的に電脳系のゲームの爆発的な隆盛があり、また、それまでの「熱闘12球団ペナントレース」との互換性がなかったことなどから、90年、91年版のみで発売終了となりました。
 虎キチとしては、90年代で唯一、2位となった91年TIGERSの活躍が見られないのが、非常に残念です(亀山、久慈、新庄よ、カムバック!)

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オールスター・ベースボール(STR)★
  STR社が発表した打者対投手の一打席ごとのアイテムです。特徴としては、まず、投手が四球や三振、打者カウント等の投球結果を出し、打者カウントとなったときだけ、打者カードでヒットや凡打等の判定をします。「The BIG 野球」(HJ)と同じコンセプトですが、こちらの方が先発です。
 うれしかったのは、各球団の往年の優秀チームがセットになっていまして。V9時代のジャイアンツに、三原マジックの大洋、村山実が投げる阪神や国鉄時代のスワローズなど、オールドファンには堪らないコンポでした。

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Power Baseball(エポック)★
 エポック社が発売した、最も精密かつリアルな一球ずつの対戦アイテム。投手カードには、球種と威力、コントロールなどが表現されていて、打者カードには守備力や内角・外角の打撃力、パワー、走塁力が記載されています。投手の球種を読んで、バッティングカードを出し、球の威力を打撃力が上回ると、ヒットになりやすくなります。実際のプロ野球のように高い守備力を持つ選手は強い打球をアウトにできたり、逆にザルの選手は凡打を長打にしてしまったりと、守備力の評価が非常にリアルです。乱闘専用の(!)攻撃力・防御力まであり、「いざというときのため」にベンチ入りしている「用心棒」もいたりします。キャラ作成というRPGの要素も取り入れた、斬新なアイテムです。これは、今でもプレイしたい(できればミニキャンペーンもやってみたい)ですね~。


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プロレス(ツクダ)★
 基本は、カードを出し合うジャンケンアイテムなんですが、シンプルなだけあって、燃える!燃える!敵の手を読むことで、一気にファールまで持って行ったり、逆に切り返して逆襲したりと、気がつけば連戦になります。自称「偽造団」のいのさんがタイガーマスクやジャイアント馬場なども追加したため、バリエーションが増え、一時は毎月のように対戦しまくっていました。ああ、また、どこかでやりたいな~。

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ウィンドウ・サーフィン(AD)☆
 その名の通り、ウィンドウ・サーフィンをモチーフにしたアイテム。時折、巻き上がる上昇気流を捉え、徐々に落ちる高度を維持し、最後まで飛び続けた機体が勝利します。はっきり言って、運のしの要素が大きいですが、SLGゲーマーでなくても楽しめます。

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 全8アイテムですが、未プレイは一つだけです。一般向けは難しい「ウィニング・ショット」ですが、「熱闘12球団ペナントレース」のデータを使って、日本シリーズくらいならいけるかも?!どなたか、85年の阪神対西武を再現してみませんか?