今月のソロプレイは、「官渡戦役」(CMJ)にインスパイアされて、三国志の作戦級アイテム「孔明北伐」(GJ)です。その名の通り、三国志後期の諸葛亮孔明による魏侵攻作戦です。国力では呉と合わせても遙かに及ばない蜀が、漢中の高山地帯を越えて、魏の西部に出撃を繰り返します。結果的には、この一連の出兵が経済的に劣る蜀を一層、衰退させたといわれていますが、出師の表に刻まれた後漢再興の夢と相まって、ゲーマーの琴線を大いに刺激します。

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 マップはエリア式で、蜀から魏に侵攻するには、部隊数の制限がある山岳を必ず、通ります(逆も同様)。しかも、木牛流馬が出てくるまでは非補給扱いと、進攻側がかなり不利になっています。
 シークエンスは、人材-イベント-呉の参戦-蜀の移動-魏の移動-戦闘-生産-再配置です。1年1ターンと考えると、妥当なターン構成でしょう。
 特徴的なのは、移動が蜀-魏の順になっていることです。これにより、諸葛亮や姜維など相対的に質の高い蜀が先手を打って進攻し、(司馬懿登場までは)人材で劣る魏が物量を生かして対抗する図となります。
 戦闘はミニゲーム風の割にはかなり凝っていて、まず、先陣同士の先鋒戦(1ラウンド)が有り、ラウンド制限なしの合戦、その後に籠城部隊がいれば攻城戦が発生します。戦闘は基本的に統率数の2倍か兵力の少ない分のdrをして、6が出れば1ユニット除去になります。先鋒戦では、武勇の差が、合戦では采配の差をdrに加えることができます。部隊が全滅するか、撤退を宣言すると、1ラウンドの追撃と武将の討ち取りチェックが入ります。
 イベントはカードになっていて、曹丕死去(魏はこのターンの生産なし)や特定武将の裏切り、蛮族の協力や裏切り、諸葛亮/司馬懿の一時的な失脚、各種の戦術カードがあり、ゲーム展開のヴァリエーションを大いに広げてくれます。 
 ただ、GJでもかなり初期のアイテムということも有り、少し野暮ったい印象はあります。今ならよりスマートなCDSあたりになるのでしょうね。
 展開としては、南蛮の攻略を終えた蜀が、3000m級の山々を踏み越えて、魏の領土に繰り替えし、進攻します。孔明の采配は3と突出していますが、魏にも采配2の張郃がおり、また、部隊制限や魏の物量、後攻の有利があって、進攻の成功率は決して高くはありません。それでも、イベントの組み合わせやdrが偏りがあれば、なんとかなることも。ただし、後半に司馬懿が登場すると(統率値は孔明3を上回る4!)、まず、絶望的でしょう。

 それでは、ソロプレイに入ります。
 まず、開始前の魏のオプションですが、呉の外交値上げ(+4)と胡王の引き込みを行います。GJ誌にも書かれていたのですが、外交値上げはイベントよりも効率がよいので、ほぼマストの選択でしょう。かつ、前半に蜀の北伐を可能な限り遅らせるために、蛮族の1つを味方にしておきます。

T0

 第1ターン、人材は魏に夏候覇が、蜀は馬超は生き残り、馬忠が来ます。蜀にとっては最良の出だしです。これに脅威を覚えた魏は、早速、呉の外交を試みます。drはこちらも最善の4(!)が出て、蜀は4戦力を失います。
 このままでは南蛮進攻と北部の防御はかなり厳しかったので、蜀は早速、イベントカード「孟達の裏切り」を使用します。これにより、魏が南下をする可能性はほぼなくなりました。
 蜀は馬超と2戦力を武都に送り、超雲と馬謖を漢中に向けます。牂柯には諸葛亮と魏延を5戦力で進攻させます。魏延は裏切る可能性があるので、そうなったら確実に討ち取れる孔明と同行させるのがセオリーです。魏は、やむなく裏切り者の孟達を討つべく、曹真、張郃、夏候覇を魏興に送ります。
 魏興と牂柯で戦闘が発生しますが、結果はともに一方的になります。魏興では4戦力同士の戦闘でしたが、先鋒戦で張郃がいきなり2ヒットを与え、孟達軍が半減します。合戦では、孟達軍も善戦し、2ヒットを与えますが、総大将の曹真が2倍の戦力で圧倒し、孟達軍を全滅させます。孟達は戦死扱いとなり、上庸ボックスへ送られます。
 牂柯では、真逆の展開で、孟獲が先鋒戦を仕掛けますが、魏延が防御に徹し、損害なし。合戦では諸葛亮の采配+3が物をいい、孟獲軍を瞬殺します。
 第1ターンが終了した時点で、魏は魏興を回復し、蜀は想定通り、牂柯を制圧しました。

T1

 第2ターン、ここで馬超が死亡し、代わりに蜀に費褘が登場します。魏は、登用なしです。蜀は、諸葛亮の主力が4戦力を持って、雲南に進攻し、城に籠もる南蛮軍を一蹴して、孟獲を降伏させます。同時に、漢中を5戦力で固め、超雲を武都に向かわせます。

 これを見て魏は、魏興を奪回した兵力をもって、漢中に電撃的に進攻します。兵力的には5戦力対5戦力のイーブンでしたが、またも張郃が先鋒戦で2ヒットを与え、優位に立ちます。こうなると、馬謖・馬忠コンビには荷が重く、1戦力を除いて部隊を失い、剣閣に撤退します。その過程で、殿を勤めた馬謖が、討ち死にしてしまいます(「泣いて斬る」間もなく死亡)。

T2

 第3ターン、魏は馬謖の討ち取りによって、再び、上昇した外交値を使って、呉との外交を試みます。drはまたも最善の4(!)が出て、蜀は4戦力を失います。
 蜀はやむなく減少した戦力で、漢中奪回を試みます。諸葛亮直率とはいえ、わずか4戦力では、張郃の指揮する9戦力に対抗できず、1:4のキルレシオで全滅します。これにより、VPは魏の振り切り6点となります。

T3

 第4ターン、前ターンに8戦力の損害を受けた蜀は、諸葛亮を一時的に内政に廻し、戦力の回復に努めます。これを見た魏は、6戦力を持って要衝の地-武都に進攻します。迎え撃つは、蜀の至宝こと超雲子龍。先鋒戦で防御に徹する張郃に対し、蜀は超雲を先頭に突撃し、2ヒットを与えます。合戦では魏の作戦能力が上回りますが、超雲が2ラウンド目に3ヒットを与えて、ここを死守します。
T4 魏による武威進攻(第一次)

 第5ターン、国力を回復した蜀は、二度目の漢中奪回戦を仕掛けます。諸葛亮を筆頭に4将が険しい山岳地帯を越えて、漢中へ進攻します。これを迎撃したのは、またも張郃の指揮する9戦力です。結果は・・・補給切れのため、打撃力が半減した蜀軍は、諸葛亮の戦術を持ってしても劣勢を挽回できず、壊滅します。

T5 漢中奪回戦(第一次)

 第6ターン、蜀はまたも諸葛亮を内政に。孔明動けず、の報に接した魏は、このチャンスに7戦力を武都に送り込みます。迎え撃つ超雲の6戦力と激戦となりましたが・・・張郃の作戦能力が物をいい、ついに武都を奪取します。ここまで張郃は4勝(1敗)と、大車輪の活躍です。

T6 再び、魏の武威進攻(第二次)
T6

 第7ターン、緒戦の損害で宰相による内政整備も追いつかないことから、蜀は思い切って剣閣での籠城戦略をとります。勢いに乗る魏といえど、さすがに剣閣への進攻は時期尚早で、こちらも漢中と武都の防御に徹します。

 第8ターン、ついに司馬懿仲達が登場します。が、都にいるため、このターンの戦闘には参加できず。ならば、ここで占領された武都を奪還せんと、蜀が全兵力を持って反撃に出ます。蜀軍9戦力対魏軍11戦力の激闘は、姜維の伏兵(戦術カード)で幕を開けます。先手を打った姜維は先鋒戦で1ヒットを与え、戦力をほぼイーブンにします。さらに諸葛亮の作戦が光り、一方的に魏に4ヒットを与えます。こうなると逆転はほぼ難しいと、全滅する前に魏軍が撤退します。

T8 武威奪還戦(第三次)

 一方、剣閣では魏延が裏切りを試みましたが・・・諸葛亮により警句を受けていた馬忠がこれを討ち取り、事なきを得ます。

 第9ターン、武都を奪い返した蜀は、山岳地帯の要衝-漢中奪回戦に臨みます。魏軍は司馬懿仲達が指揮を執る12戦力で、蜀軍は諸葛亮率いる9戦力です。前ターンまでなら、蜀軍は補給切れでしたが、厳しい山岳路に効率よく補給を運ぶ木牛流馬により、補給下となります。

T9 第二次漢中戦

 まず、司馬懿は火計を仕掛けますが、諸葛亮は難なくこれを看破。そのまま、合戦に雪崩れ込みます。dr数では魏軍の方が有利でしたが、それを上回る諸葛亮の戦術能力により、なんと2ラウンドで魏軍が7ヒットを受けます。魏軍も蜀に3ヒットを与えますが、さらに2ヒットを受けたところで、やむなく撤退。第2ターン以降、魏の支配下にあった漢中を奪還します。2ターン連続で敗退した魏軍ですが、ここまで積極的に蜀領土を侵食したため、十分に時間稼ぎとなりました。

T9

 やっと、本来の領土を回復した蜀軍に残された時間は、あと3年。第10ターン、ついに出師の表を実現すべく、諸葛亮が天険を越え、6戦力を持って魏領に進攻します。同時に、イベントカードで胡王を懐柔し、武威へ突入させます。

 これに対し、魏軍は全力を持って迎撃に出ます。要衝陳倉には司馬懿が涼州兵を含む11戦力を集結させ、武威には敵の2倍の4戦力を投入します。その結果は・・・陳倉では、蜀軍の猛攻により、魏軍が5戦力まで半減するも、司馬懿の反撃で蜀軍は全滅します。武威では魏軍が圧勝し、損害なしで蛮族を蹴散らします。

T10 蜀による北伐開始

 第11ターン、状況は前ターンより悪化するも、諸葛亮は姜維、馬忠を伴って、7戦力で再び、陳倉へ。迎え撃つはまたも司馬懿の14戦力です。ここでは先鋒の働きが勝敗を分けました。蜀軍の姜維が4drをするもヒットなし。対する魏軍はここまでの功労者張郃が6drでなんと4ヒット!序盤戦だけで半数を失った蜀軍に勝機はなく、圧倒的多数の魏軍に攻撃を受けて全滅します。この大敗走の最中に、殿を勤めた馬忠が討ち死にしてしまいます。

T11 第二次陳倉戦

 最終12ターン、もはや蜀軍の勝利はありませんが、先帝への思慕に突き動かされた孔明は陳倉へ最後の出撃を行います。戦力的に余裕ができた魏軍は、陳倉に倍以上の16戦力を送るとともに、隙を突いて漢中侵攻軍を送ります。

 まず、漢中では孟獲がこれを迎え撃ちますが、張郃の戦術に翻弄され、全滅。南蛮王孟獲が命を落とします。続いて、陳倉決戦では、先鋒戦こそ、蜀軍が2ヒット(魏軍は1ヒット)と姜維が意地を見せましたが・・・司馬懿が新戦術を見舞って、諸葛亮の戦術的優位を覆します。結果は、蜀軍の全滅。さらに、退却中の姜維が討ち取られ、ジ・エンド。

T12 珍倉と漢中の戦い

 結果的には、ほぼ史実並みの魏の圧勝でした。Web上の評判でも、「バランス悪すぎ」、「なるようにしかならない」等が多いようです。が、実際の史実が「なるようにしかならなかった」わけで、そう思いながらも、戦闘のdrやイベントによってはもしかしたら・・・と思わせる演出は、極めて優れていると思います。言い方は難しいですが、勝敗のバランスはよくないですが(あえて史実チックにしている)、十分にデヴェロップされているため、プレイしていて大いに楽しさを感じることができます。ぜひ、対戦したいものです。

T12終了時